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ROCKET AF renal dysfunction
結論 中等度の腎機能障害を有する非弁膜症性心房細動患者では,腎機能正常患者に比し脳卒中および出血発症率は高い。ROCKET AF試験では,中等度腎機能障害患者に対してrivaroxabanの減量投与(15mg/日)が行われたが,腎機能正常患者に対するrivaroxaban 20mg/日投与による治療効果と差異は認められなかった。中等度腎機能障害患者と腎機能正常患者におけるrivaroxabanのwarfarinに対する効果は一貫していた。
コメント ROCKET AF試験では中等度腎機能障害患者においてリバーロキサバン投与量を20mgから15mgに減量して投与するプロトコールで行われ,その妥当性,データの一貫性につき検討した報告である。overallには全体との大きな違いはないが,①ワルファリン,リバーロキサバン両群とも出血のリスクは増大すること,②頭蓋内出血は中等度腎機能障害例ではワルファリン群とリバーロキサバン群で差がないことに留意すべきであろう。なお,致死的出血は全体の結果と同様にリバーロキサバン群で抑制されている。ただ,あくまでもサブ解析の結果は割り引いて評価すべきであり,中等度腎機能障害例は全体の20%であることから,より多数例での検討が必要である。(是恒之宏

目的 ROCKET AF試験対象患者のうち,クレアチニンクリアランス(CrCl)30~49mL/分の中等度腎機能障害患者に対しては,rivaroxabanは通常用量の20mg/日から15mg/日に減量して投与が行われた。本サブ解析では,ROCKET AF試験で事前に定められた二次解析として,腎機能正常患者に対する20mg,1日1回投与で得られたベネフィットが,中等度腎機能障害患者に対する15mg, 1日1回投与においても一致して認められるかどうか検討した。有効性の一次エンドポイント:脳卒中(虚血性/出血性),非中枢神経系塞栓症の複合。安全性の一次エンドポイント:ROCKET AF出血基準による重大な出血および重大ではないが臨床的に問題となる出血の複合。
デザイン ROCKET AFはランダム化,二重盲検,ダブルダミー。NCT00403767。
セッティング 多施設(1178施設),45カ国。
期間
対象患者 14264例。心電図で確定診断された非弁膜症性心房細動患者で,脳卒中リスクが中等度~高度の症例(CHADS2スコア≧2)。
【除外基準】CrCl<30mL/分,出血高リスク(30日以内の脳内出血,外科手術による外傷,6カ月以内の消化管出血)など。(詳細はROCKET AF試験に掲載)
【患者背景】[中等度腎機能障害患者]年齢はrivaroxaban 15mg群79(75~82)歳,warfarin群79(75~83)歳。各群の女性の割合55.0%,55.9%。心房細動:持続性82.2%,83.4%,発作性16.6%,14.6%。薬剤投与歴:aspirin 35.9%,37.4%,ビタミンK拮抗薬62.7%,61.3%。CHADS2スコア(平均±SD)3.68±1.00,3.67±1.01。脳卒中/非中枢神経系塞栓症/一過性脳虚血発作(TIA)既往50.1%,49.1%。
[腎機能正常患者]年齢はrivaroxaban 20mg群71(63~76)歳,warfarin群71(63~76)歳。各群の女性の割合35.6%,35.4%。心房細動:持続性80.9%,80.1%,発作性17.7%,18.7%。薬剤投与歴:aspirin 36.4%,36.5%,ビタミンK拮抗薬62.2%,62.9%。CHADS2スコア3.42±0.91,3.41±0.92。脳卒中/非中枢神経系塞栓症/TIA既往56.2%,56.0%。
治療法 ROCKET AFは以下の2群にランダム化。
rivaroxaban群:7111例。腎機能正常患者(CrCl≧50mL/分)にはrivaroxaban 20mg,中等度腎機能障害患者(CrCl 30~49mL/分)には15mgを1日1回投与。
warfarin群:7116例。PT-INR 2.0~3.0となるよう用量調整投与。
追跡完了率
結果

●評価項目
登録時における中等度腎機能障害は2950例(20.7%)に認められた。
warfarin群のINR治療域内時間(TTR)は,中等度腎機能障害患者では57.7%(IQR 42.2~69.9),腎機能正常患者では58.0%(IQR 43.1~70.8)。

