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Sarikaya H et al (obese) Impact of obesity on stroke outcome after intravenous thrombolysis
結論 血栓溶解療法を受けた脳梗塞患者において,肥満は転帰不良および死亡の独立予測因子であった。
コメント 血栓溶解療法を受けた脳梗塞患者において,肥満が転帰不良および死亡の独立予測因子であった理由として,筆者らは,肥満が炎症や血栓準備状態と関連すること,100kg以上の体重では最大投与量の規定から投与量が不十分である可能性,および肥満者における病院内での深部静脈血栓症などに関連する合併症発現率が高いことを挙げている。(矢坂正弘

目的 血栓溶解療法を受けた肥満(BMI 30kg/m2以上)の脳梗塞患者について,その転帰および安全性を非肥満患者と比較する。
デザイン コホート研究。
セッティング 単施設,スイス。
期間 治療期間は2005年1月1日~2008年11月30日。
対象患者 304例。alteplase静注を受けた脳梗塞患者連続例。
【除外基準】追加的血栓溶解療法を受けた患者。
【患者背景】年齢は肥満群63.6±13.6歳,非肥満群63.6±14.7歳。各群の男性62.3%,66.1%。高血圧77.4%,61.4%(p=0.03)。糖尿病30.2%,12.4%(p<0.01)。冠動脈疾患15.1%,17.1%。現喫煙28.3%,26.7%。脳卒中前の抗血小板薬35.8%,32.3%。ベースライン時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア 10.7±5.9,10.0±5.5。発症から治療までの経過時間161.3±38.6分,158.4±43.0分。脳卒中の原因:心原性脳塞栓49.1%,53.0%,大血管アテローム血栓17.0%,6.4%,小血管閉塞9.4%,6.4%,その他の原因3.8%,5.2%,原因不明20.7%,29.0%。
治療法 現行のガイドラインにしたがいalteplase を静注。ただし2002年2月の学会発表にもとづき, time windowは4.5時間までに延長した。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
全例のうち肥満患者は53例(17%,BMI 33.2kg/ m2),非肥満患者は251例(83%,BMI 25.1kg/ m2)であった。
肥満患者は非肥満患者に比し糖尿病,高血圧が多かった(患者背景の項参照)。
3カ月後,肥満患者は非肥満患者に比し転帰良好(mRS 0~1)が少なく,死亡は多かった。頭蓋内出血は同等であった。
転帰良好:27例(50.9%)vs. 171例(68.1%),p=0.02。
死亡:7例(13.2%)vs. 10例(4.0%),p=0.01。
症候性頭蓋内出血:1例(1.9%)vs. 4例(1.6%),p=1.0。
無症候性頭蓋内出血:7例(13.2%)vs. 35例(13.9%),p=0.62。
多変量補正後,肥満は転帰不良(p=0.04),死亡(p=0.04)の独立予測因子であった。
他の独立予測因子は以下の通りであった。
転帰不良:ベースライン時のNIHSS(p<0.01)。
死亡:ベースライン時のNIHSS(p<0.01),年齢(p=0.01),治療までの時間(p=0.02)。

●有害事象

文献: Sarikaya H, et al. Impact of obesity on stroke outcome after intravenous thrombolysis. Stroke 2011; 42: 2330-2. pubmed
関連トライアル Bichat Clinical Registry, CASES elderly patients, De Marchis GM et al, ECASS III, ICARO, J-MARS, Madrid Stroke Network, Mattle HP et al, Mikulik R et al 2009, Murthy SB et al, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI CT versus DWI, Saposnik G et al, Sarikaya H et al, Sarikaya H et al, Sarikaya H et al (posterior circulation stroke), Schellinger PD et al, Seet RC et al, SITS-ISTR blood pressure, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST multivariable analysis, TASCC, Toni D et al, TTT-AIS, Zinkstok SM et al
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