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Avgil Tsadok M et al Sex differences in stroke risk among older patients with recently diagnosed atrial fibrillation
結論 最近入院した心房細動患者における脳卒中リスクは,warfarin使用にかかわらず女性のほうが男性より高かった。
コメント ワルファリン使用の有無にかかわらず,女性が心房細動の脳梗塞発症リスクとして有意であることを示した。年齢で層別すると,特に75歳以上で男女差が明確となっていることから,75歳未満では女性をリスクの一つとしてカウントすることには慎重であるべきであろう。(是恒之宏

目的 先行研究によると,女性の心房細動患者における脳卒中リスクは3%/年で,男性の1.6%/年より高いとされている。性差の理由は明らかになっていないが,女性のwarfarin使用率が低いことがその一因だと示唆されている。本解析では,高齢の心房細動患者において,warfarin使用のパターンおよび脳卒中リスクを検討する。
デザイン コホート研究。
セッティング 多施設,カナダ。
期間 試験期間は1998年1月1日~2007年3月31日。生存に関する追跡は2007年12月31日まで。
対象患者 83,513例。65歳以上105歳未満のカナダ・ケベック州住民のうち,心房細動の一次/二次診断を受けて入院し,退院した患者。
【除外基準】前年に心房細動の一次/二次診断を受けた入院または通院患者,入院後の合併症としての心房細動(周術期心房細動),前年の甲状腺機能亢進症または甲状腺中毒症,長期療養施設入居者など。
【患者背景】当該入院時の年齢中央値は女性80.2歳,男性77.2歳。心房細動:一次診断26.9%,21.6%,二次診断72.1%,77.3%。入院期間中央値は8日,7日。うっ血性心不全27.8%,28.9%,高血圧63.9%,51.3%,75歳以上74.2%,61.4%,糖尿病22.1%,24.6%,脳卒中既往8.0%,6.9%。
治療法 warfarinの初期投与量中央値は女性3.3mg,男性4.0mg。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
対象患者は女性44,115例(52.8%),男性39,398例(47.2%)であった。
入院時の年齢は女性のほうが高く,CHADS2スコアも高かった(1.99±1.10 vs. 1.74±1.13,p<0.001)。
退院後30日以内のwarfarin処方は女性60.6%で,男性58.2%に比し多かった(OR 1.07,95%CI 1.04-1.11,p<0.001)。男女ともアドヒアランスは良好であった(女性81%,男性80%)。
脳卒中の粗発症率は女性2.02/%・年(95%CI 1.95-2.10)で,男性1.61/%・年(95%CI 1.54-1.69) に比し高かった(p<0.001)。性差はおもに75歳以上の患者からもたらされた(女性2.38/%・年 vs. 男性1.95/%・年,p<0.001)。
イベントの大部分が脳血栓塞栓症または動脈閉塞で(女性5.2% vs. 男性4.5%,p<0.001),TIA(2.6% vs. 2.3%,p=0.003),網膜閉塞(0.2% vs. 0.2%,p=0.57)は少なかった。
多変量Cox回帰分析によると,合併症やwarfarin使用で補正をしても,女性の脳卒中リスクは男性より高かった(補正後HR 1.14,95%CI 1.07-1.22,p<0.001)。退院後30日以内にwarfarin処方を受けたサブグループにおいても,脳卒中リスクは女性のほうが高かった(HR 1.11,95%CI 1.02-1.21)。
脳内出血は女性1.33%,男性1.42%で,同程度であった(p=0.29)。脳内出血の大部分がwarfarin使用中に発生した。

●有害事象

文献: Avgil Tsadok M, et al. Sex differences in stroke risk among older patients with recently diagnosed atrial fibrillation. JAMA 2012; 307: 1952-8. pubmed
関連トライアル Abraham JM et al, ACS後の心房細動患者におけるwarfarin使用と転帰, AFFIRM subgroup analysis, Bjorck S et al, J-RHYTHM Registry warfarin use, NABOR, PROTECT AF, ROCKET AF renal dysfunction, SPAF I-III 1999, SPAF III 1998, SPORTIF elderly patients, SPORTIF pooled analysis, SPORTIF V
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