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CASSIOPEA Clinical Study Assessing SSR126517E Injections Once-weekly in Pulmonary Embolism Therapeutic Approach
結論 肺塞栓症(PE)患者の長期治療において,idrabiotaparinuxはwarfarinに対し非劣性を示し,よい代替薬になり得ると考えられた。また,出血リスク低減の可能性も示唆された。
コメント idrabiotaparinuxは半減期が長いため,週1回皮下注で投与する選択的抗Xa薬である。同じく週1回皮下注で投与される抗Xa薬idraparinuxと異なり,avidinによる効果のリバースが可能である。これまでの研究で,深部静脈血栓症に対してはidrabiotaparinuxもidraparinuxも単独治療で開始しても,従来治療(へパリンで開始してワルファリンに切り替える方法)と同等の治療効果が示されているものの,肺血栓塞栓症に対してはidraparinux単独治療が従来治療に対し治療効果が劣ることが示されていた。今回は肺血栓塞栓症に対して低分子量へパリンで治療を開始すれば,idrabiotaparinux週1回皮下注が従来のワルファリン治療と比較し,効果や安全性の面で非劣性であることが示された。血液検査によるモニターが不要であり,食事や他剤の影響を受けにくいことより,将来,本薬導入によって早期退院や外来治療において管理しやすくなることが期待される。(山田典一

目的 PEに対する標準治療[最初に未分画heparin(UFH)/低分子量heparin(LMWH)を投与し,その後warfarinに切り替える]は効果的であるものの,heparin,warfarinともモニタリングや用量調整が必要であるなど課題が残る。しかしidrabiotaparinuxは週1回の皮下注射でよいため,患者のQOL改善が期待される。本試験では,PE患者においてenoxaparin投与後idrabiotaparinux週1回,3~6ヵ月投与がenoxaparin投与後warfarinに切り替える標準治療に比し非劣性を示すか検討する。有効性の一次エンドポイント:99日間の客観的に確認された症候性静脈血栓塞栓症(VTE)再発(PE/深部静脈血栓症)。安全性の一次エンドポイント:臨床的に意義のある出血,全死亡。
デザイン 無作為割付,二重盲検,非劣性試験(非劣性マージン2.0)。intention-to-treat解析。NCT00345618。
セッティング 多施設(291施設),37カ国。
期間 登録期間は2006年8月1日~2010年1月31日。
対象患者 3,202例。急性PEの確定診断を受けた成人患者連続例。
【除外基準】活動性出血または出血高リスク,クレアチニンクリアランス(CrCl)<10mL/分または末期の腎不全,悪性高血圧,試験薬に対するアレルギー/過敏性,無作為割付前に治療用量のLMWH/UFH/fondaparinuxの36時間以上の投与,当該PEに対し血栓溶解療法/塞栓除去術/大静脈フィルターの適応がある,PE以外に抗凝固療法延長の適応病態を有する,余命<6ヵ月,妊娠,授乳中など。
【患者背景】平均年齢はidrabiotaparinux 群57.4±16.5歳,warfarin群58.1±15.8歳。各群の男性52%,51%。体重50~99kg 83%,80%,≧100kg 15%,18%。CrCl 30~49mL/分10%,9%,50~79mL/分27%,30%,≧80mL/分61%,60%。リスク因子:VTE既往19%,18%,現在のがんまたは治療後6ヵ月以内6%,6%,血栓形成傾向状態4%,3%,術後/外傷後3ヵ月以内15%,15%,3日を超える可動性制限19%,17%,エストロゲン療法9%,8%,特発性53%,55%。予定治療期間:3ヵ月21%,21%,6ヵ月80%,79%。
治療法 idrabiotaparinux群(1,599例),warfarin群(1,603例)に無作為割付後, enoxaparin 1.0mg/kg(腎障害の場合は調整)1日2回皮下注を開始。24時間以内にwarfarin(INR 2.0~3.0,標的INR 2.5を維持する用量)またはプラセボ投与を開始し,患者がenoxaparinを5日以上投与され,24時間以上間隔を空けた2回以上の測定でINR ≧2.0であったときにenoxaparinを中止した。その後idrabiotaparinux(3.0mg)またはプラセボを週1回皮下注。CrCl<30mL/分の患者では2回目以降の用量は1.8mgとした。予定治療期間(3または6ヵ月)は臨床所見およびリスク因子にもとづいて決定された。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
VTE再発はidrabiotaparinux 群34例(2%)で,warfarin群43例(3%)に対し非劣性を示した(OR 0.79,95%CI 0.50-1.25,非劣性p=0.0001)。内訳は,致死的PE/PEが除外できない16例 vs. 16例,非致死的PE 13例 vs. 9例,深部静脈血栓症のみ5例 vs. 18例。

●有害事象
臨床的に意義のある出血はidrabiotaparinux 群72 例(5%)で,warfarin群106 例(7%)より少なかった(OR 0.67,95%CI 0.49-0.91,優越性p=0.0098)。このうち大出血は20例 vs. 39例であった。
全死亡は89例 vs. 84例であった。

文献: Büller HR, et al.; Cassiopea Investigators. Enoxaparin followed by once-weekly idrabiotaparinux versus enoxaparin plus warfarin for patients with acute symptomatic pulmonary embolism: a randomised, double-blind, double-dummy, non-inferiority trial. Lancet 2012; 379: 123-9. pubmed
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