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ABOARD bleeding complication
結論 至適抗血栓療法を受けた非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)患者において,おもに経橈骨動脈アプローチが用いられたにもかかわらず,大出血はよくみられ,死亡と強く関連していた。

目的 ABOARD試験にておもに経橈骨動脈アプローチにより侵襲治療を施行され,抗血小板薬3剤併用療法を受けたNSTE-ACS患者において,大出血の発生率およびそのタイプ,1カ月後の死亡との関連を検討。安全性の一次エンドポイント:30日間のSTEEPLE出血基準大出血。
デザイン ABOARD試験は無作為割り付け。
セッティング 多施設。
期間 追跡期間は1カ月。
対象患者 352例。早期または待機的PCIを施行する中等度~高リスクのNSTE-ACS(心筋虚血の症状,ECG上の複数の近接誘導でST異常あるいはT波逆転,心トロポニンI値上昇,のうち2項目以上が該当)で,TIMIスコア≧3の患者。
【除外基準】―
【患者背景】年齢は大出血発生群69.95±11.71歳,64.76±12.14歳。各群の女性31.6%,28.2%。病歴:現喫煙26.3%,33.3%,糖尿病21.1%,27.3%,脂質異常症47.4%,58%,高血圧63.2%,63.4%,CABG歴5.3%,6%,心筋梗塞既往21.1%,17.4%,PCI歴26.3%,27.6%,心不全5.3%,3.9%。検査所見:入院時のクレアチニン(μmol/L)123±150,83±31(p<0.05)。
治療法 ABOARD試験は以下の2群に無作為割り付けし,PCIを施行。
早期PCI群:無作為割り付けの平均70分後に施行。
待機的PCI群:無作為割り付けの翌診療日(平均21時間後)に施行。
薬物療法はaspirin最大負荷用量500mg投与後,維持用量75mg/日投与,clopidogrel負荷用量≧300mg投与後,75~150mg/日投与を推奨。PCI施行例ではabciximab 0.25μg/kgのボーラス静注後,0.125μg/kg/分で12時間継続投与。抗凝固薬の選択は担当医の裁量とした。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
侵襲的手技のアプローチは橈骨動脈296例(84.6%),大腿または上腕動脈50例(14.3%),複数4例(1.1%)で,大出血はそれぞれ13例,5例,1例,計19例(全例の5.4%)に発生した。
早期PCI群,待機的PCI群の群間差は認められなかった。
出血の内訳は潜在性7例,消化管出血4例,血管アクセス部位出血4例。
大出血発生例では入院中のクレアチニンピーク濃度(170±169μmol/L vs. 97±57μmol/L,p=0.005),1カ月後の死亡(26.3% vs. 0.6%,p<0.0001)が高かった。
大出血は30日後の死亡と強く関連していた(OR 50.3;95%CI 10.1-249.7,p<0.0001)。
抗血栓薬の使用について,大出血発生例,非発生例の群間差は認められなかったが,大出血発生例では低分子量heparinと未分画heparinの併用が多い傾向がみられた(47.4% vs. 24.7%,p=0.05)。

●有害事象

文献: Cayla G, et al.; ABOARD investigators. Trans-radial approach for catheterisation in non-ST segment elevation acute coronary syndrome: an analysis of major bleeding complications in the ABOARD Study. Heart 2011; 97: 887-91. pubmed
関連トライアル ACUITY gastrointestinal bleeding, BRAVE-3, Cuisset T et al, EPIC 1998, PLATO bleeding complications, TRITON-TIMI 38
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