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Mendonça N et al Predictors of tissue-type plasminogen activator nonresponders according to location of vessel occlusion
結論 脳梗塞患者の急性期治療において,迅速な神経血管評価による非再開通予測因子の活用により,より積極的な救命治療を行う患者の選択が向上する可能性が示された。
コメント 脳梗塞急性期のtPA血栓溶解療法の不成功を予測する因子を明らかにした研究である。内頸動脈分岐部や脳底動脈閉塞の不成功独立因子として,心房細動の非存在があげられている。これらの場合は心房細動があっても不成功になる場合が多いので,Merciリトリーバーなどによる機械的血栓除去術を考慮する施設では,主幹動脈閉塞例における閉塞血管再開通の可否をベッドサイドで簡便に検査できる経頭蓋超音波検査装置や頸動脈エコー装置などの非侵襲的検査機器を準備しておくことも重要と思われる。(矢坂正弘

目的 tPA静注が不成功であった患者においては,Merciリトリーバーなどによる機械的血栓除去術が有効であることから,tPA静注が不成功と予測される患者,より積極的な治療の候補者をすみやかに評価することは非常に重要となる。本論文では,tPA静注療法不成功の予測因子は閉塞血管および血栓の部位により異なるという仮説を検証する。
デザイン コホート研究。
セッティング 表記なし。
期間 試験期間は2001年3月~2011年4月。
対象患者 548例。発症後6時間以内に入院し,tPA静注を受けた脳梗塞患者全例。
【除外基準】側頭骨音響窓が不十分,初期の閉塞部位が不明。
【患者背景】[中大脳動脈(MCA)近位閉塞]年齢は再開通例68.9±13.3歳,非再開通例74.7±11.1歳(p=0.001)。男性50.9%,44.1%。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア18(14~20),19(16~21)。同側内頸動脈の閉塞または重度の狭窄16.9%,29.8%(p=0.036)。
[MCA遠位部閉塞]年齢は再開通例72.3±12.6歳,非再開通例71.0±12.6歳。男性67.2%,54.4%。NIHSS 13(8~15),10(8~16)。
[内頸動脈分岐部閉塞]年齢は再開通例74.9±9.9歳,非再開通例71.8±10.6歳。男性63.6%,60%。NIHSS 18(17~20),19(16~21)。
[脳底動脈閉塞]年齢は再開通例68.7±15.9歳,非再開通例69.3±14歳。男性63.6%,51.6%。糖尿病0%,33.3%(p=0.039)。心房細動45.5%,10%(p=0.022)。NIHSS 23(16~30),24(14~30)。
治療法 患者にはtPA 標準的投与(0.9mg/kg静注)を行い,再開通はボーラス静注の1時間後,経頭蓋ドップラーにて評価した。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
患者を閉塞部位によりMCA近位部閉塞(251例:再開通106例,非再開通145例),MCA遠位部閉塞(194例:58例,136例),内頸動脈分岐部閉塞(61例:11例,50例),脳底動脈閉塞(42例:11例,31例)に分けて解析を行った。
再開通不成功の独立予測因子は以下の通りであった。
[MCA近位部閉塞]
重度の頭蓋外内頸動脈狭窄または閉塞:OR 2.36,95%CI 1.15-4.84,p=0.02。
年齢>74歳:OR 1.84,95%CI 1.02-3.31,p=0.044。
[MCA遠位部閉塞]
独立予測因子は同定されなかった。
[内頸動脈分岐部閉塞]
高血圧既往:OR 12.77,95%CI 2.12-76.88,p=0.05。
心房細動の非存在:OR 8.15,95%CI 1.40-47.44,p=0.02。
[脳底動脈閉塞]
心房細動の非存在:OR 7.50,95%CI 1.40-40.35,p=0.02。

●有害事象

文献: Mendonça N, et al. Predictors of tissue-type plasminogen activator nonresponders according to location of vessel occlusion. Stroke 2012; 43: 417-21. pubmed
関連トライアル Bhatia R et al, CLOTBUST , ICARO, ICARO-2, Kimura K et al, MERCI and Multi MERCI previous IV tPA, RESCUE-Japan retrospective survey, SAMURAI CT versus DWI, Saqqur M et al, SITS-ISTR importance of recanalization, von Kummer R et al
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