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ISAR-REACT 4 Intracoronary stenting and antithrombotic regimen: Rapid early action for coronary treatment 4
結論 PCIを施行するST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において,abciximab+未分画heparin(UFH) はbivalirudin単独に比し虚血事象を抑制せず,大出血を増加させた。
コメント 本試験において使用されたGP IIb/IIIa受容体阻害薬abciximab,bivalirudinともに本邦では認可承認されていない。abciximabは臨床試験が行われたが成功しなかった(JEPPORT試験)。bivalirudinは経静脈的に用いる抗トロンビン薬であるが,本邦では試験も行われていない。これらの薬剤を使用する前提としてaspirinとclopidogrel,それも本邦における標準用量の倍にあたる600mgローディングが施行されている。抗血栓薬が多用される欧米世界は,日本人よりも血栓性の高い患者集団に満ちていると想定される。本試験の一次エンドポイントは30日以内の死亡,大きな心筋梗塞の再発,緊急血行再建術,大出血の複合エンドポイントである。これだけ強力な抗血栓療法を行いながら,10%近い症例に一次エンドポイントが発症している欧米の冠動脈疾患は,日本の症例より重篤な疾患と認識される。(後藤信哉

目的 PCIを施行するSTEMI患者において,abciximab+UFH併用がbivalirudinに比し臨床転帰を改善するか検討する。一次エンドポイント:30日以内の死亡,MIの大きな再発,緊急標的血管血行再建術,大出血*の複合。
*:頭蓋内/眼内/後腹膜出血,ヘモグロビンの40g/L以上の低下および明白な出血か2単位以上の濃縮赤血球/全血の輸血を必要とする出血がある。
デザイン 無作為割付,二重盲検。intention-to-treat解析。NCT00373451。
セッティング 表記なし。
期間 表記なし。
対象患者 1721例。19~80歳,48時間以内の安静時/軽度の労作時に発生した,症状が増悪する/20分以上持続する/再発する狭心症,心バイオマーカーが正常値上限を超える上昇,PCIを必要とする冠狭窄。
【除外基準】発作から48時間以内のST上昇型AMI,心原性ショック,心膜炎,活動性出血または出血性素因,消化管/尿生殖器の大出血の既往,重篤な外傷または大手術後1ヵ月以内,頭蓋内出血既往または構造的な頭蓋内異常,治療にかかわらず血圧が>180/110mmHg,30日後までに段階的PCIを予定または30日前までにPCIを施行,ヘモグロビン<100g/L,血小板数<10万/μLまたは>60万/μL,GFR<30mL/分または血清クレアチニン>30mg/L,7日以内のcoumarin,14日以内のGP IIb/IIIa受容体拮抗薬,4時間以内のUFH,8時間以内のLMWH,24時間以内のbivalirudin投与など。
【患者背景】年齢はabciximab群67.5±11.2歳,bivalirudin群67.5±10.8歳。各群の女性23.2%,23.1%。糖尿病29.8%,28.3%。現喫煙25.0%,22.7%。高血圧86.5%,84.5%。高コレステロール血症69.7%,67.4%。病変血管数:1枝19.4%,20.6%,2枝24.7%,25.8%,3枝55.9%,53.6%。MI既往21.8%,19.0%。
治療法 バイオマーカー上昇を呈しているACS患者に対し,入院後24時間以内の早期侵襲的手技施行を標準治療とした。全例に,試験薬投与前にaspirin 325~500mgおよびclopidogrel 600mgを投与。PCI施行決定後に以下の2群に無作為割付した。
abciximab 群:861例。abciximab 0.25mg/kgボーラス投与後,0.125μg/kg/分(最大10μg/分)を12時間注入+heparin 70単位/kgボーラス投与。
bivalirudin群:860例。bivalirudin 0.75mg/kgボーラス投与後,手技の間1.75mg/kg/時を注入。
手技後はaspirin 80~325mg/日を無期限投与およびclopidogrel 75~150mg/日を退院まで(3日以内),その後75mg/日を6ヵ月間投与。
追跡完了率 30日後の追跡不能は2例(いずれもabciximab群)。
結果

●評価項目
一次エンドポイントはabciximab 群94例(10.9%),bivalirudin群95例(11.0%)と同等であった(RR 0.99,95%CI 0.74-1.32,p=0.94)。
死亡,全MI再発,緊急標的血管血行再建術の複合もabciximab 群110例(12.8%)vs. bivalirudin群115例(13.4%)と同等であった(RR 0.96,95%CI 0.74-1.25,p=0.76)。

●有害事象
大出血はabciximab群40例(4.6%)とbivalirudin群22例(2.6%)に比し多かった(RR 1.84,95%CI 1.10-3.07,p=0.02)。
TIMI大出血はabciximab 群19例(2.2%)vs. bivalirudin群16例(1.9%)と同等であった(RR 1.19,95%CI 0.61-2.31,p=0.61)。

文献: Kastrati A, et al.; the ISAR-REACT 4 Trial Investigators. Abciximab and Heparin versus Bivalirudin for Non-ST-Elevation Myocardial Infarction. N Engl J Med 2011; 365: 1980-9. pubmed
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