抗血栓トライアルデータベース
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WARFASA Warfarin and Aspirin
結論 抗凝固療法を中止した特発性静脈血栓塞栓症(VTE)患者において,aspirinは大出血を増加させずにVTE再発を抑制した。
コメント 特発性静脈血栓塞栓症は抗凝固療法中止後の再発率が高いため,リスクとベネフィットを勘案し,より長期間の抗凝固療法継続が推奨されているが,いつ中止するのかの判断に迷うことも少なくない。本研究の結果から,6~18ヵ月の抗凝固療法を継続し中止した後のアスピリン投与がプラセボと比較して,出血のリスクを増加させることなく,静脈血栓塞栓症の再発を40%以上減少させることが示された。一定の期間,抗凝固療法を継続後であれば,再発予防目的でアスピリンを使用する意義を示した貴重な論文といえる。(山田典一

目的 特発性VTE患者の20%が抗凝固療法の中止後2年以内にVTEが再発する。抗凝固療法の延長はVTE再発を予防するが,同時に出血リスクを上昇させる。一方,aspirinのVTE一次予防については,先行研究より20~50%のリスク低下が報告されているが,再発予防に関するベネフィットは明らかになっていない。本試験では,ビタミンK拮抗薬投与終了後の特発性VTE患者において,aspirinによる再発予防効果を検討する。有効性の一次エンドポイント:試験薬投与を1回以上受けた患者における,無作為割付から試験終了までに発生した,確定診断された症候性VTE再発[深部静脈血栓症(DVT),致死的/非致死的肺塞栓症(PE)の複合]。安全性の一次エンドポイント:試験薬投与を1回以上受けた患者における,投与期間または投与終了の2日後までに発生した大出血。
デザイン 無作為割付,二重盲検。有効性:intention-to-treat解析。NCT00222677。
セッティング 多施設。
期間 無作為割付期間は2004年5月~2010年8月。試験薬投与期間中央値はaspirin群24.0ヵ月,プラセボ群23.5ヵ月。
対象患者 403例。確定診断を受けた初発の症候性特発性近位部DVTかつ/またはPEのため6~18ヵ月間ビタミンK拮抗薬投与を受けた患者(目標PT-INR 2.0~3.0)。
【除外基準】癌,血栓性素因(抗リン脂質抗体など),VTE以外に長期抗凝固療法の適応病態(心房細動など)を有する,抗血小板療法を必要とするアテローム性動脈硬化症既往,出血高リスクまたは6~18ヵ月間の抗凝固療法期間中に出血が発生,aspirinアレルギーまたは不忍容,余命6ヵ月未満,アドヒアランスの不良が見込まれる,妊娠中また授乳中,ホルモン補充療法関連VTE,他の試験に参加など。
【患者背景】年齢はaspirin群61.9±15.3歳,プラセボ群62.1±15.1歳。各群の男性65.8%,61.9%。BMI 27.1 kg/m2,27.5 kg/m2。当該イベント:DVT 59.5%,65.9%,PE 40.5%,34.1%。無作為割付前のビタミンK拮抗薬投与期間:6ヵ月37.1%,31.5%,12ヵ月54.1%,56.8%,18ヵ月8.8%,11.7%。
治療法 ビタミンK拮抗薬中止後2週間以内に,aspirin群(205例。100mg 1日1回投与),プラセボ群(197例)に無作為割付し,2年間投与。試験薬投与期間延長の選択肢を設けた。
追跡完了率 追跡不能はaspirin群3例(1.4%),プラセボ群4例(2.0%)。
結果

●評価項目
一次エンドポイントはaspirin群28例(6.6%/年)で,プラセボ群43例(11.2%/年)に比し少なかった(HR 0.58,95%CI 0.36-0.93,p=0.02)。
PEは11例 vs. 14例(HR 0.70,95%CI 0.32-1.54,p=0.37)。
致死的PEは1例 vs. 1例。
DVTは16例 vs. 28例(HR 0.51,95%CI 0.27-0.94,p=0.03)。
試験期間における再発についても,aspirin群23例(5.9%/年)で,プラセボ群39例(11.0%/年)に比し少なかった(HR 0.55,95%CI 0.33-0.92,p=0.02)。
死亡は6例 vs. 5例(HR 1.04,95%CI 0.32-3.42,p=0.95)。
大出血は各群1例に発生した(aspirin群:大腸血管形成異常,プラセボ群:胃潰瘍)。
大出血または大出血ではないが臨床的に意義のある出血の複合は4例 vs. 4例(HR 0.98,95%CI 0.24-3.96,p=0.97)。

●有害事象
有害事象は両群で同程度であった。有害事象による試験薬中止はaspirin群3例,プラセボ群2例。

文献: Becattini C, et al.; WARFASA Investigators. Aspirin for preventing the recurrence of venous thromboembolism. N Engl J Med 2012; 366: 1959-67. pubmed
関連トライアル ACTIVE A, ADOPT, AMADEUS, AMPLIFY, AMPLIFY-EXT, APPRAISE, APPRAISE-2, ARTEMIS, ASPIRE, ATLAS ACS-TIMI 46 , AVERROES, EAFT 1993, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, ELATE, Hokusai-VTE, MAGELLAN, Palareti G et al, POISE-2, PREVENT 2003, PREVENT 2004, RE-COVER, RE-MEDY & RE-SONATE, RECORD1, RECORD3, REVERSE, SAVE-ONCO, SPIRIT, SPS3, THRIVE, THRIVE III, TPT, van Gogh Studies, van Gogh Studies prophylaxis, VTE再発予防療法の至適期間, VTE二次予防の抗血栓療法の有効性および安全性, WARCEF, WARSS, WHS vitamin E, 心血管疾患リスクを有する患者におけるaspirin+OAC併用とOAC単独投与の比較
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