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LANCELOT-CAD Lessons from Antagonizing the Cellular Effects of Thrombin- Coronary Artery Disease
結論 安定冠動脈疾患(CAD)患者において,atopaxarは血小板機能を阻害し,出血は多く,虚血イベントは同等であった。

目的 安定CADは急性冠症候群(ACS)に比べ緊急の虚血再発リスクが低く,そのため出血リスクの忍容性が低いのではと懸念されている。本試験では,安定CAD患者において,既存の抗血栓薬に比べ出血リスクを軽減すると期待される新規抗血小板薬atopaxarの安全性および忍容性を検討する。なお本試験と並行して,ACS患者を対象とした同様の試験LANCELOT-ACSが行われている。安全性の一次エンドポイント:治療期間(24週)の出血(CURE出血基準TIMI出血基準)。
デザイン ランダム化,二重盲検,第II相試験。NCT00312052。安全性の解析は試験薬を1回以上投与された症例を対象とした。
セッティング 多施設(136施設),11カ国。
期間 患者登録期間は2007年9月13日~2009年8月14日。
対象患者 720例(安全性の解析対象718例)。45~80歳,高リスクCADの既往を有する患者。高リスクCADとは(1)4週以上前のACS既往(心筋梗塞/不安定狭心症を含む),(2)12週以上前の経皮的冠動脈血行再建術,(3)誘発試験または血管造影(>70%)より確診された狭心症,のいずれかを有し,かつ高リスク指標(高感度C反応性蛋白>3.0mg/L,糖尿病,末梢動脈疾患,1年以上前の脳卒中,頸動脈疾患)を1つ以上有するもの。
【除外基準】出血リスク上昇(出血素因,30日以内の重度外傷または手術,6カ月以内の病的出血,頭蓋内/網膜出血の既往,1年以内の脳卒中/一過性脳虚血発作の既往,既知の頭蓋内血管病変,INR>1.5,PTTが正常値上限(ULN)の1.5倍超,血小板数<10万/mm3,ヘモグロビン<10g/dL),うっ血性心不全NYHAクラスIIIまたはIV,30日以内にイベントまたは薬物用量の変更により明らかになった心血管の不安定性,30日以内の手術または試験期間中に手術が予定されている,ALTまたはASTがULNの3倍超,総ビリルビンがULNの1.5倍超,クレアチニンクリアランス<30mL/分。
【患者背景】平均年齢はatopaxar 50mg群64歳,100mg群62歳,200mg群64歳,プラセボ群63歳。女性25%,25%,22%,24%。心筋梗塞既往65%,64%,62%,62%。脳卒中/一過性脳虚血発作既往9%,12%,11%,11%。糖尿病71%,64%,69%,63%。うっ血性心不全既往14%,12%,17%,16%。
治療法 atopaxar 50mg群182例(安全性の解析対象182例),100mg群174例(同174例),200mg群187例(同186例),プラセボ群177例(同176例)にランダム化。
試験はスクリーニング期間(day -21~ -1),ベースライン(day 0),治療期間(day 1~24週),追跡期間(24~28週)から成り,スクリーニング前の1カ月,aspirin 75~325mgかつ/またはチエノピリジン系薬剤(clopidogrel/ticlopidine)投与を必須とした。スクリーニング前30日および試験期間中はaspirin(≦325mg/日),clopidogrel(75mg/日),ticlopidine(250mg,1日2回)以外の抗血小板薬,経口抗凝固薬,線溶薬,長期間の非ステロイド性抗炎症薬またはシクロオキシゲナーゼ-2阻害薬,CYP3A4阻害薬は禁止とした。
なお,本試験は当初600例のランダム化を予定していたが,血小板機能サブスタディへの参加者が見込みより少なかったため,登録を720例に増やした。
追跡完了率 追跡不能は6例。
結果

●評価項目
全出血は,CURE出血基準ではatopaxarの方がプラセボに比し多かったが,TIMI出血基準では有意差は認められなかった。
CURE出血基準:atopaxar群計21例(3.9%)vs. プラセボ群1例(0.6%),RR 6.82;95%CI 1.17-94.0,p=0.03。atopaxar群各群の出血は50mg群3.9%,100mg群1.7%,200mg群5.9%で,用量依存性が認められた(p for trend=0.01)。
TIMI出血基準:atopaxar群計56例(10.3%)vs. プラセボ群12例(6.8%), RR 1.52;95%CI 0.85-2.76,p=0.17。atopaxar群各群の出血は50mg群9.9%,100mg群8.1%,200mg群12.9%で,用量依存性の傾向がみられた(p for trend=0.07)。
大出血は,いずれの基準でも同等であった。
CURE出血基準:5例(0.9%)vs. 0例,p=0.22。
TIMI出血基準:3例(0.6%)vs. 0例,p=0.38。
主要有害心事象は14例(2.6%)vs. 8例(4.6%)と同等であった(RR 0.57;95%CI 0.25-1.35,p=0.20)。
血小板機能サブスタディ(80例)において,atopaxar全用量で高い血小板阻害が達成された。

●有害事象
atopaxar群高用量群で肝トランスアミナーゼ上昇およびQTcの延長がみられた。

文献: Wiviott SD, et al.; LANCELOT-CAD Investigators. Randomized trial of atopaxar in the treatment of patients with coronary artery disease: the lessons from antagonizing the cellular effect of Thrombin-Coronary Artery Disease Trial. Circulation 2011; 123: 1854-63. pubmed
関連トライアル 3T/2R, CAD患者に対するPAR-1拮抗薬の安全性および有効性, GRAVITAS, J-LANCELOT, LANCELOT-ACS, PRINCIPLE-TIMI 44
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