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NRMI-2, 3, 4, 5 National Registry of Myocardial Infarction
結論 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において,搬送してのpPCI施行(X-PCI)にともなう遅れは多くみられ,転帰不良と関連していた。PCIにともなう遅れが長くてもX-PCI群の死亡率はその場での血栓溶解療法施行(O-FT)と同等であったが,door-to-balloon/needle時間が長くなるとX-PCIのO-FTに比較しての生存率改善効果は減少した。

目的 STEMI患者におけるRCTでは,X-PCIはO-FTに比しすぐれているとされるが,実際の臨床現場ではdoor-to-balloon時間が長くなりがちであるため,その優越性は不明である。ここでは,X-PCIのO-FTに比較しての生存率改善効果が,door-to-balloon,door-to-needle時間が長くなるにつれて減少するか検討する。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設(PCI施行施設580,非施行施設733),米国。
期間 登録期間は1994年6月~2006年12月。
対象患者 19,012例。全米MI患者登録(NRMI)から同定された,初期の再灌流療法としてO-FTまたはX-PCIの適応を有するSTEMI患者(胸痛から<12時間で,ST上昇かつ/またはECGで左脚ブロックを確認)。
【除外基準】NRMI登録施設から登録外施設へ搬送,door-to-balloon,door-to-needle時間が6時間超。
【患者背景】[条件を合致させた症例]年齢はX-PCI群61.5±12.1歳,O-FT群61.8±12.0歳。女性27.4%,27.4%。糖尿病18.5%,18.9%,高血圧48.1%,48.1%,狭心症既往9.0%,8.9%,高コレステロール血症36.4%,36.3%,喫煙歴43.0%,41.1%,MI既往16.3%,15.1%。入院前の遅れ:<2時間65.1%,64.7%,2~6時間25.8%,25.7%,6~12時間9.1%,9.6%。発作から病院到着までの時間中央値1.4時間,1.5時間。O-FT群のdoor-to-needle 時間中央値35.0分。X-PCI群のdoor-to-balloon時間中央値161.0分。
治療法 プロペンシティスコアを用い,X-PCIを受けた11,622例のうち9,506例をO-FT群95,356例の中から1:1で合致させた。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
90分を超えるX-PCI の遅れは68%にみられた(中央値154分)。
生存率(X-PCI群4.8% vs. O-FT群6.2%,差-5.94%)は同等であったが,死亡/MI発生率(5.9% vs. 8.5%),死亡/MI/脳卒中発生率(6.3% vs. 9.3%)はX-PCI群のほうが低かった。
PCIによる生存率についてのベネフィットは時間依存的であった。PCIの遅れが60分未満ではベネフィットがみられたが(X-PCI群2.7% vs. O-FT群7.4%),60~90分ではベネフィットは減少し(X-PCI群3.6% vs. O-FT群5.5%),90分を超えるとみられなくなった(X-PCI群5.7% vs. O-FT群6.1%)。
条件付きロジスティック回帰分析によると,door-to-balloon/needle 時間が121分を超えるとX-PCIの生存率改善効果は認められなかった。また,死亡/MI/脳卒中の複合についての有効性は158分を超えると認められなくなった。

●有害事象

文献: Pinto DS, et al., for the National Registry of Myocardial Infarction Investigators. Benefit of Transferring ST-Segment-Elevation Myocardial Infarction Patients for Percutaneous Coronary Intervention Compared With Administration of Onsite Fibrinolytic Declines as Delays Increase. Circulation 2011; 124: 2512-21. pubmed
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