抗血栓トライアルデータベース
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Austrian Acute PCI Registry
結論 primary PCI(pPCI)を施行するST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において,PCI施行施設到着前のclopidogrel前投与は院内死亡率を減少させた。

目的 NSTEMI患者に対するclopidogrel前投与は虚血イベントを抑制するが,pPCI施行でのupstream投与の有用性は明らかではない。本試験では,STEMI患者において,PCI施行施設到着前のclopidogrel負荷投与がpPCIのアウトカムを改善するか検討する。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設(19施設),オーストリア。
期間 登録期間は2005年1月~2009年12月。
対象患者 5,955例。症状発現から24時間以内,再灌流のためpPCI施行を考慮されたSTEMI患者連続例。
【除外】表記なし。
【患者背景】平均年齢は前投与群62.4±13.2歳,周術期群62.5±13.4歳。各群の男性74.2%,71.6%。糖尿病19.7%,17.4%,現喫煙48.2%,47.8%,PCI施行歴17.2%,10.7%*1,前壁梗塞48.0%,47.4%,心原性ショック8.4%,11.2%*1,蘇生5.2%,9.6%*1。抗血栓薬前投与:aspirin/heparin 94.9%,83.2%*1,カテーテル室到着前のGP IIb/IIIa受容体拮抗薬10.9%,13.4%*2
*1p<0.01,*2p=0.02。
治療法 患者をその状況により以下の2群に分け,比較検討を行った。
前投与群:1,635例。病院到着前に緊急医により,または照会元病院か,PCI施行施設への搬送中にclopidogrelを投与された患者。当該イベント前にclopidogrel継続投与を受けていた患者も前投与群に含めた。
周術期投与群:4,320例。PCI施行施設の緊急治療室(周術期投与-中間群),カテーテル室,もしくはPCI直後にICU(周術期投与-後期群)でclopidogrelを投与された患者。
カテーテル室到着前の抗血栓療法はheparin,aspirin,GP IIb/IIIa受容体拮抗薬を含む標準療法を行った。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
単変量解析によると,clopidogrel前投与はpPCI後の院内死亡率を低下させた(前投与群3.4% vs. 周術期投与群6.1%,p<0.01)。再梗塞(0.6% vs. 1.4%,p=0.02),脳梗塞(0.7% vs. 1.4%,p=0.05)も同様に低下または低下傾向がみられたが,出血(1.0% vs. 1.0%,p=0.90)は同等であった。
周術期投与群をさらに2つに分けて行った解析でも,clopidogrel前投与は院内死亡率を低下させた(前投与群3.4% vs. 周術期投与-中間群4.7% vs. 周術期投与-後期群10.2%,傾向p<0.01)。
多変量解析によると,clopidogrel 前投与は院内死亡率の独立予測因子であった(OR 0.60,95%CI 0.35-0.99,p=0.048)。特にカテーテル室でGP IIb/IIIa受容体拮抗薬追加投与を受けた患者において顕著であった(OR 0.40,95%CI 0.19-0.83,p=0.01)。

●有害事象

文献: Dörler J, et al., Austrian Acute PCI Investigators
Clopidogrel pre-treatment is associated with reduced in-hospital mortality in primary percutaneous coronary intervention for acute ST-elevation myocardial infarction. Eur Heart J 2011; 32: 2954-61. pubmed
関連トライアル ARMYDA-5 PRELOAD, clopidogrel前投与と死亡,心血管イベント,大出血, MHI Level 1 MI programme, MINAP-GPRD, PCI-CLARITY, PCI-CURE, Sachdeva A et al, SCAAR upstream clopidogrel treatment
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