抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
SAVE-KNEE, SAVE-HIP1, SAVE-HIP2
結論 整形外科手術後の静脈血栓塞栓症(VTE)予防について,semuloparinは股関節置換術施行後の患者においてはenoxaparinに比し優越性を示したが,膝関節置換術および股関節骨折手術後の患者における優越性は示されなかった。両試験薬の安全性は同様であった。

目的 待機的膝関節置換術(SAVE-KNEE),待機的股関節置換術(SAVE-HIP1),股関節骨折手術(SAVE-HIP2)後の患者におけるVTE予防について,超低分子量heparinであるsemuloparinの有効性,安全性をenoxaparinと比較する。一次エンドポイント:有効性評価期間中(無作為割付からday 11または強制的両側静脈造影施行のどちらか早いほうまで)のDVT,非致死的PE,全死亡の複合。
デザイン 3試験とも無作為割付,二重盲検,ダブルダミー,intention-to-treat解析。SAVE-KNEE:NCT00718224,SAVE-HIP1:NCT00697099,SAVE-HIP2:NCT00721760。
セッティング 多施設。
期間 試験期間はSAVE-KNEE:2008年7月~2009年5月,SAVE-HIP1:2008年6月~2009年6月,SAVE-HIP2:2008年7月~2009年10月。
対象患者 4,479例(SAVE-KNEE:1,150例,SAVE-HIP1:2,326例,SAVE-HIP2:1,003例)。膝関節置換術または6ヵ月以上前に埋め込まれた人工関節コンポーネントの1つ以上の再置換,股関節置換術または6ヵ月以上前に埋め込まれた人工関節コンポーネントの1つ以上の再置換,大腿骨の上部3分の1の股関節骨折手術(受傷から60時間以内の大腿骨頭,骨頸を含む)のいずれかを予定されている患者。
【除外基準】[3試験とも]整形外科大手術後3ヵ月以内,12ヵ月以内のVTE既往,活動性出血,出血リスク上昇,試験薬初回皮下注前に止血が得られない,heparin/enoxaparinに対する過敏性,静脈造影禁忌,末期の腎障害,(推定クレアチニンクリアランス<10mL/分),過去2週間以内の抗血栓薬投与歴または試験期間中の投与予定。
【患者背景】[SAVE-KNEE]年齢中央値はsemuloparin群65歳,enoxaparin群64歳。各群の女性70.2%,71.8%。ClCr>80mL/分67.5%,64.3%,50以上80未満29.1%,31.7%,30以上50未満3.0%,3.7%。BMI≧30kg/m2 57.3%,54.6%。
[SAVE-HIP1]年齢中央値はsemuloparin群60歳,enoxaparin群59歳。各群の女性53.1%,54.2%。ClCr>80mL/分65.0%,65.8%,50以上80未満30.6%,30.1%,30以上50未満3.8%,3.5%。BMI≧30kg/m2 29.9%,28.9%。
[SAVE-HIP2]年齢中央値はsemuloparin群76歳,enoxaparin群75歳。各群の女性63.9%,65.1%。ClCr>80mL/分30.9%,35.3%,50以上80未満36.3%,32.3%,30以上50未満26.2%,25.7%。BMI≧30kg/m2 10.1%,11.6%。
治療法 3試験とも,2週間のスクリーニング期間中に地域,推定クレアチニンクリアランス[SAVE-HIP1, SAVE-HIP2ではそれに加え試験薬の初回投与時期(手術前/後)]により層別化後,以下の2群に無作為割付し,いずれの試験薬も7~10日間投与。
semuloparin群:20mg 1日1回皮下注(手術の8±1時間後,術後の止血を確認後,皮下注を開始)。
enoxaparin群:SAVE-KNEEでは30mg 1日2回皮下注(手術の12±1時間後,皮下注を開始)。SAVE-HIP1,SAVE-HIP2では40mg 1日1回皮下注(手術の12±1時間前または12±1時間後に皮下注開始)。
3試験とも,腎機能の程度により試験薬を減量(推定クレアチニンクリアランスが10超30mL/分未満ではsemuloparin 10mg 1日1回,enoxaparin 20mg 1日1回)。
追跡完了率 各試験におけるefficacy population,safety populationの人数を示す。
SAVE-KNEE:semuloparin群428/573例,enoxaparin群427/568例,SAVE-HIP1:916/1,153例,933/1,155例,SAVE-HIP2:384/488例,369/499例。
結果

●評価項目
[有効性(VTE+全死亡)]
有効性の一次エンドポイントは,全試験において数値的にはsemuloparin 群の方が少なかったが,統計学的有意差がみられたのはSAVE-HIP1のみであった。
SAVE-KNEE:semuloparin群24.5% vs. enoxaparin群28.1%,OR 0.83,95%CI 0.60-1.14,p=0.2440。
SAVE-HIP1:semuloparin群6.3% vs. enoxaparin群11.1%,OR 0.54,95%CI 0.38-0.76,p=0.0003。
SAVE-HIP2:semuloparin群17.7% vs. enoxaparin群22.0%,OR 0.77,95%CI 0.53-1.12,p=0.1699。
[出血]
SAVE-HIP1においてはsemuloparin 群で臨床的に意義のある出血,大出血が抑制された。SAVE-KNEE,SAVE-HIP2では臨床的に意義のある出血,大出血ともに統計学的有意差は認められなかった。
[臨床的に意義のある出血]
SAVE-KNEE:semuloparin群2.6% vs. enoxaparin群1.8%,OR 1.5,95%CI 0.67-3.49。
SAVE-HIP1:semuloparin群1.0% vs. enoxaparin群2.2%,OR 0.48,95%CI 0.23-0.94。
SAVE-HIP2:semuloparin群2.0% vs. enoxaparin群0.8%,OR 2.59,95%CI 0.83-9.57。
[大出血]
SAVE-KNEE:semuloparin群0.5% vs. enoxaparin群0.7%,OR 0.74,95%CI 0.14-3.61。
SAVE-HIP1:semuloparin群0.3% vs. enoxaparin群1.2%,OR 0.28,95%CI 0.08-0.83。
SAVE-HIP2:semuloparin群1.0% vs. enoxaparin群0.6%,OR 1.71,95%CI 0.39-8.73。

●有害事象
有害事象,重篤な有害事象とも,全試験において,両群間で同等であった。

文献: Lassen MR, et al.; for the SAVE Investigators. Semuloparin for prevention of venous thromboembolism after major orthopedic surgery: results from three randomized clinical trials, SAVE-HIP1, SAVE-HIP2 and SAVE-KNEE. J Thromb Haemost 2012; 10: 822-32. pubmed
関連トライアル ADVANCE, ADVANCE-2, AMPLIFY, APROPOS, BISTRO II , dabigatran,rivaroxaban,apixabanによる関節置換術後の血栓予防, DRIVE, FOTO, Hokusai-VTE, LIFENOX, ODIXa-HIP, ODIXa-KNEE, ORTHO-TEP Registry, RE-MODEL, RE-NOVATE, RECORD1, RECORD2, RECORD3, RECORD4, SAVE-ONCO, 人工股関節,膝関節全置換術施行患者のVTE予防におけるdabigatranの有効性および安全性, 内科疾患患者に対するVTE予防薬延長投与
関連記事