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SAMURAI CT versus DWI
結論 超急性虚血性脳卒中患者において,拡散強調画像(DWI)を用いて評価したAlberta Stroke Programme Early CT Score(ASPECTS)はCT-ASPECTSより約1点低かった。両方とも血栓溶解療法後の症候性脳内出血,3カ月後の自立の有用な予測因子であった。
コメント わが国の血栓溶解療法実施例における観察研究で,CTおよびMRI-DWIでの早期虚血性変化(ASPECTS)を詳細に比較検討している。MRI-DWIはCTより検出力に優れ,約1点の差があるが,その要因として重症例,心原性塞栓症との関連が強く,部位では特に尾状核,内包で差が大きい。今回の検討は血栓溶解療法実施例に限定され,広範な早期虚血性変化を呈した症例はわずかであることから,CTとMRI-DWIの予後予測の比較には更なる検討が必要であろう。(岡田靖

目的 先行研究より,DWI-ASPECTSは3カ月後の転帰の独立予測因子であることが明らかになったが,早期虚血変化をCTとMRIとで比較した研究は少ない。本解析では,日本人の超急性虚血性脳卒中患者において,血栓溶解療法前のCT-ASPECTSとDWI-ASPECTSの関連,および治療後の転帰との関連を明らかにする。
デザイン 観察研究。
セッティング 多施設(10施設),日本。
期間 患者登録期間は2005年10月~2008年7月。
対象患者 360例。2005年10月~2008年7月に日本のガイドラインにしたがい血栓溶解療法を受けた虚血性脳卒中患者連続例。DWIで早期虚血変化が広汎に認められた患者に対する血栓溶解療法の施行は担当医の裁量とした。
【除外基準】(本解析からの除外)虚血性脳卒中既往,発病前のmodified Rankin Score(mRS)が3~5,禁忌などの理由によりMRIを実施せず,CT/DWI画像のクオリティが低い,椎骨脳底動脈/後大脳動脈/前大脳動脈領域の脳卒中,3カ月後のmRSスコアが得られず。
【患者背景】平均年齢は71±11歳。女性33.1%。高血圧60.2%。糖尿病17.6%。脂質異常症19.8%。うっ血性心不全5.7%。ベースラインのNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア12(7~18)。閉塞部位:内頸動脈16.1%,中大脳動脈(M1)33.1%,同(M2,M3)22.5%。脳卒中の病型:心原性60.3%,アテローム血栓性14.4%,ラクナ梗塞5.8%,その他19.5%。発症から治療までの時間140(120~165)分。
治療法 alteplase 0.6mg/kgを静注(症状発現後3時間以内に10%をボーラス投与し,残りを1時間以上かけて静注)。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
DWI-ASPECTSはCT-ASPECTSと正の相関が認められ(ρ=0.511,p<0.001),CT-ASPECTS より低かった[中央値8(IQR 6~9) vs. 9(8~10),p<0.001]。差の中央値は0.92(95%CI 0.74-1.10)。
ベースライン時のNIHSSスコア高値[標準化偏回帰係数(β)0.061,p<0.001]および心原性脳塞栓(β 0.35,p<0.001)はこの相違と関連していた。
脳内出血は76例(21.1%),症候性脳内出血は12例(3.3%)に発生し,自立(mRS 0~2)は192例(53.3%)であった。
ASPECTS を用いた症候性脳内出血を予測するROC曲線下面積は,CT:0.673(95%CI 0.503-0.807),DWI:0.764 (0.635-0.858)であった(p=0.275)。3カ月後の自立を予測するROC曲線下面積は,CT:0.621(0.564-0.674),DWI:0.639(0.580-0.694)であった(p=0.535)。

●有害事象

文献: Nezu T, et al. Early Ischemic Change on CT Versus Diffusion-Weighted Imaging for Patients With Stroke Receiving Intravenous Recombinant Tissue-Type Plasminogen Activator Therapy: Stroke Acute Management With Urgent Risk-factor Assessment and Improvement (SAMURAI) rt-PA Registry. Stroke 2011; 42: 2196-200. pubmed
関連トライアル Bhatia R et al, CASES elderly patients, Chernyshev OY et al, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, IMS III, J-ACT, Madrid Stroke Network, Manawadu D et al, Martin-Schild S et al, Mendonça N et al, Mikulik R et al 2009, RESTORE, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI, SAMURAI DWI-ASPECTS, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, SAMURAI rtPA Registry SITS-MOST criteria, Saqqur M et al, Sarikaya H et al (obese), Schellinger PD et al, Singer OC et al, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST multivariable analysis, SUMO, Toni D et al, TTT-AIS
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