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Pautas E et al Reversal of Overanticoagulation in Very Elderly Hospitalized Patients with an INR above 5.0: 24-Hour INR Response after Vitamin K Administration
結論 INRが5.0以上に上昇した高齢の入院患者において,米国胸部内科学会(ACCP)ガイドラインの推奨にもとづいたビタミンK拮抗薬(VKA)投与見送りとビタミンK1投与は中和に有効で,大部分のINRが低下しすぎることなく1.8~3.2の範囲に戻った。したがって,ガイドラインは高齢の入院患者に適用可能と考えられる。

目的 抗凝固療法を受けている高齢患者において,出血リスクを最小限にするためのoveranticoagulation(INR≧5.0)の中和は重要である。本試験ではoveranticoagulationの管理について,ACCPの推奨にもとづくガイドラインを高齢の入院患者に適応できるか,特に24時間INRを1.8~3.2の範囲に戻すことができるか検討する。
デザイン 観察研究。
セッティング 単施設,フランス。
期間 試験期間は2006年6月~2008年12月。
対象患者 239例。75歳以上,warfarinまたはfluindioneを標的INR 2.0~3.0で服用しており,overanticoagulation(INR≧5.0)を経験した入院患者連続例。
【除外基準】
【患者背景】平均年齢は86.1±6.5歳。女性74%。VKA:warfarin 71%,fluindione 29%。1日用量:warfarin 2.9±1.5mg,fluindione 13.8±7.9mg。適応病態:心房細動73%,静脈血栓塞栓症25%,動脈血栓症2%。overanticoagulationと診断された日の併用薬剤数8.4±3.3。10日以内に追加されたVKAの効果を増強する薬剤:抗生物質68%,全身性/局所性アゾール系抗真菌薬15%,プロトンポンプ阻害薬13%。
治療法 ACCPガイドラインにもとづき,以下のように治療を行った。
INRが5.0以上9.0未満,重篤な出血がない:VKA投与を見送り,ビタミンK1 1~2.5mgを経口投与。翌日,必要ならビタミンK1を追加投与。
INRが9.0以上,重篤な出血がない:VKAを中止し,ビタミンK1高用量(5~10mg)を経口投与。翌日,必要ならビタミンK1を追加投与。INRが治療域なら低用量で治療を再開する。
INR値にかかわらず重篤な出血が発生:VKAを中止し,濃縮プロトロンビン複合体製剤(PCC)を投与。ビタミンK1 10mgを時間をかけて静注し,12時間ごとに投与することも可能。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
INR≧5.0は239例,385件発生した(5.0~9.0:89%,≧9.0:11%)。
このうち217件はガイドラインにしたがって治療され,平均INR 6.8±2.4(範囲5.0~20.0)から翌日は2.7±1.3(1.1~10.1)に低下した(p<0.0001)。翌日のINRは1.8~3.2:55%,<1.8:20%,>3.2:25%であった。
INRが5.0~6.0の範囲に上昇した症例における平均INRは,ビタミンK1 1mg投与群(121件)では5.5±0.3(5.0~6.0)から翌日は2.7±1.0(1.2~5.6)に低下したが(p<0.0001),非投与群(48件)では5.3±0.3(5.0~6.0)から翌日は5.0±1.6(2.3~10.0)と有意差は認められなかった(p=0.149)。
多変量解析によると,ビタミンK1高用量のみが翌日のINR<1.8の予測因子であった(OR 1.31,95%CI 1.15-1.49,p<0.0001)。

●有害事象
重篤な出血は3例(うち2例は脳内出血)に認められ,すべてINR>10であった。

文献: Pautas E, et al. Reversal of Overanticoagulation in Very Elderly Hospitalized Patients with an INR above 5.0: 24-Hour INR Response after Vitamin K Administration. Am J Med 2011; 124: 527-33. pubmed
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