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De Marchis GM et al Intracranial hemorrhage, outcome, and mortality after intra-arterial therapy for acute ischemic stroke in patients under oral anticoagulants
結論 動脈内治療を受けた虚血性脳卒中患者において,経口抗凝固薬(OAC)前投与は90日後の症候性頭蓋内出血,転帰不良,死亡を増加させなかった。

目的 現行のガイドラインでは,虚血性脳卒中に対するtPA静注はINRが1.7未満の患者に制限されているが,1.7未満であっても症候性頭蓋内出血リスクが上昇するという報告もある。本研究では,動脈内治療を受けた虚血性脳卒中患者において,OAC前投与の有無別に症候性頭蓋内出血,臨床転帰,死亡率を検討する。
デザイン 後ろ向き研究。
セッティング 単施設,スイス。
期間 治療期間は1992年12月~2010年10月。
対象患者 714例。1992年12月~2010年10月に動脈内治療を受けた虚血性脳卒中患者連続例。
【動脈内治療実施基準】虚血性脳卒中の臨床症状,NIHSS 4点以上または症候が半盲/失語症のみ,CT/MRIで出血が認められない,脳血管DSAで神経学的欠損と一致する血管閉塞が認められる,発症から動脈内治療までの時間が6時間以内,機械的血栓除去術までの時間が8時間以内(前方循環脳卒中),動脈内治療までの時間が12時間以内(椎骨脳底動脈閉塞),血栓溶解療法を控えるべき臨床所見,検査所見がない。
【患者背景】年齢中央値はOAC前投与群70.7(58.1~76.2)歳,非前投与群65.6(55.4~73.6)歳。各群の男性60.7%,54.4%。病歴:脳卒中既往25.0%,6.4%(p<0.0001),心房細動75.0%,28.0%(p<0.0001),高血圧75.0%,59.0%,現喫煙3.6%,22.3%(p=0.02),糖尿病21.4%,13.8%,冠動脈疾患28.6%,17.4%,脂質異常症50.0%,48.5%,抗血小板療法3.6%,9.2%(p<0.0001)。開始時のNIHSS 17(IQR 14~19.5),15(IQR 10~19)。発症から治療までの時間269(IQR 225~295)分,276(IQR 222~336)分。脳卒中の病型(p<0.0001):大血管疾患0%,17.2%,小血管疾患3.6%,0.15%,心原性89.3%,44.5%,原因不明0%,25.8%,その他7.1%,4.7%。
治療法 動脈内治療[機械的血栓除去術単独,薬物療法単独(urokinaseによる動脈内血栓溶解療法),両者併用]を実施。
動脈内治療の前または施行中に,OACの中和(新鮮凍結血漿,ビタミンKなど)は行わなかった。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
虚血性脳卒中発症時にOAC前投与を受けていたのは28例(3.9%)であった。INRはOAC前投与群1.79(IQR 1.41~2.3)で,非前投与群1.01(IQR 1.0~1.09)に比し高かった(p<0.0001)。
OAC前投与群は非前投与群に比し入院時に機械的血栓除去術が多く施行された(p<0.0001,機械的血栓除去術単独46.4% vs. 12.8%,薬物治療単独28.6% vs. 58.9%,薬物+機械併用25% vs. 28.2%)。urokinaseの用量中央値は375(IQR 0~1000)×10 3IU vs. 1000(500~1000)×10 3IU(p<0.001)。
部分的または完全再開通(TIMI grade 2~3)はOAC前投与群20例(71.4%),非前投与群480例(70.0%)と同等であった(p=0.87)。

●有害事象
頭蓋内出血,転帰不良(mRS 3~6),死亡率は同等であった。
症候性頭蓋内出血(SITS-MOST定義):2例(7.1%)vs. 41例(6.0%),p=0.80。
無症候性頭蓋内出血:3例(10.7%)vs. 119例(17.4%),p=0.36。
転帰不良:19例(67.9%)vs. 349例(50.9%),p=0.11。
死亡:5例(17.9%)vs. 148例(21.6%),p=0.58。

文献: De Marchis GM, et al. Intracranial hemorrhage, outcome, and mortality after intra-arterial therapy for acute ischemic stroke in patients under oral anticoagulants. Stroke 2011; 42: 3061-6. pubmed
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