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Bern Stroke Project
結論 発症後48時間以内に入院した虚血性脳卒中患者の13%に血栓溶解療法が実施され,3ヵ月後の転帰を改善した。この効果は12ヵ月後にも持続した。年齢,脳卒中重症度,Charlson comorbidity index,男性は修正不能な独立予測因子であった。
コメント 多施設前向きコホート研究で,時間,手技の異なるさまざまな血栓溶解療法の1年後の長期転帰改善効果を明らかにした。Charlson comorbidity indexは虚血性脳卒中の長期転帰を予測する上で有用な指標となるかもしれない。(岡田靖

目的 血栓溶解療法は虚血性脳卒中患者の転帰を改善するが,実地臨床レベルにおける長期転帰改善効果については不明である。本研究では,発症後48時間以内に入院した虚血性脳卒中患者について,血栓溶解療法は3ヵ月後の転帰を改善するか,そしてその治療効果は1年後にも持続しているかを検討する。一次エンドポイント:3ヵ月後,12ヵ月後の致死率,転帰良好(modified Rankin Scale score 0~2)。
デザイン 前向きコホート研究。
セッティング 多施設(19施設),スイス(ベルン州)。
期間 登録期間は2007年12月3日~2008年12月2日,追跡期間は12ヵ月。
対象患者 807例。発症後48時間以内に入院した初発/再発の虚血性脳卒中患者。
【除外基準】一過性(<24時間)の症状,無症候性梗塞,頭蓋内出血,静脈洞血栓症,スイス人以外の患者。
【患者背景】女性は血栓溶解療法群50%,非血栓溶解療法群44%。年齢(p<0.001)54歳以下18%,12.5%,55~75歳51%,31%,75歳以上31%,56.5%。脳卒中初発92.5%,77.6%(p<0.001),NIHSS中央値14,4.3(p<0.001),Charlson Comorbidity index 1.7±3.5,2.9±4.3(p<0.001)。血管危険因子:脳卒中家族歴10%,17%,心筋梗塞家族歴10%,13%,高血圧58%,74%(p=0.001),糖尿病18%,20%,高コレステロール血症42%,47%,喫煙23%,18%。脳卒中の病型(p=0.029):大血管9%,12%,心原性32%,22%,小血管0%,7%,その他7%,6%。脳卒中発症時の薬剤:抗血小板薬34%,44%,warfarin 1%,8%(p=0.027)。早期(48時間以内)の二次予防:抗血小板薬89%,85%(p=0.045),heparin 0%,5%(p=0.02),warfarin 0%,4%(p=0.036)。二次予防:抗血小板薬73%,79%(p=0.019),warfarin 13%,18%。
治療法 現行のガイドラインにしたがい,107例(13%)に血栓溶解療法を行った。内訳は,発症後4.5時間以内の血栓溶解療法静注35例(33%),6時間以内の血栓溶解療法動注41例(38%),8時間以内の機械的血栓除去術5例(5%),静注+動注1例,機械的血栓除去術+静注/動注25例(23%)。
追跡完了率 3ヵ月後の追跡完了は83.6%,12ヵ月後は75.3%。
結果

●評価項目
推定累積死亡率は3ヵ月後20.6%,12ヵ月後27.4%であった。
3ヵ月後,12ヵ月後とも死亡の独立予測因子であった項目は以下の通り。
75~84歳:3ヵ月後RR 1.91,95%CI 1.04-3.53,p=0.038。
12ヵ月後 RR 2.30,95%CI 1.28-4.13,p=0.005。
85歳以上:3ヵ月後RR 2.53,95%CI 1.37-4.66,p=0.003。
12ヵ月後 RR 3.37,95%CI 1.88-6.04,p<0.001。
NIHSS≧10:3ヵ月後RR 7.31,95%CI 4.01-13.34,p<0.001。
12ヵ月後RR 4.77,95%CI 2.84-8.02,p<0.001。
Charlson index(1単位上昇ごと):3ヵ月後RR 1.05,95%CI 1.02-1.08,p=0.002。
12ヵ月後RR 1.05,95%CI 1.02-1.08,p=0.002。

推定転帰良好(mRS 0~2)率は3ヵ月後48.2%,12ヵ月後 44.6%であった。
3ヵ月後,12ヵ月後とも転帰良好の独立予測因子であった項目は以下の通り。
血栓溶解療法:3ヵ月後RR 1.49;1.18-1.89,p<0.001。
12ヵ月後RR 1.59;1.24-2.04,p<0.001。
男性:3ヵ月後RR 1.27,95%CI 1.09-1.49,p=0.003。
12ヵ月後 RR 1.33,95%CI 1.12-1.59,p=0.002。
75~84歳:3ヵ月後RR 0.62,95%CI 0.51-0.77,p<0.001。
12ヵ月後 RR 0.56,95%CI 0.44-0.71,p<0.001。
85歳以上:3ヵ月後RR 0.49,95%CI 0.33-0.71,p<0.001。
12ヵ月後 RR 0.29,95%CI 0.17-0.51,p<0.001。
NIHSS 4~9:3ヵ月後RR 0.82,95%CI 0.69-0.96,p=0.014。
12ヵ月後 RR 0.78,95%CI 0.64-0.93,p=0.007。
NIHSS≧10:3ヵ月後RR 0.29,95%CI 0.21-0.41,p<0.001。
12ヵ月後 RR 0.29,95%CI 0.21-0.42,p<0.001。
Charlson index(1単位上昇ごと):3ヵ月後RR 0.95,95%CI 0.92-0.99,p=0.006。
12ヵ月後 RR 0.95,95%CI 0.91-0.98,p=0.011。

●有害事象

文献: Fischer U, et al.; QABE investigators. Impact of thrombolysis on stroke outcome at 12 months in a population: the Bern stroke project. Stroke 2012; 43: 1039-45. pubmed
関連トライアル Engelter ST et al, Gensicke H et al, Hallevi H et al, Helsinki Stroke Thrombolysis Registry, Helsinki Stroke Thrombolysis Registry, Prefasi D et al, Sarikaya H et al (posterior circulation stroke), Schellinger PD et al, SITS-ISTR blood pressure, SITS-ISTR elderly, SITS-MOST multivariable analysis, Strbian D et al Ultra-Early Thrombolysis, Toni D et al, 頸動脈解離による虚血性脳卒中に対する血栓溶解療法
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