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Chen CH et al Optimal dose for stroke thrombolysis in Asians: low dose may have similar safety and efficacy as standard dose
結論 台湾人の虚血性脳卒中患者において,t-PA標準用量静注は低用量静注に比し,症候性脳内出血を増加させなかった。
コメント 標準用量(0.9mg/kg)のrtPA静注療法は低用量(0.7mg/kg)に比べ症候性頭蓋内出血を増加させなかったとの結論で,アジア諸国での低用量を必ずしも推奨する論文ではない。対象の臨床病型,とくにsmall vessel diseaseの割合が異なっている点はlimitationで,多施設無作為化例での比較検討が望まれる。(岡田靖

目的 西洋諸国におけるt-PA標準用量(0.9mg/kg)静注の有効性は確立されているものの,アジア人に対しては安全面での懸念が示されている。本試験では,台湾人の虚血性脳卒中患者において,標準用量は低用量に比し脳内出血合併症を増加させるか,検討を行った。主要評価項目:症候性脳内出血。
デザイン 後ろ向き,オープン。
セッティング 多施設(2施設),台湾。
期間 治療期間は2006年8月~2010年12月。
対象患者 261例。 SITS-MOST試験と同様の基準にて,当該施設においてt-PA静注を受けた虚血性脳卒中患者。
【除外基準】SITS-MOST試験と同様,ただし年齢の上限は設けなかった。
【患者背景】平均年齢は低用量群67.9±12.8歳,標準用量群67.9±12.3歳。各群の男性61.9%,65.4%。実際のt-PA用量中央値0.700mg/kg,0.900mg/kg(p<0.001)。平均体重63.7kg,63.6kg。発症からt-PA静注までの経過時間144分,141分。血圧159/93mmHg,159/92mmHg。病歴:高血圧75.2%,73.7%,糖尿病33.3%,26.9%,脳卒中既往16.2%,17.3%,心房細動34.3%,30.1%,脳卒中前のmodified Rankin Score(mRS)>2 9.5%,6.4%。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア 13.3±6.2,13.1±6.3。脳卒中の病型(p=0.015)大血管19.0%,14.1%,小血管疾患21.0%,33.3%,心原性8.6%,16.0%,不明49.5%,33.3%。
治療法 Cheng Kung大学病院:t-PAの投与量は,2006年8月~2009年6月は 0.7mg/kgとしたが,出血性合併症が増加しなかったため,同年7月~2010年12月は0.9mg/kgとした。
Changhua病院:全期間(2008年5月~2010年12月),t-PA 0.9mg/kg静注とした。
t-PAは10%をボーラス静注し,残りは60分以上かけて静注した。
t-PAの用量が<0.85mg/kgを低用量群(105例),≧0.85mg/kgを標準用量群(156例)として解析を行った。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
NINDS基準症候性脳内出血は低用量群5例(4.8%),標準用量群4例(2.6%)で,同程度であった(p=0.34)。 SITS-MOST基準症候性脳内出血は低用量群4例(3.8%),標準用量群2例(1.3%)(p=0.182), ECASS基準症候性脳内出血は低用量群11例(10.5%),標準用量群8例(5.1%)(p=0.103)で,いずれも同程度であった。
症候性脳内出血の独立予測因子は糖尿病(OR 10.207,95%CI 1.702-61.235)のみで,用量は予測因子ではなかった(標準用量 vs. 低用量:OR 0.624,95%CI 0.113-3.434)。
院内死亡率も同程度であった:低用量群8例(7.6%)vs. 標準用量群9例(5.8%),p=0.553。
脳卒中発症前のmRSが≦1の患者(241例)における3ヵ月後の転帰良好(mRS ≦1)は低用量群41.1%,標準用量群38.4%で,同程度であった(p=0.676)。

●有害事象

文献: Chen CH, et al. Optimal dose for stroke thrombolysis in Asians: low dose may have similar safety and efficacy as standard dose. J Thromb Haemost 2012; 10: 1270-5. pubmed
関連トライアル ECASS, ECASS III, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, J-ACT, Madrid Stroke Network, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, SAMURAI, SAMURAI DWI-ASPECTS, SAMURAI rtPA Registry SITS-MOST criteria, Sarikaya H et al, Schellinger PD et al, Singer OC et al, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST multivariable analysis, Toni D et al, Tsivgoulis G et al, TTT-AIS, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法
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