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ATRIA on and off anticoagulants
結論 脳梗塞または頭蓋内出血が発症した心房細動患者において,warfarinは脳梗塞発症30日後の死亡率を低下させたが,頭蓋内出血関連死亡率は低下させなかった。心房細動患者に対する抗凝固療法実施については,イベントの発症抑制と同様に重症度への効果も判断材料とする必要がある。
コメント 治療域内(PT-INR)のワルファリン療法は脳梗塞発症率を低減させるのみならず,発症時の重症度を軽減することが多数例で明らかにされるとともに,強度が強すぎると(PT-INR>3.0)頭蓋内出血が大幅に増加することも示された。治療域内での適正なワルファリン療法が重要であることが再確認された。(矢坂正弘

目的 心房細動患者において,warfarin 療法が脳梗塞,頭蓋内出血の30日後の死亡および障害度に及ぼす影響を検討する。一次エンドポイント:当該イベント発生後30日以内の死亡。
デザイン コホート研究。
セッティング 多施設,米国。
期間 追跡は死亡,登録解除,試験終了日(2003年9月30日)まで。
対象患者 Kaiser Permanente of North-Californiaに登録患者において,1996年7月1日~1997年12月31日に同定された18歳以上の心房細動患者13,559例のうち,脳梗塞(1,025例)または頭蓋内出血(299例)発症例。
【除外基準】僧帽弁狭窄症,人工弁修復または置換術施行,一過性の術後心房細動,甲状腺機能亢進症併発。
【患者背景】[脳梗塞]症例数はwarfarin使用群382例,非使用群643例。年齢77±8歳,80±9歳(p<0.001)。女性46.1%,57.1%(p<0.001)。高血圧74.9%,67.7%(p=0.01)。うっ血性心不全44.0%,41.4%。糖尿病31.7%,23.8%(p=0.006)。脳卒中既往23.6%,16.0%(p=0.003)。冠動脈疾患39.8%,37.5%。当該イベント発症時のaspirin使用4.7%,44.5%(p<0.001)。
[頭蓋内出血]症例数はwarfarin使用群193例,非使用群106例。年齢77±8歳,81±10歳(p=0.003)。女性37.3%,45.3%。高血圧69.9%,60.4%。うっ血性心不全42.5%,36.8%。糖尿病19.2%,18.9%。脳卒中既往24.4%,16.0%。冠動脈疾患34.7%,29.2%。当該イベント発症時のaspirin使用5.7%,30.2%(p<0.001)。
治療法 当該入院前の5日間にwarfarinを使用していた症例をwarfarin使用群,使用していなかった症例を非使用群とした。
追跡完了率 追跡不能は脳梗塞患者23例,頭蓋内出血患者20例。
結果

●評価項目
脳梗塞は64,891患者・年の間に1,025例,頭蓋内出血は66,409患者・年の間に299例発生した。
warfarinは抗血栓療法非実施に比し,脳梗塞の重症度を軽減させた(軽度または障害のない割合:warfarin使用群45.7% vs. 非使用群39.1%,p=0.046,転帰がより重度のOR 0.77,95%CI 0.60~0.99)。
退院時の障害度は30日後の死亡率と強く関連していた(30日後の死亡率:重症患者24.0% vs. 軽度または障害のなかった患者2.6%,p<0.001)。
warfarinは抗血栓療法非実施に比し,脳梗塞から30日後の死亡率を低下させたが(補正後OR 0.64,95%CI 0.45~0.91),頭蓋内出血後の死亡については関連はみられなかった(OR 1.62,95%CI 0.88~2.98)。
治療域内のPT-INR(2.0~3.0)は抗血栓療法非実施に比し,脳梗塞による死亡を顕著に低下させたが,PT-INR>3.0は頭蓋内出血による死亡リスクを大幅に上昇させた。
PT-INR 2.0~3.0:脳梗塞:OR 0.38,95%CI 0.20~0.70,頭蓋内出血:OR 1.32,95%CI 0.66~2.64。
PT-INR>3.0:脳梗塞:OR 0.48,95%CI 0.19~1.21,頭蓋内出血:OR 2.66,95%CI 1.21~5.86。

●有害事象

文献: Fang MC, et al. Thirty-day mortality after ischemic stroke and intracranial hemorrhage in patients with atrial fibrillation on and off anticoagulants. Stroke 2012; 43: 1795-9. pubmed
関連トライアル AFASAK 2 1999, ARISTOTLE, AVERROES bleeding, Béjot Y et al, Bjorck S et al, Danish Stroke Registry, De Marchis GM et al, Flynn RW et al, Garcia-Rodriguez LA et al, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, Hylek EM et al, North Dublin Population Stroke Study, Pearce LA et al, RE-LY, RE-LY Asian subgroup, RE-LY intracranial hemorrhage, RE-LY quality of INR control, RE-LY risk of bleeding, ROCKET AF post hoc analysis, rtPA静注後の頭蓋内出血に関するリスク因子, SPAF I-III 1999, SPAF I-III 2000, SPAF II 1996, SPAF III 1998, SPORTIF risk of bleeding, Swedish Atrial Fibrillation Cohort Study: net benefit, 抗血栓薬使用,脳内微小出血および脳内出血, 新規経口抗凝固薬による頭蓋内出血リスクの抑制, 脳卒中/TIA既往を有する心房細動患者における新規抗凝固薬
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