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WARCEF Warfarin versus Aspirin in Reduced Cardiac Ejection Fraction
結論 左室駆出率が低下した洞調律患者において,warfarinの脳卒中,死亡抑制効果はaspirinと同等であった。warfarinは脳梗塞を抑制したが,このベネフィットは大出血リスクの上昇により相殺された。
コメント 洞調律の症例であってもCHADS2スコアの高い症例は脳卒中リスクが高い。本試験は,心不全があるCHADS2スコア1以上の症例を対象にアスピリンとワルファリンを比較した。エンドポイントは脳にシフトしており,脳梗塞/脳出血/全死亡で,日本の日常臨床に近い。これらのイベントはワルファリン群,アスピリン群ともに7%/年を超えていたことを考えると,心不全の入院例はリスクが高いといえる。脳出血はワルファリンに多く,脳梗塞はアスピリンに多い。ワルファリンは抗血栓効果は強いが出血が多い薬,アスピリンは抗血栓効果は弱いが出血が少ない薬として使い分ければよい。(後藤信哉

目的 心不全は凝固亢進状態,左室内血栓形成,脳塞栓症をともなうが,抗血小板薬と比較しての抗凝固薬の役割は明確になっていない。本試験では,洞調律の心不全患者における一次エンドポイント初発までの時間について,warfarinとaspirinとの間で統計学的有意差はないという仮説を検証する。一次エンドポイント:脳梗塞,脳内出血,全死亡の複合エンドポイント初発。
デザイン 無作為割付,二重盲検,ダブルダミー,intention-to-treat解析。NCT00041938。
セッティング 多施設(168施設),11カ国。
期間 登録期間は2002年10月~2010年1月。平均追跡期間は3.5±1.8年,総追跡期間は8,225例・年。
対象患者 2,305例。18歳以上,正常洞調律,warfarinに対する禁忌がなく,EF≦35%の患者。また,mRS≦4,心不全薬物治療[β遮断薬,ACE阻害薬(副作用非忍容の場合はARB),hydralazine,硝酸薬]予定例。NYHA I度例は全例の20%未満になるようにした。
【除外基準】warfarin,aspirinの明らかな適応病態を有する症例,心原性塞栓症高リスク(心房細動,機械弁など)。
【患者背景】平均年齢はwarfarin群61±11.6歳,aspirin群61±11.1歳。各群の男性79.3%,80.7%。BMI 29±5.9kg/m 2,29±6kg/ m 2。血圧124/74mmHg,124/74mmHg。高血圧60.8%,61.7%。糖尿病32.6%,30.4%。心房細動3.9%,3.6%。心筋梗塞48.2%,48.7%。NYHA分類II 54.6%,56.0%,III 30.9%,28.5%。EF 25±7.5%,25±7.5%。6分間歩行距離346±147.3m,356±152.5m。脳卒中/TIA既往13.6%,12.0%。
治療法 6週間の用量調整期後,以下の2群に無作為割付。
warfarin群(1,142例):標的PT-INR 2.75(許容範囲2.0~3.5)になるよう用量調整投与。
aspirin群(1,163例):325mg/日投与。
追跡完了率 追跡不能は35例(1.5%)。
結果

●評価項目
PT-INR治療域にあったのは追跡期間の62.6%,PT-INR<2は総治療時間の27.1%,>3.5は10.3%,warfarin群の治療期間中の平均PT-INRは2.5±0.95であった。
[一次エンドポイント(脳梗塞,脳内出血,全死亡)]
warfarin群7.47%/年 vs. aspirin群7.93%/年で,同等であった(HR 0.93,95%CI 0.79-1.10,p=0.40)。
時間依存性解析によると,HRは0.89/年(95%CI 0.80-0.998,p=0.046)低下し,追跡期間が4年以上になるとwarfarin群のほうが好ましい結果であったが,有意差はマージナルであった(HR 0.76,p=0.04)。
一次エンドポイントの各項目は,死亡,脳内出血は同等であったが,脳梗塞はwarfarin群で抑制された。
死亡:warfarin群6.63%/年 vs. aspirin群6.52%/年,HR 1.01;0.85-1.20,p=0.91。
脳内出血:0.12%/年 vs. 0.05%/年,HR 2.22;0.43-11.66,p=0.35。
脳梗塞:0.72%/年 vs. 1.36%/年,HR 0.52;0.33-0.82,p=0.005。
[出血]
大出血,消化管出血,小出血はwarfarin群のほうが多かった。
大出血:warfarin群1.78%/年 vs. aspirin群0.87%/年,p<0.001。
消化管出血:0.94%/年 vs. 0.45%/年,p=0.010。
小出血:11.6%/年 vs. 7.34%/年,p<0.001。

●有害事象

文献: Homma S, et al.; WARCEF Investigators. Warfarin and aspirin in patients with heart failure and sinus rhythm. N Engl J Med 2012; 366: 1859-69. pubmed
関連トライアル AAA, AAASPS 2003, ACTIVE A, AFASAK 2 1999, APPRAISE-2, ARISTOTLE, ASPIRE, AVERROES, AVERROES bleeding, BAFTA, CAPRIE 1996, CASISP, CAST-IST, CHARISMA, CLOSURE I, ENGAGE AF-TIMI 48, ESPRIT , Flynn RW et al, Garcia-Rodriguez LA et al, Gherli T et al, Lee WH et al, OASIS Pilot Study 1998, Pearce LA et al, POISE-2, PROTECT AF, RCTにおけるwarfarinとaspirinの出血リスク, RE-LY, RE-LY concomitant use of antiplatelet, RE-LY quality of INR control, ROCKET AF, ROCKET AF renal dysfunction, SPAF, SPAF II 1994, SPAF II 1996, SPAF III 1996, SPIRIT, SPORTIF risk of bleeding, SPORTIF V, SPS3, TPT, Turpie AG et al 1993, WARFASA, WARP, WARSS, WASID, WASID antithrombotic failures, WATCH, WHS, 抗血栓薬使用,脳内微小出血および脳内出血
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