抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
PLATO cECG substudy
結論 PLATO試験の連続心電図(cECG)評価において,ticagrelor群ではclopidogrel群に比し心室休止が多く認められた。そのほとんどは無症候性の洞房結節由来のもので夜間に発生し,頻度は急性冠症候群急性期が最も高かった。ticagrelor群での心室休止の増加と明らかに関連する臨床的所見はみられなかった。
コメント ticagrelorの構造はATPに近い。発作性頻拍症をATPにて治療した経験のあるヒトは皆,ATP静注後一過性に洞停止が起こることを経験している。ticagrelorも同様の副作用を惹起することは容易に理解できる。ATP静注と異なり血中濃度の上昇が緩徐であるため洞停止が起こる症例,起こらない症例があることは理解できる。3秒以上の心停止は患者も確実に自覚するだろう。criteriaを2秒以上にすればもっと差異が出た可能性はある。急性冠症候群ではさまざまな不整脈が合併する。急性期に心停止が増えることは患者の不安を増すことにはなる可能性がある。ATP投与時と同様に心停止が一過性であるのは想定通りである。今後,臨床応用された時には注意が必要である。(後藤信哉

目的 ticagrelorは第II相試験(DISPERSE-2)において,clopidogrelに比し心室休止リスク上昇が認められたため, PLATO試験ではcECG評価が実施された。本解析では,ticagrelorはclopidogrelに比し心室休止リスクを上昇させるか,またその心室休止は徐脈イベントと関連しているか検討する。本解析の一次エンドポイント:3秒以上持続する心室休止の発生率。
デザイン PLATOは二重盲検,ダブルダミー。NCT00391872。
セッティング
期間 追跡期間中央値は277日。
対象患者 2908例。PLATO対象患者18624例(ST上昇型/非ST上昇型ACSによる入院患者)のうち,cECGの記録が得られた症例。
【除外基準】24時間以内の線溶療法,経口抗凝固薬投与の必要,チトクロムP-450 3Aの強力な阻害薬/誘導薬の併用,徐脈リスク上昇[例:既知の洞不全症候群,第2度または第3度の房室ブロック,徐脈によると考えられる失神(ペースメーカーを除く)]など。
【患者背景】平均年齢はticagrelor群63.1±11.49歳,clopidogrel群63.0±11.34歳。各群の男性73.7%,73.3%。BMI 27.9±4.96,27.7±5.00。喫煙:非喫煙34.9%,35.9%,過去喫煙29.8%,28.2%,現喫煙35.3%,35.9%。永続的ペースメーカー1.6%,1.3%。試験参加対象となったACSの最終診断(治療別):侵襲的手技(1045例,997例)不安定狭心症9.2%,12.1%,非ST上昇型MI 48.9%,47.4%,ST上昇型MI 38.5%,38.3%。薬物療法(427例,439例)不安定狭心症26.0%,24.4%,非ST上昇型MI 61.1%,64.0%,ST上昇型MI 11.0%,9.3%。
治療法 PLATOは以下の2群にランダム化。
ticagrelor群:1472例。負荷用量180mg投与後,90mg,1日2回投与。
clopidogrel群:1436例。適切な負荷用量投与後,75mg/日投与。
cECGの記録は試験薬初回投与時または直後に開始し,ランダム化の7日後まで継続した。この開始時の記録を完了した任意の患者について,ランダム化の1カ月後に再度の7日間の記録が行われた。
追跡完了率 第1週・1カ月後の両方のcECG記録完了はticagrelor群65.5%,clopidogrel群68.6%。
結果

●評価項目
2908例がcECG評価の対象とされ,このうちcECG記録を受けた患者は第1週では2866例(98.5%),1カ月時では1991例(68.4%),両時点とも受けた患者は1949例(67.0%)であった。
第1週における3秒以上の心室休止はticagrelor群84例(5.8%)とclopidogrel群51例(3.6%)に比し多かった(RR 1.61,95%CI 1.14-2.26,p=0.006)。これはおもに,ticagrelor群で洞房結節由来の休止が多かったためであった。
1カ月後,3秒以上の心室休止は全体として少なくなり,両群間の有意差は消失した(2.1% vs. 1.7%,RR 1.26;0.67-2.38)。休止の多くは心室休止で,ticagrelor投与によって最も増加したのは洞停止による無症候性(66%)および夜間発生であった。
臨床的徐脈

●有害事象

文献: Scirica BM, et al.; PLATO Investigators. The Incidence of Bradyarrhythmias and Clinical Bradyarrhythmic Events in Patients With Acute Coronary Syndromes Treated With Ticagrelor or Clopidogrel in the PLATO (Platelet Inhibition and Patient Outcomes) Trial Results of the Continuous Electrocardiographic Assessment Substudy. J Am Coll Cardiol 2011; 57: 1908-16. pubmed
関連トライアル Berger JS et al, CURRENT-OASIS 7, Ho PM et al, ONSET/OFFSET, ONSET/OFFSET dyspnea, PLATO, PLATO bleeding complications, PLATO diabetes, PLATO history of stroke, PLATO invasive strategy, PLATO non-invasive management, PLATO renal function, PLATO STE-ACS, PLATO undergoing CABG, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 early and late benefits, TRITON-TIMI 38 PCI
関連記事