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メタ解析
PCI施行中におけるenoxaparinとUFHの比較
Efficacy and safety of enoxaparin versus unfractionated heparin during percutaneous coronary intervention: systematic review and meta-analysis
結論 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行中のenoxaparinの使用は,全死亡および出血抑制効果において,未分画heparin(UFH)を上回る可能性が示唆され,その効果はST上昇型心筋梗塞(STEIMI)に対するprimary PCI施行例において顕著であった。
コメント 本研究はメタ解析である。しかし解析対象の選択は必ずしもシステマティックに行われていない。不均一性の大きな未分画ヘパリンと均一性の高い低分子量ヘパリンの比較という視点も科学的意味は少ない。(後藤信哉

目的 UFHはPCI施行中の抗凝固療法として支持されているが,厳密なモニタリングが必要であるなどのさまざまな制限がある。低分子量heparin(LMWH)の代表的薬剤であるenoxaparinは,モニタリングをしなくても抗凝固作用が予測可能であり,PCI施行中の使用について多くの論文で評価されているが,死亡抑制効果についての確たる評価は得られていない。本システマティックレビュー/メタ解析では,PCI施行中のenoxaparin投与が死亡,大出血に及ぼす影響について,UFHと比較する。
方法 PubMedおよびCochrane database of systematic reviews(1996年1月~2011年5月)を以下の検索語を用いて検索: “enoxaparin”,“unfractionated heparin”,“angioplasty”,“percutaneous coronary intervention”。
さらに専門家にコンタクトし,主要心臓病学会(AHA,ACC,ESC,TCT)のアブストラクトも調査。
対象:primary/secondary(線溶療法後)/scheduled PCIを施行する患者において,enoxaparinとUFHの有効性と安全性を比較したコホート研究および臨床試験で,以下のすべてを満たすもの:全患者あるいは主要サブグループの患者がPCIを施行する冠動脈性心疾患患者である;enoxaparinと比較するため,対照群でUFHが使用されている;死亡(有効性のエンドポイント)および大出血(安全性のエンドポイント)の両方の報告がある発表済み論文。
除外:enoxaparin以外のLMWHを用いた試験(例外として,enoxaparin以外のLMWHを少数例に使用した1試験を対象に含めた)。
対象 23試験(RCT 12試験,非RCT 11試験),30,966例(enoxaparin群13,943例,UFH群17,023例)。
試験:STEMIに対するprimary PCI施行は7試験(10,243例),secondary PCI施行は3試験(8,750例),非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)/安定狭心症に対する待機的PCI施行は13試験(11,973例)。
主な結果 ・死亡
全コホートにおいて(30,966例),enoxaparinはUFHに比し死亡を抑制した(RR 0.66,95%CI 0.57-0.76,p<0.001,不均一性p=0.46,出版バイアスp=0.82)。

[サブグループ]
STEMI全例:RR 0.62;95%CI 0.48-0.79。
primary PCI施行例:RR 0.52,95%CI 0.42-0.64,不均一p=0.53,出版バイアスp=0.90。
secondary PCI施行例:RR 0.83,95%CI 0.66-1.05。
NSTE-ACS/安定狭心症に対する待機的PCI施行例:RR 0.78,95%CI 0.52-1.12。

・大出血
全コホートにおいて(30,775例),enoxaparinはUFHに比し大出血を抑制した(RR 0.80,95%CI 0.68-0.95,p=0.009,不均一性p=0.58)。

[サブグループ]
STEMI全例:RR 0.80,95%CI 0.66-0.97。
primary PCI施行例:RR 0.72,95%CI 0.56-0.93。
secondary PCI施行例:RR 0.96,95%CI 0.65-1.41。
NSTE-ACS/安定狭心症に対する待機的PCI施行例:RR 0.77,95%CI 0.55-1.05。

・その他のエンドポイント
死亡/MIの複合:RR 0.68,95%CI 0.57-0.81,p<0.001,不均一性p=0.42。
MI合併症:RR 0.75,95%CI 0.66-0.85,p<0.001,不均一性p=0.55。
小出血:RR 0.92,95%CI 0.74-1.14,p=0.45,不均一性p=0.21。
文献: Silvain J, et al. Efficacy and safety of enoxaparin versus unfractionated heparin during percutaneous coronary intervention: systematic review and meta-analysis. BMJ 2012; 344: e553. pubmed
関連トライアル ACS患者に対するenoxaparinとUFHの比較, ACUITY 1-year results, ACUITY bivalirudin, ACUITY switching to bivalirudin, ATOLL, clopidogrel前投与と死亡,心血管イベント,大出血, ESSENCE 1997, ESSENCE 1998, ExTRACT-TIMI 25, ExTRACT-TIMI 25 clopidogrel, ExTRACT-TIMI 25 PCI, ISAR-REACT 3, ISAR-REACT 4, OASIS-5 and 6, PCI施行STEMI患者におけるLMWHとUFHの比較, STEEPLE, SYNERGY, SYNERGY elderly, SYNERGY long-term outcomes
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