抗血栓トライアルデータベース
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LANCELOT-ACS Lessons from Antagonizing the Cellular Effects of Thrombin- Acute Coronary Syndromes
結論 急性冠症候群(ACS)患者において,atopaxarは出血を増加させることなく早期の虚血を抑制した。

目的 新規抗血小板薬atopaxarは既存の抗血栓薬に比べ出血リスクを軽減することが期待されている。本試験では,ACS後の患者においてatopaxarの安全性および忍容性を検討する。なお本試験と並行して,安定冠動脈疾患患者を対象とした同様の試験LANCELOT-CADが行われている。安全性の一次エンドポイント:治療期間(12週)のCURE出血基準大出血
デザイン ランダム化,二重盲検,第II相試験。NCT00548587。安全性の解析は試験薬を1回以上投与された症例を対象とした。
セッティング 多施設(184施設),22カ国。
期間 患者登録期間は2008年3月17日~2009年6月9日。
対象患者 603例(安全性の解析対象593例)。18~80歳,非ST上昇型ACS(不安定狭心症または持続性ST上昇のない心筋梗塞)に一致する兆候や症状のため72時間以内に入院,安静時または最小限の活動で新規の虚血もしくはその悪化,心筋壊死マーカーの上昇または虚血を示唆する心電図上の変化。
【除外基準】出血リスク上昇,貧血(ヘモグロビン<10g/dL),血小板減少症(<10万/μL),12カ月以内の脳梗塞または一過性脳虚血発作,頭蓋内所見の病理学的異常の既往(頭蓋内出血の既往または既知の構造的脳血管病変を含む),大手術の予定,aspirin(≦325mg/日),clopidogrel(75mg/日,負荷用量は許容),ticlopidine(250mg,1日2回)以外の抗血小板薬を投与されている,既知の肝疾患またはクレアチニンクリアランス<30mL/分。
【患者背景】平均年齢はatopaxar 50mg群60.7±9.16歳,100mg群61.6±9.46歳,200mg群62.3±10.38歳,プラセボ群62.1±9.14歳。男性71.2%,72.0%,63.5%,66.9%。心筋梗塞既往18.7%,21.7%,30.4%,30.2%。うっ血性心不全既往12.3%,10.2%,13.5%,15.8%。脂質異常症47.7%,48.4%,48.6%,50.0%。高血圧70.3%,68.2%,73.0%,71.4%。糖尿病24.5%,21.0%,23.0%,20.7%。非ST上昇型心筋梗塞のため本試験に参加73.7%,82.2%,76.4%,74.6%。
治療法 atopaxar 50mg群156例(安全性の解析対象153例),100mg群157例(同156例),200mg群148例(同146例),プラセボ群142例(同138例)にランダム化。
atopaxar群は負荷用量400mg投与後,各用量を投与。試験薬は12週投与され,投与中止後4週間追跡された。
試験期間中に大手術/大きな侵襲的手技を受ける場合は手技の7日以上前に試験薬を中止したが,心カテーテル/PCIの場合は継続投与とした。
ランダム化システムにエラーがあり,第4週の時点で100mg群38例および200mg群40例が50mgを投与された。このうち21例は試験終了前に正しい用量を投与された(誤投与期間中央値は28日)。
GP IIb/IIIa受容体阻害薬投与は担当医の裁量とした。経口抗凝固薬,線溶薬,定期的な非ステロイド性抗炎症薬は禁止とした。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
CURE基準出血はatopaxar群合計14例(3.1%),プラセボ群3例(2.2%)と有意差は認められず(p=0.63),用量依存性の傾向はみられなかった(p=0.80)。atopaxar群各群の出血は,50mg群2例(1.3%),100mg群9例(5.8%),200mg群3例(2.1%)。
CURE大出血は8例(1.8%) vs. 0%で有意差はみられなかった(p=0.12)。atopaxar群各群の大出血は,50mg群1例(0.7%),100mg群5例(3.2%),200mg群2例(1.4%)。
主要有害心事象(心血管死,心筋梗塞,脳卒中,虚血再発)は37例(8.0%) vs. 11例(7.8%)と有意差はみられず(p=0.93),用量依存性の傾向はみられなかった(p=0.26)。
心血管死,心筋梗塞,脳卒中の複合は15例(3.3%)vs. 8例(5.6%)と同等であった(p=0.20)。
ホルター心電図検査は93%に行われ,負荷用量400mg投与後48時間の虚血はatopaxar群で抑制された(RR 0.67;95%CI 0.48-0.94,p=0.02)。

●有害事象
atopaxar群高用量群で肝トランスアミナーゼ上昇およびQTcの延長がみられた。

文献: O'Donoghue ML, et al.; LANCELOT-ACS Investigators. Safety and tolerability of atopaxar in the treatment of patients with acute coronary syndromes: the lessons from antagonizing the cellular effects of Thrombin-Acute Coronary Syndromes Trial. Circulation 2011; 123: 1843-53. pubmed
関連トライアル ACUITY gastrointestinal bleeding, ATLAS ACS-TIMI 46 , CHAMPION PCI, CURRENT-OASIS 7, J-LANCELOT, LANCELOT-CAD, PLATO, PLATO renal function, PLATO STE-ACS, PURSUIT 1998, SEPIA-ACS1 TIMI 42, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 early and late benefits, TRITON-TIMI 38 PCI
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