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Huhtakangas J et al Effect of Increased Warfarin Use on Warfarin-related Cerebral Hemorrhage: a Longitudinal Population-based Study
結論 1993年から2008年にかけて,warfarinの使用は約4倍に増加したが,warfarin関連脳内出血年間発生率,脳内出血発生後28日間の致死率は低下した。
コメント ワルファリン処方者数が1993年から2008年までに3.6倍増加する中で,ワルファリン療法中の脳内出血発症率とその死亡率は減少傾向を示した。その理由として入院時のワルファリンが治療域を超えている割合が減少していることから,ワルファリンコントロールの改善と2004年からの第IX因子複合体によるPT-INRの急速是正法導入を挙げている。ただし,ワルファリン療法中の脳内出血はワルファリン非投与中の脳内出血と比較して転帰が悪いこともあわせて示されており,ワルファリン療法例では,今後も適切なPT-INRコントロールと脳内出血の最大のリスクである徹底的な血圧管理,および適切な脳内出血急性期管理が求められるであろう。(矢坂正弘

目的 老齢人口の増加とともにwarfarinの使用も増えている。ここでは,warfarin使用が初発warfarin関連脳内出血年間発生率を上昇させるか検討する。
デザイン 集団ベース研究。
セッティング 単施設,フィンランド。
期間 追跡期間は脳内出血の1年後または死亡まで。
対象患者 982例。フィンランド,北ポフヤンマー県(2008年の人口は約39万人)にて1993年1月1日~2008年12月31日に発症した初発脳内出血患者[初発脳内出血のためOulu大学病院(当該地域の唯一の脳卒中治療施設)に入院した患者全例+入院しなかったが脳内出血のため死亡した症例]。
【除外基準】当該地域外に居住している患者,脳腫瘍,動脈瘤,血管奇形,悪性血液疾患,血友病,頭部外傷,warfarin以外の抗凝固薬使用歴。
【患者背景】年齢はwarfarin群(182例)74.4±8.8歳,非使用群(800例)67.9±12.6歳*。各群の男性56.0%,53.3%。入院時のGlasgow Coma Scaleスコア中央値13(7~15),14(10~15)。血腫容積47.8±58.0,29.6±37.0 *。INR 3.1±1.2,1.1±0.2*。リスク因子:糖尿病25.1%,15.6%**,心疾患(心筋梗塞/冠動脈疾患/心不全/心房細動)73.9%,31.5%*,高血圧64.6%,62.5%。warfarin群におけるwarfarin適応病態:心房細動60%,脳梗塞14%,血栓塞栓症既往11%,心疾患6%,人工弁5%。
*p<0.001,**p=0.002。
治療法
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
全例のうちwarfarin服用中であったのは182例(18.5%)であった。
warfarin使用は1993年の2,235例(0.63%)から2008年の8,886例(2.28%)へ約3.6倍に増加した。
脳出血発生後の1年生存率はwarfarin群35.2%と,非使用群67.9%に比し低かった(p<0.001)。
脳内出血発生後28日間の致死率はwarfarin群54.4%と,非使用群23.4%に比し高かった(p<0.001)。28日間の致死率の独立予測因子は以下の通りであった。
warfarinの使用:OR 2.502,95%CI 1.728-3.624,p=0.000。
年齢(1歳ごと):OR 1.028,95%CI 1.013-1.044,p=0.000。
心疾患:OR 1.714,95%CI 1.224-2.400,p=0.002。
糖尿病:OR 1.555,95%CI 1.062-2.275,p=0.023。
warfarin関連脳内出血年間発生率(Spearman rank-0.477,p=0.062),warfarin関連脳内出血発生後28日間の致死率(Spearman rank-0.779,p=0.002)は観察期間中に減少した。
入院時のINRが治療域(2.0~3.0)を上回っていた割合は観察期間に減少し(p=0.043),抗凝固療法コントロールの改善が示唆された。脳内出血発生後28日間の致死率はINR>3.0では61.3%,<3.0では45.6%であった(p=0.051)。

●有害事象

文献: Huhtakangas J, et al. Effect of increased warfarin use on warfarin-related cerebral hemorrhage: a longitudinal population-based study. Stroke 2011; 42: 2431-5. pubmed
関連トライアル Flaherty ML et al, Guerrouij M et al, Majeed A et al, North Dublin Population Stroke Study, Registry of the Canadian Stroke Network, Robinson MT et al, SPAF II 1996, SPORTIF elderly patients, SPORTIF risk of bleeding, 抗血栓薬使用,脳内微小出血および脳内出血
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