抗血栓トライアルデータベース
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JPAD cerebrovascular event
結論 血圧の高い2型糖尿病患者において,aspirinが脳血管イベントを抑制する可能性が示された。
コメント 血圧の高い(SBP≧140mmHgもしくはDBP≧90mmHg)2型糖尿病におけるアスピリンの脳血管イベント抑制効果が示されたことが重要だが,血圧の高い状態でアスピリンを投与することは頭蓋内出血が懸念されるので,十分な降圧療法の実践を喚起したい。(矢坂正弘

目的 JPADでは,2型糖尿病患者における低用量aspirinの脳・心血管イベント一次予防効果は明らかにならなかった。本サブ解析は,高血圧の糖尿病患者において,低用量aspirinがアテローム性動脈硬化イベントを抑制するか検討する。一次エンドポイント:動脈硬化性イベント(突然死+冠動脈/脳血管/大動脈が原因の死亡+非致死的急性心筋梗塞+不安定狭心症+労作性狭心症の新規発症+非致死的脳梗塞/出血性脳卒中+一過性脳虚血発作+非致死的大動脈/末梢血管疾患)。
デザイン PROBE(prospective,randomized,open,blinded-endpoint),intention-to-treat解析。
セッティング 多施設(163施設),日本。
期間 追跡期間中央値は4.37年。
対象患者 2,539例。30~85歳の2型糖尿病患者。
【除外基準】心電図上の虚血性変化,冠動脈疾患/脳血管疾患/動脈硬化性疾患既往,心房細動,抗血小板薬/抗血栓薬投与,重篤な胃・十二指腸潰瘍の既往など。
【患者背景】年齢は降圧未達成群66±10歳,達成群64±10歳*。男性52%,56%。血圧149/82mmHg,126/73mmHg*。HbA1c 7.5%,7.5%。空腹時血糖150mg/dL,145mg/dL(p=0.03)。蛋白尿22%,15%*。降圧治療:Ca拮抗薬47%,26%*,AII受容体拮抗薬30%,15%*,ACE阻害薬19%,12%*,β遮断薬8%,5%(p=0.002),α遮断薬5%,3%(p=0.0004)。
*p<0.0001。
治療法 JPADはaspirin群(1,262例),非aspirin群(1,277例)に無作為割付。
本解析は登録時の血圧により,SBP≧140mmHgかつ/またはDBP≧90mmHgの患者を降圧未達成群(1,022例),SBP<140mmHgかつDBP<90mmHgの患者を降圧達成群(1,517例)として検討を行った。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
一次エンドポイント発症率は降圧未達成群20.1/1,000例・年で,達成群12.2/1,000例・年に比し高かった(HR 1.65,95%CI 1.20-2.27,p=0.0016)。脳血管イベント:降圧未達成群43例(4.2%)vs. 達成群30例(2.0%)(HR 2.18,95%CI 1.37-3.51,p=0.0008)。
脳梗塞:36例vs. 24例(HR 2.28,95%CI 1.37-3.87,p=0.0013)。
出血性脳卒中:7例 vs. 6例。
非致死的大動脈/末梢血管疾患:12例(1.2%)vs. 6例(0.4%)(p=0.02)。
冠動脈イベント:25例(2.4%)vs. 38例(2.5%)(p=0.90)。
aspirin投与を受けていない患者における脳血管イベント発症率は降圧未達成群のほうが高かったが(5.2% vs. 1.9%,HR 2.84,95%CI 1.52-5.52,p=0.0008),aspirin投与を受けている患者では同程度であった(3.3% vs. 2.1%,HR 1.64,95%CI 0.83-3.29,p=0.15)。
血圧コントロール,年齢,蛋白尿は脳血管イベントの独立予測因子であった。
血圧コントロール(SBP≧140mmHgかつ/またはDBP≧90mmHg):HR 1.98,95%CI 1.22-3.20,p=0.0058。
年齢(≧65歳):HR 1.68,95%CI 1.02-2.78,p=0.042。
蛋白尿:HR 1.91,95%CI 1.14-3.20,p=0.015。

●有害事象

文献: Soejima H, et al.; for the JPAD Trial Investigators. Aspirin Reduces Cerebrovascular Events in Type 2 Diabetic Patients With Poorly Controlled Blood Pressure. Circ J 2012; 76: 1526-32. pubmed
関連トライアル AFASAK 2 1999, HOT, JAST, JPAD, SPAF III 1998
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