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GRAVITAS Gauging Responsiveness with a VerifyNow Assay -Impact on Thrombosis and Safety
結論 DES植込み後高い血小板反応性を示す患者において,clopidogrel高用量投与は標準用量投与に比し,心血管死,非致死的心筋梗塞,ステント血栓症を抑制しなかった。
コメント 血小板の専門家から見れば,「採血」「クエン酸による抗凝固」により強制的に活性化された血小板機能を臨床検査として計測することに意義はない。VerifyNowの結果にもとづいてクロピドグレルの用量を決める,他のP2Y12阻害薬にする,などの判断を行うことに科学的意味がないことがあらためて臨床研究でも示された。(後藤信哉

目的 先行研究により,clopidogrel投与中に高い血小板反応性を示す患者はPCI後の心血管イベントリスクが上昇するとされているが,このような患者に対する治療戦略は確立されていない。本試験は,血小板反応性が高い患者に対するPCI後の心血管イベント発症抑制効果について,clopidogrel高用量投与の方が標準用量投与に比しすぐれているか検証する。また二次解析として,血小板反応性が高くなかった患者との比較も行う。有効性の一次エンドポイント:心血管死,非致死的心筋梗塞(MI),ステント血栓症の複合。安全性の一次エンドポイント:重度または中等度の出血(GUSTO出血基準)。
デザイン ランダム化,二重盲検。intention-to-treat解析。NCT00645918。
セッティング 多施設(83施設),2カ国(米国,カナダ)。
期間 登録期間は2008年7月~2010年4月。
対象患者 [一次解析]2214例。DES植込み施行前後にclopidogrel投与を受け,PCI施行12~24時間後にVerifyNow P2Y12テストを用いて血小板機能を測定し,血小板反応性が高かった(230PRU以上)安定心血管疾患または非ST上昇型急性冠症候群患者。試験実施中にプロトコールが修正され,ST上昇型MI患者も対象とした。
[二次解析]586例。VerifyNow P2Y12テストで血小板反応性が高くなかった患者をランダム抽出。
【除外基準】周術期のGP IIb/IIIa受容体拮抗薬使用,経口抗凝固薬使用予定,血小板機能測定前の出血。
【患者背景】[一次解析]平均年齢は高用量群64.0±10.5歳,標準用量群64.3±10.5歳。各群の男性64.7%,65.4%。登録時の残存血小板反応性282(255~320)PRU,283(255~321)PRU。病歴:糖尿病43.8%,46.9%,高血圧85.0%,85.3%,脂質異常症88.0%,86.7%,現喫煙14.7%,13.6%,MI 30.1%,28.5%,PCI 50.0%,45.3%(p=0.03),CABG 21.0%,21.8%,腎不全40.1%,41.5%。手技の適応:安定狭心症または虚血60.2%,60.2%,不安定狭心症24.3%,24.1%,非ST上昇型急性冠症候群15.5%,15.7%。入院時のaspirin投与87.2%,89.0%。登録時のclopidogrel:負荷用量600mg投与53.3%,52.7%,7日以上75mg/日投与38.7%,37.1%,7日未満の75mg/日投与後負荷用量300mg投与7.9%,10.1%。
[二次解析]平均年齢61.9±10.1歳。男性80.2%。登録時の残存血小板反応性151(105~191)PRU(血小板反応性の高い症例に対しすべてp<0.001)。
治療法 PCI施行前後のclopidogrel投与は以下のレジメンで行われた。clopidogrel未投与患者:PCI施行後2時間以内に600mgを投与。
すでに投与を受けていた患者: 7日以上75mg/日投与を受けていたはずだが,7日未満の場合は投与開始時に300mg以上負荷投与。
以下の2群にランダム化。
高用量群:1109例。600mg投与後,150mg/日を6カ月間投与。
標準用量群:1105例。75mg/日を6カ月間投与。
aspirinは75~162mg/日投与とした。

二次解析対象者586例に対しては,clopidogrel標準用量(75mg/日)を投与した。
追跡完了率 追跡不能は4例。
結果

●評価項目
[一次解析]血小板機能測定は5429例に行い,230PRU以上であったのは2214例(40.8%)であった。
6カ月後,一次エンドポイントは高用量群25 例(2.3%),標準用量群25例(2.3%)と同等であった(HR 1.01,95%CI 0.58-1.76,p=0.97)。
心血管死:3例(0.3%)vs. 8例(0.7%),HR 0.38;0.10-1.43,p=0.14。
非致死的MI:20例(1.8%)vs. 18例(1.6%),HR 1.12;0.59-2.12,p=0.72。
ステント血栓症(ARC基準definite/probable):5例(0.5%)vs. 8例(0.7%),HR 0.63;0.21-1.93,p=0.42。
30日後の投与中の血小板反応性は高用量群で22%(95%CI 18%-26%)の絶対的減少がみられた(62%;59%-65% vs. 40%;37%-43%,p<0 .001)。
[二次解析]
一次エンドポイントは高血小板反応性標準用量群25例(2.3%)と低血小板反応性群8例(1.4%)に比し多かったが,有意差は認められなかった(HR 1.68;0.76-3.72,p=0.20)。

●有害事象
[一次解析]
重篤または中等度の出血は両群間で同等であった;15例(1.4%)vs. 25例(2.3%),HR 0.59;0.31-1.11,p=0.10。

文献: Price MJ, et al., GRAVITAS Investigators. Standard- vs high-dose clopidogrel based on platelet function testing after percutaneous coronary intervention: the GRAVITAS randomized trial. JAMA 2011; 305: 1097-105. pubmed
関連トライアル 3T/2R, ARMYDA-4 RELOAD, ARMYDA-5 PRELOAD, CREDO, Cuisset T et al, CURRENT-OASIS 7, CURRENT-OASIS 7 undergoing PCI, EXCELSIOR CYP2C19, LANCELOT-CAD, Migliorini A et al, PCI-CLARITY, PCI-CURE, PRINCIPLE-TIMI 44, Sibbing D et al (2009, JACC), TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 PCI
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