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Garcia Rodriguez LA et al Increased risk of stroke after discontinuation of acetylsalicylic acid: A UK primary care study
結論 二次予防のため低用量aspirinを処方されている心/脳血管疾患患者において,index dateの前31~180日間その服用を中止すると,継続服用者に比し虚血性脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)リスクが40%上昇する。
コメント 血栓症や塞栓症の予防を目的とした抗血栓療法中に,抗血栓薬を中断すると血栓症や塞栓症のリスクが上昇することが知られている。本研究から,アスピリン内服を止めて1カ月から6カ月までは血栓症や塞栓症のリスクが1.4倍に高くなることが示され,一番多かった中断の理由は患者のノナドヒアランスだったという。患者さんへ「アスピリン療法の意義」を十分に教育すること,「飲み忘れ」に注意をはらうこと,何らかの「有害事象」が生じた場合には医師への相談を指導することが重要であろう。(矢坂正弘

目的 aspirinはアテローム性動脈硬化症患者の血管疾患リスクを抑制するが,患者のノンアドヒアランスや安全性への懸念から服用を中止してしまう場合があり,問題となっている。本論文では,二次予防のため低用量aspirinを服用している心/脳血管疾患患者において,aspirin中止が虚血性脳卒中/TIA発症リスクに及ぼす影響を評価する。
デザイン ネスティドケースコントロール研究。
セッティング 多施設,英国。
期間 試験終了は2007年12月31日。平均追跡期間は3.42年。
対象患者 39512例。英国の医学研究データベースTHINの登録者(2000年1月1日~2007年12月31日の間に50~84歳で,プライマリ医に2年以上登録され,1年以上の処方歴がある)のうち,心/脳血管二次予防のために初回のaspirin(75~300mg/日)処方を受けた症例。
【除外基準】癌,アルコール依存症,アルコール関連疾患,全追跡期間中に1年以上追跡されたがプライマリ医の診察が2回未満であった70歳以上の患者。
【患者背景】―
治療法
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
虚血性脳卒中/TIAは673例(非致死的虚血性脳卒中417例,致死的虚血性脳卒中111例,TIA 145例)に発症した。年齢,性別などを合致させた5000例を抽出し,対照群とした。
虚血性脳卒中/TIA全発生率は5.0/1000患者・年(95%CI 4.6~5.4)であった。
女性:5.5/1000患者・年(95%CI 4.9~6.1)。
男性:4.6/1000患者・年(95%CI 4.2~5.1)。
脳血管疾患患者における再発:8.6/1000患者・年(95%CI 7.7~9.6)。
虚血性脳卒中/TIAは脳血管疾患既往例(症例群54.2% vs. 対照群23.6%,RR 2.79,95%CI 2.05~3.80),心房細動例(13.7% vs. 8.4%,RR 1.71,95%CI 1.28~2.29),心不全例(10.7% vs. 9.0%,RR 1.41,95%CI 1.05~1.89),複雑性消化性潰瘍例(4.0% vs. 2.0%,RR 1.89,95%CI 1.18~3.04)において,その疾患のない患者に比しリスクが高かった。
現喫煙者は喫煙未経験に比し,BMI 15~19は同20~24に比し,それぞれ虚血性脳卒中/TIAリスクが高かった。
現喫煙:RR 1.51,95%CI 1.18~1.95。
BMI 15~19:RR 1.61,95%CI 1.06~2.46。
最近のaspirin中止例(index dateの前31~180日間中止)は現服用例に比し虚血性脳卒中/TIAリスクが上昇した(症例群10.0% vs. 対照群7.5%,RR 1.40,95%CI 1.03~1.92)。
aspirin中止の理由は患者のノンアドヒアランスが最も多かった(症例群7.7% vs. 対照群5.4%,RR 1.46,95%CI 1.03~2.07)。

●有害事象

文献: García Rodríguez LA, et al. Increased risk of stroke after discontinuation of acetylsalicylic acid: A UK primary care study. Neurology 2011; 76: 740-6. pubmed
関連トライアル AFASAK 2 1999, BAT, CHARISMA, Danish Cooperative Study, EAFT 1993, ESPS-2 1996, HOT, PHS, Physicians' Health Study 1991, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SPAF I-III 1999, SPAF III 1998, Swedish Cooperative Study, TASS 1993, WHS
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