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RE-LY Japanese population
結論 脳卒中リスクの高い日本人の心房細動患者において,dabigatranの有効性および安全性はRE-LY試験全体の結果と基本的に同様であった。
コメント 特に日本人であるが故の特異な結果は得られなかった。危惧されたような出血の増加もないようである。有害事象としてのディスペプシアは,ワルファリンおよびダビガトランでいずれも全体の結果の約2倍になっている。これらの結果はあくまでも日本人326例におけるものであり,市販後の大規模な調査による確認が必要である。(是恒之宏

目的 RE-LY試験のサブ解析として,日本人コホートにおけるdabigatranの有効性および安全性を検討。有効性の一次エンドポイント:脳卒中(出血性/虚血性)および全身性塞栓症。安全性の一次エンドポイント:出血,肝機能異常,他の有害事象。
デザイン RE-LYはPROBE(prospective,randomised,open,blinded endpoints)。dabigatranの2群間は盲検,warfarinはオープン。
セッティング RE-LYは967施設(うち日本は49施設),44カ国。
期間 日本での実施期間は2007年3月~2009年3月。試験薬投与期間は中央値1.3年。
対象患者 326例。RE-LY試験対象者18113例[AFと確診され,かつ次のリスク因子のうち1つ以上を有する:虚血性脳卒中,一過性脳虚血発作(TIA),全身性塞栓症の既往,左心室機能障害,75歳以上(糖尿病,高血圧,冠動脈疾患患者は65歳以上)]のうち日本人の患者。
【除外基準】重度の心臓弁膜症,14日以内の脳卒中または6カ月以内の重症脳卒中,出血リスク上昇,クレアチニンクリアランス<30mL/分,活動性肝疾患,妊娠。
【患者背景】平均年齢は全コホート71.5歳,日本人コホート71.2歳。各コホートの男性63.6%,76.7%。CHADS2スコア平均値2.1,2.2,0~1:31.9%,31.3%,2:35.6%,34.0%,3以上:32.5%,34.7%。脳卒中,全身性塞栓症,TIA既往21.8%,33.1%。心筋梗塞既往16.6%,5.5%。うっ血性心不全32.0%,31.0%。開始時のaspirin投与39.8%,35.9%。ビタミンK拮抗薬ナイーブ50.4%,56.1%。
治療法 dabigatran 110mg(D110mg)群*1,150mg(D150mg)群*2,warfarin群*3にランダム化。
*1:107例。dabigatran 110mg,1日2回投与。
*2:111例。dabigatran 150mg,1日2回投与。
*3:108例。PT-INRが2.0~3.0(70歳以上の日本人患者では2.0~2.6)となるようwarfarinを投与。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
日本人コホートにおけるPT-INR値別の時間比は<2.0:36.8%,2.0~3.0:57.6%,>3.0:5.6%で,RE-LY全体の結果(22.2%,64.4%,13.5%)よりPT-INR値が低い傾向がみられた。
日本人コホートの患者背景はRE-LY全体とほぼ同様であったが,脳卒中既往が多く,心筋梗塞既往が少なかった(患者背景の項参照)。
一次エンドポイントはD110mg群2例(1.38%/年,RR 0.52),D150mg群1例(0.67%/年,RR 0.25),warfarin群4例(2.65%/年)で,RE-LYの全体の結果(D110mg群1.54%/年,RR 0.90,D150mg群1.11%/年,RR 0.65,warfarin群1.71%/年)と同様であった。
内訳は以下の通り。
虚血性脳卒中:D110mg群2例(1.38%/年),D150mg群0例,warfarin群2例(1.33%/年)。
出血性脳卒中:0例,1例(0.67%/年),1例(0.66%/年)。
全身性塞栓症:0例,0例,2例(1.33%/年)。

●有害事象
大出血はD110mg群8例(5.53%/年),D150mg群5例(3.33%/年),warfarin群5例(3.31%/年)で,全体の結果(2.87%/年,3.32%/年,3.57%/年)と同様であった。なお大出血による試験薬中止はなかった。
内訳は以下の通り。
生命に関わる出血:D110mg群1例(0.69%/年),D150mg群3例(2.00%/年),warfarin群2例(1.33%/年)。
消化管出血:3例(2.11%/年),1例(0.67%/年),1例(0.67%/年)。
頭蓋内出血:1例(0.69%/年),1例(0.67%/年),1例(0.66%/年)。
小出血は35例(24.19%/年),50例(33.26%/年),50例(33.14%/年)。
全出血は40例(27.64%/年,RR 0.79),52例(34.59%/年,RR 1.06),51例(33.81%/年)で,全体の結果(D110mg群:RR 0.78,D150mg群:RR 0.91)と同様であった。
日本人コホートにおける最も多かった有害事象は上腹部痛/不快感(dyspepsia)で,D110mg群23例(21.7%),D150mg群30例(27.3%),warfarin群11例(10.2%)であった。肝毒性は認められなかった。
(RRはwarfarin群に対して)

文献: Hori M, et al.; the RE-LY Investigators. Efficacy and Safety of Dabigatran vs. Warfarin in Patients With Atrial Fibrillation. Circ J 2011; 75: 800-5. pubmed
関連トライアル ARISTOTLE previous stroke/TIA, ARISTOTLE-J, BAATAF, dabigatranの急性冠イベントリスク, J-RHYTHM target INR values, J-ROCKET AF, J-ROCKET AF renal impairment, JNAF-ESP, Kaseno K et al, Lakkireddy D et al, Larsen TB et al, Majeed A et al, Pengo V et al, PROTECT AF, RE-ALIGN, RE-COVER II , RE-LY, RE-LY Asian subgroup, RE-LY cardioversion, RE-LY concomitant use of antiplatelet, RE-LY exposure of VKA, RE-LY intracranial hemorrhage, RE-LY periprocedural bleeding, RE-LY previous TIA or stroke, RE-LY quality of INR control, RE-LY risk of bleeding, RE-MEDY & RE-SONATE, RELY-ABLE, ROCKET AF previous stroke/TIA, ROCKET AF renal dysfunction, SPAF II 1996, SPAF III 1996, SPORTIF elderly patients, SPORTIF II , SPORTIF III, SPORTIF INR control, SPORTIF pooled analysis, SPORTIF risk of bleeding, SPORTIF V, カテーテルアブレーション施行患者におけるdabigatranの安全性および有効性
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