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IST-3 The Third International Stroke Trial
結論 本試験登録の虚血性脳卒中患者(約3/4が発症から3時間以上経過,約半数が80歳以上)において,発症から6時間以内のrt-PA療法は,早期のハザードにかかわらず6ヵ月後の機能的転帰を改善した。ベネフィットは高齢患者においても低下しなかった。
コメント 本研究は,rt-PA治療の有効性が3時間以内でより明確である点を示す一方で,これまで確実でないと考えられていた80歳以上の患者を約半数含み,80歳以上でも機能的転帰改善が期待できることを明らかにした点が重要である。これからの臨床試験では年齢の上限を設定する合理性はないかもしれない。(岡田靖

目的 発症から6時間以内の,すべての年齢の虚血性脳卒中患者に対するrt-PA 0.9mg/kg(最大90mg)静注は,6ヵ月後の生存率および自立度を改善するという仮説を検証する。一次エンドポイント:6ヵ月後の自立患者の割合(Oxford Handicap Score:OHS 0~2)。
デザイン pilot phaseは二重盲検プラセボ対照,main phaseはPROBE(prospective,randomized,open,blinded endpoints)。ISRCTN25765518。
セッティング 多施設(156施設),12カ国。
期間 患者登録期間は2000年5月~2011年7月。追跡終了は2012年3月31日。
対象患者 3,035例。発症から6時間以内に治療可能な虚血性脳卒中患者で,rt-PAによる効果が期待できるものの,確実ではない症例。
【除外基準】頭蓋内出血,脳腫瘍などの脳卒中類似症(CT/MRIによる),rt-PA投与の明らかに適応または禁忌となる患者,血圧/血糖値が基準外。
【患者背景】18~50歳はrt-PA群4%,対照群4%,51~60歳6%,7%,61~70歳12%,12%,71~80歳23%,24%,81~90歳47%,46%,>90歳7%,7%。各群の女性52%,52%。NIHSS 0~5:20%,20%,6~10:28%,28%,11~15:20%,19%,16~20:18%,18%,>20:14%,14%。発症からの経過時間:0~3時間28%,28%,3~4.5時間38%,39%,4.5~6時間33%,33%。心房細動31%,29%。
治療法 以下の2群に無作為割付。
rt-PA群:1,515例(pilot phase 136例+main phase 1,379例)。rt-PA 0.9mg/kg(最大90mg)の10%をボーラス静注し,残りを1時間かけて静注。
対照群:1,520例(140例+1,378例)。rt-PA静注を避ける以外はrt-PA群と同様に脳卒中治療を実施(pilot phaseではプラセボ静注を行った)。
pilot phaseでは両群とも24時間は抗血小板薬および抗凝固薬の投与は行わなかったが,main phaseでは,対照群にはaspirinが即時に投与された。
追跡完了率 6ヵ月後の生存状態に関する追跡完了は3011例(99%)。
結果

●評価項目
6ヵ月後の自立(OHS 0~2)はrt-PA群554例(37%),対照群534例(35%)(補正後OR 1.13,95%CI 0.95-1.35,p=0.181)で,同程度であった。治療により1,000人につき14(絶対値)増加させたものの,2群間に有意差はみられなかった(95%CI:-20~48)。
年齢別のサブグループ解析によると,6ヵ月後の自立は80歳以下:rt-PA群47.4% vs. 対照群48.1%(補正後OR 0.92;0.67-1.26),80歳超:27.3% vs. 23.5%(補正後OR 1.35;0.97-1.88)で,交互作用が認められた(p=0.029)。
OHSスコアの推移をみると,転帰が良好に推移した症例はrt-PA療法群のほうが多く(OR 1.27;1.10-1.47,p=0.001),rt-PA療法群でより軽度障害の割合が高かった。
7日以内の致死的/非致死的症候性頭蓋内出血はrt-PA群104例(7%)で,対照群16例(1%)に比し多かった(補正後OR 6.94;4.07-11.8,p<0.0001,絶対値増加58/1000, 95%CI 44~72)。
7日以内の死亡はrt-PA群のほうが多かった;163例(11%) vs. 107例(7%), 補正後OR 1.60;1.22-2.08,p=0.001; 絶対値増加 37/1000,95%CI 17~57。しかし,7日後~6ヵ月後の死亡はrt-PA群のほうが少なく,6ヵ月後の時点では同程度であった;408例(27%)vs. 407例(27%,p=0.672)。

●有害事象

文献: Sandercock P, et al.; IST-3 collaborative group. The benefits and harms of intravenous thrombolysis with recombinant tissue plasminogen activator within 6 h of acute ischaemic stroke (the third international stroke trial [IST-3]): a randomised controlled trial. Lancet 2012; 379: 2352-63. pubmed
関連トライアル Austrian Stroke Unit Registry, Bravo Y et al, ECASS, ECASS III, ECASS III additional outcomes, Guillan M et al, ICARO, ICARO-2, IMS III, IST-3 18-month follow-up, J-ACT, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, Power A et al, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, SITS-ISTR, SITS-ISTR 2010, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR young patients, SITS-ISTR/VISTA, SPOTRIAS, SYNTHESIS Expansion, Toni D et al, Tutuncu S et al, VISTA impact of atrial fibrillation, 虚血性脳卒中患者に対するrt-PA療法, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血
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