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Sarikaya H et al Outcome of intravenous thrombolysis in stroke patients weighing over 100 kg
結論 現行のレジメンで静脈内血栓溶解療法を受けた,体重が100kgを超える脳梗塞患者について,転帰良好の可能性の低下は示されなかった。体重>100kgと死亡率,転帰不良との関連は認められたが,これについては大規模試験での検討が必要である。

目的 脳梗塞患者に対するalteplaseの用量は0.9mg/kg(最大90mg)とされているため,体重が100kgを超える患者では1kgあたりの投与量が少なくなること,肥満は脳梗塞の独立予測因子であることなどから,肥満の脳梗塞患者では血栓溶解療法から享受できるベネフィットが少なくなる可能性がある。本解析では,100kgを超える脳梗塞患者の転帰を≦100kgの患者と比較検討する。主要評価項目:3ヵ月後の転帰優良[modified Rankin Score(mRS) 0~1]。
デザイン コホート研究。
セッティング 多施設(6施設),スイス。
期間 治療期間は2008年12月31日まで。
対象患者 1479例。2008年12月31日までに静脈内血栓溶解療法を受けた脳梗塞患者連続例。
【除外基準】体重が不明の患者。
【患者背景】年齢中央値は>100kg群60.1(53.0~69.4)歳,≦100kg群70.0(58.9~78.0)歳(p<0.001)。男性83.2%,59.8%(p<0.001)。高血圧72.6%,63.7%。現喫煙33.7%,26.7%。糖尿病29.5%,13.4%(p<0.001)。高コレステロール血症50.6%,45.2%。脳卒中発症時の抗血小板薬37.9%,34.3%,抗凝固薬3.2%,2.7%。冠動脈疾患18.9%,18.1%。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値12.0(6~16),12.0(7~17)。発症から治療までの時間中央値170.0(135.0~180.0)分,157.5(130.0~180.0)分。脳卒中の原因:大血管疾患28.4%,24.2%,心原性33.7%,36.3%,小血管疾患3.2%,4.6%,その他6.3%,8.1%,原因不明28.4%,26.8%。
治療法 現行のガイドラインにしたがい,alteplase 0.9mg/kg(最大90mg)の10%をボーラス静注し,残りを1時間かけて静注した。
追跡完了率 3ヵ月後の臨床転帰追跡率は99%。
結果

●評価項目
>100kgは95例(6.4%)で,体重の中央値103kg,IQR 103~110kg,範囲101~150kg,≦100kgは1384例(93.6%)で,体重の中央値74kg,IQR 66~80kg,範囲36~100kgであった。>100kgの患者は若く,男性が多く,糖尿病合併が多かった(患者背景の項参照)。
>100kg,≦100kgの患者について,転帰優良(mRS 0~1),転帰良好(mRS 0~2),死亡率,症候性脳内出血は同等であった。
転帰優良:43例(45.3%)vs. 651例(47.6%),p=0.656。
転帰良好:55例(57.9%)vs. 874例(63.9%),p=0.270。
死亡率:16例(16.8%)vs. 168例(12.3%),p=0.196。
症候性脳内出血(NINDS定義):1例(1.1%)vs. 73例(5.4%),p=0.084。
症候性脳内出血(ECASS II定義):1例(1.1%)vs. 62例(4.6%),p=0.182。

多変量補正後,体重100 kg超は死亡率,転帰良好と関連していた。
死亡率:補正後OR 2.640,95%CI 1.305-5.341,p=0.007。
転帰良好:補正後OR 0.462,95%CI 0.265-0.807,p=0.007。

●有害事象
[評価項目]に表記。

文献: Sarikaya H, et al. Outcome of Intravenous Thrombolysis in Stroke Patients Weighing over 100 kg. Cerebrovasc Dis 2011; 32: 201-6. pubmed
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