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PLATO history of stroke
結論 脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)既往を有する急性冠症候群(ACS)患者は,既往のない患者に比べ,臨床イベント発症率が高かった。しかしながら,これら高リスク患者におけるticagrelorの有効性,安全性は全体の結果と一貫しており,正味のベネフィットおよび死亡に関してすぐれていた。
コメント 急性冠症候群に対する非チエノピリジン系ADP受容体阻害薬ticagrelorのclopidogrelとの大規模無作為化比較試験PLATOにおけるサブ解析で,脳梗塞またはTIAの既往の有無による結果について検討した。脳梗塞/TIA既往群は既往のない群にくらべて臨床イベント発症率,死亡率が高かった。とくにclopidogrelとの比較では,全体成績と同様に心血管イベント+死亡率は一貫してticagrelorが良好な成績であった。脳梗塞をともなうハイリスク患者では,可逆性抗血小板作用を示すticagrelorはaspirin併用時に高いネットベネフィットが期待できるかもしれない。(岡田靖

目的 PLATOの事前に定められたサブグループ解析として,ACS患者におけるticagrelorのclopidogrelに対する有効性を,脳卒中/TIA既往の有無により検討した。有効性主要評価項目:血管死+心筋梗塞+脳卒中の複合。安全性主要評価項目:PLATO出血基準大出血
デザイン ランダム化,二重盲検,intention-to-treat解析。NCT00391872。
セッティング
期間 試験薬投与期間中央値は9.1ヵ月。
対象患者 18,624例。発症24時間以内に入院したST上昇型/非ST型ACS患者。
【除外基準】―
【患者背景】[脳卒中/TIA既往あり]年齢はticagrelor群67歳,clopidogrel群68歳。各群の女性34.0%,33.5%。高血圧87.8%,83.3%。脂質異常症56.9%,59.5%。最終診断:ST上昇型心筋梗塞26.4%,26.6%,非ST上昇型心筋梗塞48.0%,46.9%,不安定狭心症22.7%,23.9%。
[脳卒中/TIA既往なし]年齢はticagrelor群62歳,clopidogrel群62歳。各群の女性28.1%,28.0%。高血圧64.4%,63.8%。脂質異常症46.0%,45.9%。最終診断:ST上昇型心筋梗塞38.3%,38.8%,非ST上昇型心筋梗塞42.7%,42.3%,不安定狭心症16.2%,16.4%。
(すべて,脳梗塞既往あり vs. なしの間でp<0.0001)
治療法 以下の2群にランダム化。
ticagrelor群:負荷用量180mg投与後,90mg 1日2回投与。PCI施行者は,施行時に90mg追加投与。
clopidogrel群:clopidogrel未投与例には負荷用量300mg投与後,75mg/日投与。
忍容性が認められる場合は全例にaspirinを投与。
追跡完了率
結果

●評価項目
脳卒中/TIA既往は1,152例(6%)であった。
既往を有する患者は既往のない患者に比し,心筋梗塞(11.5% vs. 6.0%),死亡(10.5% vs. 4.9%),脳卒中(3.4% vs. 1.2%),頭蓋内出血(0.8% vs. 0.2%)が多かった。
既往を有する患者における1年後の有効性主要評価項目および死亡発生率は以下の通りで,全体の結果と一貫していた。
[有効性主要評価項目]既往あり:ticagrelor 群19.0% vs. clopidogrel群20.8%,HR 0.87,95%CI 0.66-1.13,既往なし:9.2% vs. 11.1%,HR 0.84;0.76-0.93(交互作用p=0.84)。
[全死亡]既往あり:7.9% vs. 13.0%,HR 0.62;0.42- 0.91,既往なし:4.3% vs. 5.4%,HR 0.81;0.71-0.93(交互作用p=0.19)。
大出血発生率は同程度であった。
[大出血]既往あり:14.6% vs. 14.9%,HR 0.99;0.71-1.37,既往なし:11.4% vs. 11.0%, HR 1.04;0.95-1.14(交互作用p=0.77)。
[頭蓋内出血]既往あり:0.9% vs. 0.7%,HR 1.00;0.25-3.99,既往なし:0.3% vs. 0.2%, HR 2.02;0.98-4.16(交互作用p=0.38)。

●有害事象

文献: James SK, et al.; for the PLATO Study Group. Ticagrelor Versus Clopidogrel in Patients With Acute Coronary Syndromes and a History of Stroke or Transient Ischemic Attack. Circulation 2012; 125: 2914-21. pubmed
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