[大きなプロトコール違反がなく治験薬を1回以上投与された集団の治験薬投与下(投与終了・中止2日後まで)における解析(Per-protocol, as treated population during treatment)]
解析対象:rivaroxaban群6958例(中等度腎機能障害患者1434例+腎機能正常患者5524例),warfarin群7018例(1462例+5556例)
中等度腎機能障害患者では腎機能正常患者に比し,治験薬にかかわらず一次エンドポイント(脳卒中または非中枢神経系塞栓症)発症率が高かったが,warfarin群との比較においてrivaroxabanの効果は一貫していた(交互作用p=0.76)。
中等度腎機能障害患者:rivaroxaban 15mg群2.32/100人・年,warfarin群2.77/100人・年(HR 0.84;95%CI 0.57-1.23)。
腎機能正常患者:rivaroxaban 20mg群1.57/100人・年,warfarin群2.00/100人・年(HR 0.78;0.63-0.98)。

[割り付けられた患者全例の試験終了までにおける解析(intention-to-treat 解析)]
解析対象:rivaroxaban群7081例(中等度腎機能障害患者1462例+腎機能正常患者5619例),warfarin群7081例(1459例+5622例)
上記の解析と同様の結果であった(交互作用p=0.85)。
中等度腎機能障害患者:rivaroxaban 15mg群2.95/100人・年,warfarin群3.44/100人・年(HR 0.86;0.63-1.17)。
腎機能正常患者:rivaroxaban 20mg群1.92/100人・年,warfarin群2.16/100人・年(HR 0.89;0.73-1.08)。

●有害事象
[プロトコール遵守状況にかかわらず治験薬を1回以上投与された集団の治験薬投与下(投与終了・中止2日後まで)における解析]
解析対象:rivaroxaban群7111例(中等度腎機能障害患者1474例+腎機能正常患者5637例),warfarin群7116例(1476例+5640例)
中等度腎機能障害患者では腎機能正常患者に比し,治験薬にかかわらず重大な出血または重大ではないが臨床的に問題となる出血発生率が高かったが,warfarin群との比較で,rivaroxaban群における過度の出血はみられなかった(交互作用p=0.45)。
中等度腎機能障害患者:rivaroxaban 15mg群17.82/100人・年,warfarin群18.28/100人・年(HR 0.98;0.84-1.14)。
腎機能正常患者:rivaroxaban 20mg群14.24/100人・年,warfarin群13.67/100人・年(HR 1.04;0.96-1.13)。

中等度腎機能障害患者において,頭蓋内出血はrivaroxaban 15mg群0.71/100人・年vs. warfarin群0.88/100人・年と同等であったが(p=0.54),致死的出血はrivaroxaban 15mg群で抑制された(0.28/100人・年vs. 0.74/100人・年,p=0.047)。

文献: Fox KA, et al. Prevention of stroke and systemic embolism with rivaroxaban compared with warfarin in patients with non-valvular atrial fibrillation and moderate renal impairment. Eur Heart J 2011; 32: 2387-94. pubmed
関連トライアル AFASAK 2 1999, AMADEUS, ARISTOTLE, ARISTOTLE previous stroke/TIA, ARISTOTLE renal function, ARISTOTLE risk score, ARISTOTLE time in therapeutic range, ARISTOTLE type and duration of AF, ARISTOTLE-J, ATLAS ACS 2-TIMI 51, ATLAS ACS-TIMI 46 , AVERROES, Avgil Tsadok M et al, BAATAF, BAFTA, CASSIOPEA, dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, EAFT 1993, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, ENGAGE AF-TIMI 48, J-ROCKET AF, J-ROCKET AF renal impairment, JNAF-ESP, NASPEAF, NASPEAF stratified analysis, NVAFにおける全身性塞栓症予防のためのwarfarin, ODIXa-OD-HIP, Pengo V et al, Poli D et al, PROTECT AF, RE-LY, RE-LY Asian subgroup, RE-LY concomitant use of antiplatelet, RE-LY exposure of VKA, RE-LY Japanese population, RE-LY previous TIA or stroke, RE-LY quality of INR control, RE-LY risk of bleeding, ROCKET AF, ROCKET AF cardioversion/ablation, ROCKET AF East Asian patients, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF major bleeding, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF previous stroke/TIA, ROCKET AF temporary interruption, ROCKET-AF persistent vs. paroxysmal, SPAF, SPAF II 1994, SPAF II 1996, SPAF III 1996, SPORTIF elderly patients, SPORTIF II , SPORTIF III, SPORTIF INR control, SPORTIF pooled analysis, SPORTIF risk of bleeding, SPORTIF V, Swedish Atrial Fibrillation Cohort Study: net benefit, Turpie AG et al 1993, warfarinによるNVAF患者の脳卒中予防, WARSS, 新規経口抗凝固薬4剤のwarfarinに対する有効性・安全性
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