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メタ解析
抗凝固療法のセルフモニタリング
Self-monitoring of oral anticoagulation: systematic review and meta-analysis of individual patient data
結論 抗凝固療法のセルフモニタリング(セルフテスト,セルフマネジメント)は,適切な患者においては年齢にかかわらず安全な選択である。

目的 抗凝固療法におけるセルフモニタリング(セルフテスト:患者が自分でINRを測定,セルフマネジメント:INRの自己測定結果をもとに自分でwarfarinの用量を調整)の有効性は認められているものの,その普及は十分ではない。本メタ解析では,セルフモニタリングによる死亡までの時間,初回大出血(ISTH出血基準),初回血栓塞栓イベントにおける効果を検討する。
方法 Ovid versions of Embase(1980~2009年),Medline(1966~2009年),Cochrane Central Register of Controlled Trials(issue 2, 2009),Cinahl(1982~2009年)において,感度分析を用い,成人患者において抗凝固療法のセルフテスト/セルフマネジメントの効果をコントロール/医療者による用量調整と比較し,血栓塞栓/大出血イベントの結果を報告している無作為化臨床試験(RCT)を検索。抗凝固療法の適応病態,論文の言語の制限は行わなかった。未出版の試験および文献のハンドサーチも行った。
Random-effects modelを用いて解析を行った。
対象 RCT 11試験[6417例:セルフモニタリング群3266例+対照群(従来型治療)3151例,追跡期間:12800患者・年,平均1.99±1.22年]。
【患者背景】平均年齢65.0歳(範囲17~94歳;セルフモニタリング群64.2±11.7歳 vs. 対照群65.9±10.5歳,p<0.0001)。女性22%。抗凝固療法の適応病態:心房細動53%,機械弁35%,その他12%。患者登録期間1992~2006年。主要評価項目の出版年2000~2010年。モニタリングのタイプ:セルフマネジメントあり8試験,セルフテストのみ3試験。
主な結果 ・血栓塞栓イベント
血栓塞栓イベントはセルフモニタリング群で減少した(セルフモニタリング群114/3053例 vs. 対照群152/2939例,HR 0.51,95%CI 0.31-0.85,p=0.010,I2=52.6%)。出版バイアスはみられなかった(Begg’s test:p=0.35,Egger’s test:p=0.05)。
血栓塞栓症は55歳以下(HR 0.33,95%CI 0.17-0.66,p=0.002,I2=0%),機械弁患者(HR 0.52,95%CI 0.35-0.77,p=0.001,I2=0%)で顕著に減少した。
モニタリングのタイプ別の検討では,セルフマネジメント群(8試験)では血栓塞栓イベントが減少したが(HR 0.42,95%CI 0.28-0.65,p<0.001,I2=0%),セルフテスト単独群(INR自己測定のみ,3試験)では減少しなかった(HR 0.74,95%CI 0.30-1.82,p=0.51,I2=50.3%)。セルフマネジメント,セルフテスト単独の間に交互作用がみられた(交互作用p=0.002)。

・大出血
両群間に有意差は認められなかった(セルフモニタリング群230/3216例 vs. 対照群244/3101例,HR 0.88,95%CI 0.74-1.06,p=0.18,I2=0%)。出版バイアスはみられなかった(Begg’s test:p=1.00,Egger’s test:p=0.92)。

・死亡
両群間に有意差は認められなかった(セルフモニタリング群247/3071例 vs. 対照群274/2956例,HR 0.82,95%CI 0.62-1.09,p=0.18,I2=37.0%)。

・高齢患者における検討
85歳以上(99例)ではすべての転帰についてセルフモニタリングによる悪化は認められず,死亡の減少がみられた(HR 0.44,95%CI 0.20-0.98,p=0.044,I2=0%)。

・TTR
機械弁および心房細動患者において,最初の7日間におけるINR至適範囲内時間(TTR)はセルフモニタリング群の方が対照群に比し長かったが,その差は時間経過とともに小さくなった。
機械弁: 7日間の平均群間差12.25%,95%CI 8.99-15.51(p<0.001)→1年間の平均群間差2.71%,95%CI -6.10-11.51(p=0.55)。
心房細動:7日間の平均群間差10.38%,95%CI 8.56-12.20(p<0.001)→1年間の平均群間差5.13%,95%CI 0.97-9.28(p=0.02)。
文献: Heneghan C, et al.; Self-Monitoring Trialist Collaboration. Self-monitoring of oral anticoagulation: systematic review and meta-analysis of individual patient data. Lancet 2012; 379: 322-34. pubmed
関連トライアル AMADEUS, Crowther MA et al, Fitzmaurice DA et al, 心血管疾患リスクを有する患者におけるaspirin+OAC併用とOAC単独投与の比較, 長期VKA療法患者における周術期橋渡し療法
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