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Kimura K et al Clinical and MRI predictors of no early recanalization within 1 hour after tissue-type plasminogen activator administration
結論 虚血性脳卒中患者におけるtPA静注前の臨床因子,MRI所見のうち,静注1時間後の再開通の独立阻害因子はT2*強調画像でのM1 susceptibility vessel signのみであった。
コメント 内頸動脈および中大脳動脈閉塞患者に対する発症3時間以内のt-PA静注療法において,MRI T2*画像のSVS所見が早期再開通の阻害因子として診断的価値が非常に高いマーカーであることを示した。本知見は実用的かつ簡便な方法であり,今後治療選択においてt-PAとendovascular therapyのどちらが有効か比較検討する際の病態判断にも有用であろう。さらに多施設大規模研究での検証が望まれる。(岡田靖

目的 tPA静注で再開通が得られない虚血性脳卒中患者に対してはデバイスを用いた血管内治療が有効であり,静注前に再開通の阻害因子を予測することが重要となる。そこで,発症から3時間以内にtPA静注を受けた虚血性脳卒中患者について,静注1時間後の早期再開通の阻害因子(臨床因子およびMRI所見)を調査する。
デザイン コホート研究。
セッティング 単施設,日本。
期間 治療期間は2006年10月~2011年3月。
対象患者 132例。2006年10月~2011年3月,発症から3時間以内にtPA静注を受けた前方循環虚血性脳卒中患者連続例(MRAにてM1,M2,内頸動脈閉塞が確認された症例)。
【除外基準】心臓弁置換,ペースメーカー,脳動脈クリッピング。
【患者背景】年齢は早期再開通群76.3±10.4歳,非再開通群76.5±10.2歳。各群の女性49.0%,54.2%。高血圧63.3%,63.9%。糖尿病16.3%,24.1%。脂質異常症14.3%,20.5%。喫煙30.6%,25.0%。心房細動57.1%,68.7%。脳卒中の病型:心原性塞栓症59.2%,70.0%,大血管疾患2.0%,9.6%。NIHSS 15.2±6.3,15.6±7.0。発症から治療までの経過時間134.5±31.9分,145.5±28.4分。血糖値137.1±34.2mg/dL,158.6±63.0mg/dL(p=0.04)。閉塞部位:内頸動脈16.3%,34.9%(p=0.02),MI 53.1%,38.6%,M2 30.6%,26.5%。
治療法 発症から3時間以内にtPA静注。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
閉塞部位は内頸動脈37例,M1 58例,M2 37例であった。
tPA静注後60分以内に行われたMRAによると,早期再開通は49例(37.1%,完全再開通16例,部分的再開通33例),非再開通は83例(62.9%)であった。
T2*強調画像でのM1 susceptibility vessel sign(M1 SVS)は非再開通群の31.3%に認められ,再開通群の6.1%に比し多かった(p=0.0007)。
再開通が得られなかったのはM1 SVSを示した症例の89.7%,示さなかった症例の55.3%であった(p=0.007)。
多変量ロジスティック回帰分析によると,再開通の独立阻害因子はT2*強調画像でのM1 SVSのみであった(OR 7.157,95%CI 1.756-29.172,p=0.006;感度31.3%,特異度93.9%,陽性適中率89.7%,陰性適中率44.7%)。

●有害事象

文献: Kimura K, et al. Clinical and MRI predictors of no early recanalization within 1 hour after tissue-type plasminogen activator administration. Stroke 2011; 42: 3150-5. pubmed
関連トライアル Bhatia R et al, Mendonça N et al, Mikulik R et al 2007, RESCUE-Japan retrospective survey, Saqqur M et al
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