抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
J-RHYTHM Registry warfarin use
結論 日本人の心房細動患者において,抗凝固療法に関するガイドラインのアドヒアランスは限定的であった。
コメント 論文Table1,3の年齢別の%は,本来年齢別ごとに和が100% になるように表示すべきであろう。また,ガイドラインは70歳未満と以上でINR targetが異なるのに対し,Table1,2では75歳未満と以上で分類している。60~74歳ではtarget INRが1.6~2.6と2.0~3.0の症例が混在することになり,表示の仕方を再考した方がよいのではないだろうか。(是恒之宏

目的 (1)うっ血性心不全,高血圧,老齢,糖尿病,脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)既往を有する非弁膜症性心房細動患者におけるwarfarin使用の決定因子,(2)warfarin服用中の心房細動患者における PT-INRの決定因子を検討する。
デザイン 観察的コホート研究。UMIN000001569。
セッティング 多施設,日本。
期間
対象患者 (1)6324例(warfarin非投与群710例+投与群5614例)。J-RHYTHM Registry登録患者7937例のうち,CHADS2スコア≧1で,僧帽弁狭窄症,機械弁置換を受けていない非弁膜症性心房細動患者。
(2)6932例(PT-INR低値群2906例+標的PT-INR群3648例+PT-INR高値群378例)。登録時にwarfarin投与を受けている非弁膜症性および弁膜症性心房細動患者。
【除外基準】―
【患者背景】(1)年齢(p=0.0076):≦59歳はwarfarin非投与群13.9%,投与群10.8%,60~74歳43.5%,48.7%,≧75歳42.6%,40.5%。各群の男性68.2%,70.0%。心房細動のタイプ(p<0.0001):発作性56.2%,33.6%,持続性11.8%,14.2%,永続性32.0%,52.2%。うっ血性心不全21.8%,34.4%(p<0.0001)。脳卒中/TIA 9.4%,17.3%(p<0.0001)。抗血小板療法55.5%,19.3%(p<0.0001)。CHADS 2スコア(p<0.0001)1:52.5%,39.4%,2:28.9%,33.2%,3:11.3%,17.5%,4:4.9%,7.0%,5以上:2.4%,2.9%。
(2)年齢(p<0.0001):≦59歳はPT-INR低値群19.0%,標的PT-INR群9.2%,PT-INR高値群3.7%,60~74歳57.7%,48.3%,50.3%,≧75歳23.3%,42.5%,46.0%。各群の男性(p=0.0147)70.5%,67.2%,69.6%。心房細動のタイプ(p=0.0078):発作性36.1%,32.1%,31.2%,持続性15.0%,14.9%,15.3%,永続性48.9%,53.0%,53.5%。うっ血性心不全30.8%,32.5%,37.6%(p=0.0194)。高血圧57.2%,62.1%,60.1%(p=0.0002)。脳卒中/TIA 12.5%,16.7%,18.5%(p<0.0001)。
治療法 warfarin投与例における標的PT-INR値は,非弁膜症性心房細動患者は70歳以上:1.6~2.6,70歳未満:2~3,弁膜症性心房細動患者は2~3とした。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
(1)warfarin使用の決定因子
CHADS2スコア≧1の非弁膜症性心房細動患者のうち,5614例(88.8%)がwarfarin投与を受けていた。
warfarin投与患者は,非投与患者に比し,永続性心房細動,うっ血性心不全,脳卒中/TIAが多く,CHADS2スコアが高かった(患者背景の項参照)。
ロジスティック回帰分析によると,warfarin使用の決定因子は年齢,心房細動のタイプ,合併症で,抗血小板療法は負の決定因子であった。
年齢60~74歳(60歳未満に比し):OR 1.538;95%CI 1.177-1.995,p=0.0014。
年齢75歳以上(60歳未満に比し):OR 1.357;1.032-1.775,p=0.027。
持続性心房細動(発作性に比し):OR 1.909;1.472-2.501,p<0.0001。
永続性心房細動(発作性に比し):OR 2.632;2.183-3.181,p<0.0001。
うっ血性心不全:OR 1.700;1.377-2.110,p<0.0001。
糖尿病:OR 1.400;1.133-1.741,p=0.017。
脳卒中/TIA:OR 2.646;2.019-3.521,p<0.0001。
抗血小板療法:OR 0.155;0.130-0.184,p<0.0001。

(2)PT-INRの決定因子
標的PT-INR基準に合致していたのは52.6%で,5.5%ではそれより高く,41.9%では低かった。
ロジスティック回帰分析によると,標的PT-INR基準合致の決定因子は年齢,永続性心房細動,高血圧,脳卒中/TIA既往で,糖尿病は負の決定因子であった。また,抗血小板療法を変数に追加しても同様の結果で,抗血小板療法は負の決定因子であった。
(数値は抗血小板療法追加後のものを示す)
年齢60~74歳(60歳未満に比し):OR 1.693;95%CI 1.452-1.975,p<0.0001。
年齢75歳以上(60歳未満に比し):OR 3.631;3.069-4.295,p<0.0001。
永続性心房細動(発作性に比し):OR 1.140;1.017-1.279,p=0.025。
高血圧:OR 1.161;1.047-1.287,p=0.0046。
脳卒中/TIA:OR 1.331;1.151-1.540,p=0.0001。
糖尿病:OR 0.848;0.746-0.965,p=0.013。
抗血小板療法:OR 0.866;0.758-0.990,p=0.035。

●有害事象

文献: J-RHYTHM Registry Investigators. Determinants of warfarin use and international normalized ratio levels in atrial fibrillation patients in Japan. - Subanalysis of the J-RHYTHM Registry-. Circ J 2011; 75: 2357-62. pubmed
関連トライアル ACTION, ACTION Registry-GWTG stratified analysis, ACTIVE W paroxysmal vs sustained, AFASAK 2 1999, Avgil Tsadok M et al, Fukuoka Stroke Registry, HAT 1, Hylek EM et al, J-RHYTHM Registry anticoagulation, J-RHYTHM target INR values, Roldan V et al, SPAF III 1996
関連記事