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Jacob M et al Effect of timing of chronic preoperative aspirin discontinuation on morbidity and mortality in coronary artery bypass surgery
結論 aspirin長期投与を受けている待機的冠動脈バイパス術(CABG)施行患者について,術前5日以内のaspirin休薬は6日以上前の休薬に比し術中,術後の輸血を増加させたが,出血のための再手術率は同等であった。また,術後の心筋梗塞,脳卒中,院内死発生率も同等であった。

目的 aspirinはCABG後の死亡率および虚血イベントを抑制するが,術後の出血についての懸念から,術前の休薬のタイミングについては議論が分かれている。本解析では,aspirin長期投与を受けているCABG施行患者において,術前の休薬のタイミングを検討する。一次エンドポイント:院内死,心筋梗塞,脳卒中の複合。
デザイン コホート研究。
セッティング 単施設,米国。
期間 対象となったCABG施行期間は2002年1月1日~2008年1月31日。
対象患者 4143例。2002年1月1日~2008年1月31日に待機的CABGを受けたaspirin投与中の患者。
【除外基準】表記なし。
【患者背景】患者数は早期休薬群2298例,後期休薬群1845例。平均年齢は65.1±10.3歳,65±10.8歳。女性22%,23%。心筋梗塞既往58%,61%。脳血管障害既往10%,8.3%(p=0.06)。高血圧既往86%,83%(p=0.002)。治療を受けた糖尿病既往37%,33%(p=0.003)。末梢血管疾患既往56%,51%(p=0.002)。うっ血性心不全既往24%,22%。喫煙歴64%,63%。腎疾患既往6.4%,3.4%(p<0.0001)。PCI歴29%,27%。DES 6%,2.7%(p<0.0001)。BMS 4.7%,3.6%(p=0.08)。心臓手術歴21%,14%(p<0.0001)。以前の心臓手術数(p<0.0001)0:79%,86%,1:17%,13%,2回以上3.3%,1.7%。50%以上の狭窄のある冠動脈数0:1.2%,1.1%,1:7.5%,7.1%,2:21%,22%,3:70%,70%。左主幹部の50%以上の狭窄27%,32%(p=0.002)。warfarin使用2.9%,2.1%。warfarin以外の抗凝固薬使用30%,49%(p<0.0001)。
治療法
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
対象者4143例のうち,手術の6日以上前にaspirinを休薬した早期休薬群は2298例(55.5%),手術前5日以内に休薬した後期休薬群は1845例(44.5%)であった。
傾向スコアを合致させた1519組(73%)について解析を行った。一次エンドポイントは早期休薬群26例(1.7%),後期休薬群28例(1.8%)と同等であった(p=0.80)。
院内死:10例 vs. 11例,p=0.8。
術後心筋梗塞:5例 vs. 6例,p=0.8。
術度脳血管障害:14例 vs. 12例,p=0.7。

●有害事象
後期休薬群は術中の輸血(20% vs. 23%,p=0.03),術後の輸血(26% vs. 30%,p=0.009)が多かったが,出血のための再手術は同等であった(3.4% vs. 2.4%,p=0.10)。

文献: Jacob M, et al. Effect of timing of chronic preoperative aspirin discontinuation on morbidity and mortality in coronary artery bypass surgery. Circulation 2011; 123: 577-83. pubmed
関連トライアル Bybee KA et al, MSPIRG
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