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North Dublin Population Stroke Study
結論 脳卒中発症時における治療域内でのwarfarin療法は,病院で治療を受けた脳卒中患者における短期の転帰改善効果に加え,一般住民における長期転帰も改善する可能性が示された。
コメント 良好なワルファリンコントロールが長期の身体障害度や致死率を改善することをpopulation studyで示した点が興味深い。併存疾患の治療率も高く,治療コンプライアンスも加味された結果かもしれない。(岡田靖

目的 脳卒中発症時の治療域(PT-INR 2.0~3.0)内でのwarfarin療法は退院時の短期身体障害度を改善することが先行研究より知られているが,長期転帰については明らかになっていない。本論文では,全脳卒中(虚血性/出血性)患者および虚血性脳卒中患者において,治療域内でのwarfarin療法は,短期転帰だけでなく長期の身体障害度および致死率を改善するという仮説を検証する。
デザイン 住民ベース研究。
セッティング 多施設,アイルランド。
期間 登録期間は2005年12月1日~2006年11月30日。
対象患者 175例。北ダブリン市(人口約29万人)にて2005年12月1日~2006年11月30日に新規発症した虚血脳卒中(脳画像かつ/または剖検で確認)または出血性脳卒中(脳内またはくも膜下出血)で,心房細動を有する患者。
【除外基準】一過性脳虚血発作(TIA)患者,脳卒中発症前の薬物療法データが得られない患者。
【患者背景】虚血性脳卒中患者159例における患者背景を示す。症例数は抗血栓療法非実施62例,抗血小板療法70例,warfarin(PT-INR<2,平均1.4)13例,(PT-INR 2.0~3.0,平均2.5)14例。年齢中央値は77(66~83)歳,82(72~86)歳,76(69~80)歳,77(70~80)歳(p=0.04)。女性50%,54.3%,46%,64.3%。脳卒中既往6.5%,30%,23.1%,50%(p<0.001)。TIA既往15%,24.3%,23.1%,14.3%。発作性心房細動35.5%,31.4%,0%,42.9%(p=0.04)。
治療法 虚血性脳卒中発症患者における脳卒中発症前の薬物療法は,抗血小板薬70例(44%),warfarin 27例(17%),抗血栓療法なし62例(39%)。
追跡完了率 虚血性脳卒中患者における2年後の追跡完了率は97.5%。
結果

●評価項目
新規脳卒中発症患者568例のうち,177例(31.2%)が心房細動を有していた。脳卒中発症前の薬物療法データが得られなかった2例を除外した175例の内訳は,虚血性脳卒中159例,脳内出血13例,くも膜下出血3例であった。
多変量解析によると,治療域のPT-INRは虚血性脳卒中発症2年後の生存率を改善した(死亡についての補正後OR 0.08,95%CI 0.01-0.78,p=0.03)。
このベネフィットは出血性脳卒中患者を含めた解析でも認められた(2年後の生存率:治療域のPT-INR 70.5%,治療域外のPT-INR 14.3%,log-rank p<0.001,死亡についてのOR 0.27,95%CI 0.09-0.88,p=0.03)。
入院時のPT-INRは短期および長期のmRSと逆相関していた(2年後Spearman ρ=―0.65,p=0.0003)。
虚血性脳卒中発症時の治療域のPT-INRは短期(72時間後~28日後)のmRS改善(p=0.04)および1年後の転帰良好(mRS 0~2)と関連していた(補正後OR 4.8,95%CI 1.45-23.8,p=0.04)。

●有害事象

文献: Hannon N, et al. Improved late survival and disability after stroke with therapeutic anticoagulation for atrial fibrillation: a population study. Stroke 2011; 42: 2503-8. pubmed
関連トライアル ACTION, AFASAK 2 1999, ATRIA on and off anticoagulants, Danish Stroke Registry, Fukuoka Stroke Registry, Huhtakangas J et al, Hylek EM et al, J-RHYTHM target INR values, JNAF-ESP, Pengo V et al, Ruecker M et al, SPAF III 1996, SPORTIF INR control, SPORTIF pooled analysis, SPORTIF V, Swedish Atrial Fibrillation Cohort Study: net benefit, VISTA impact of atrial fibrillation
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