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Tafur AJ et al Predictors of Major Bleeding in Peri-Procedural Anticoagulation Management
結論 侵襲的手技のために一時的に抗凝固薬を中止する長期抗凝固療法中の患者において,周術期出血を予測する因子は基本的には患者特異的であった。術後早期のヘパリン再開は回避を考えるべきである。

目的 長期抗凝固療法中の患者が侵襲的手技のために一時的に抗凝固薬を中止する場合,血栓リスクと出血リスクのバランスを取ることが必要になるが,手技後における出血の予測因子は明確になっていない。本論文では,周術期出血の3ヵ月累積発生率および独立予測因子を検討する。
デザイン コホート研究。
セッティング 単施設,米国。
期間 試験期間は1997年1月1日~2007年12月31日。追跡期間は3ヵ月。
対象患者 2182例(手技2484件)。周術期の抗凝固管理のため1997年1月1日~2007年12月31日の間にMayo Clinic Thrombophilia Centerに照会された長期抗凝固療法中の患者連続例。
【除外基準】参加合意が得られなかった症例。
【患者背景】年齢はbridging therapy群(1496例)64.9±14.0歳,非施行群(686例)67.6±13.4歳(p<0.001)。各群の女性43%,38%(p=0.041)。warfarinの適応病態:機械弁31%,17%(大動脈弁22%,14%,僧帽弁11%,3%)(p<0.001),静脈血栓塞栓症37%,41%,心房細動28%,34%(p=0.001),脳卒中既往14%,10%(p=0.008)。病歴:貧血7%,6%,出血20%,20%,慢性腎疾患4%,6%,慢性心不全14%,10%,冠動脈疾患31%,28%,糖尿病18%,16%。薬物療法:aspirin 17%,16%,clopidogrel 1%,1%,スタチン28%,28%。
治療法 患者の血栓リスクおよび手技による大出血リスクを評価し,以下のような管理を行った。
出血リスクが低い手技*を受ける患者:warfarinの強度を治療域の下限に低下。
出血リスクが中等度~高度の手技を受ける患者:warfarinは手術の5日前に中止し,術後は可能な限り早く通常量の投与を再開。
血栓リスクが中等度~高度と考えられる患者:warfarinは手術の5日前に中止し,INRが治療域下限を下回ると予測される場合は外来にて低分子量heparin(LMWH,ardeparin/enoxaparin/dalteparin)によるbridging therapyを実施。LMWHの最終投与は手術前日の朝,用量は通常量の半分とした。術後は最低5日間,INRが治療域の下限を最低24時間上回るまでwarfarinとLMWHを併用投与した。適応のある場合,aspirinは通常は手技の1週間前に中止し,術後は止血が確認されてから再開した。
*:生検,内視鏡検査,血管内インターベンション手技,抜歯,白内障手術,ペースメーカー植込み,関節鏡視下手術,皮膚手術。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
1496例(手技1714件)がLMWHによるbridging therapyを受けた。
全例における3ヵ月間の累積出血発生は127例(5%),うち大出血(ISTH出血基準)は51例(2.1%)であった。大出血はbridging therapy群43例(3%)で,非施行群8例(1%)に比し多かった(p=0.017)。
多変量解析によると,大出血の独立予測因子は以下の通りであった。
僧帽弁(機械弁):HR 2.2,95%CI 1.1-4.3,p=0.03。
活動性がん:HR 1.8,95%1.0-3.1,p=0.04。
出血の既往:HR 2.6,95%1.5-4.5,p<0.001。
手技後24時間以内のLMWH再開:HR 1.9,95%1.1-3.4,p=0.02。
BleedMAPスコア[出血の既往,僧帽弁(機械弁),活動性がん,低血小板数を各1点とする]による大出血発生率は0点:全例0.81%,bridging therapy群0.75%,1~2点:2.67%,3.36%,≧3点:10.0%,12.12%,血栓イベント発生率は0点:全例0.71%,bridging therapy群0.60%,1~2点:0.89%,0.89%,≧3点:0%,0%であった。

●有害事象
[評価項目]に表記。

文献: Tafur AJ, et al. Predictors of major bleeding in peri-procedural anticoagulation management. J Thromb Haemost 2012; 10: 261-7. pubmed
関連トライアル ACE , AFASAK 2 1999, Dresden NOAC registry, FCSA, fondaparinux によるVTE予防療法における大出血および死亡, Garcia DA et al, Jaffer AK et al, PREVENT 2003, PROSPECT , RE-LY risk of bleeding, SPAF II 1996, SPORTIF risk of bleeding, Tompkins C et al, WARPED , Witt DM et al, Yokoshiki H et al
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