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Machumpurath B et al Rapid Neurological Recovery after Intravenous Tissue Plasminogen Activator in Stroke: Prognostic Factors and Outcome
結論 tPA静注を受けた虚血性脳卒中患者において,急速な神経学的回復は約1/4にみられ,長期転帰良好の強力な予測因子であった。
コメント t-PAの急性期治療効果の転帰に及ぼす影響について,発症4.5時間以内の症例を対象にした点,急速回復の定義を24時間以内にNIHSSで50%以上の改善として分析した点が新しい。転帰良好例の増加にはtime windowを延長して対象例を拡大すること以上に,おそらく再灌流を早期に導いてbioavailabilityのある領域で症状回復が早期に認められることが血栓溶解療法の本質的な意義なのであろう。(岡田靖

目的 発症から4.5時間以内にtPA静注を受けた虚血性脳卒中患者において,24時間以内に神経学的回復を示す患者の割合,その予測因子,長期臨床転帰との関連を検討する。
デザイン 後ろ向き観察研究。
セッティング 単施設,オーストラリア。
期間 対象患者入院期間は2003年1月~2009年1月。
対象患者 161例。2003年1月~2009年1月にtPA静注を受けた虚血性脳卒中患者連続例。治療の基準は発症から4.5時間以内かつNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア≧4を示した症例。
【除外基準】stroke mimics,静注後血管内療法(血栓溶解療法動注,血栓除去術など)を施行。
【患者背景】平均年齢は急速回復群67±15歳,非急速回復群72±14歳。各群の女性51.3%,40.9%。発症前の自立[modified Rankin Score(mRS)<2]88.6%,82.9%。高血圧77.3%,79.5%。喫煙(現喫煙または喫煙経験)36.4%,29.1%。糖尿病15.9%,23.9%。高コレステロール血症43.2%,51.3%。虚血性心疾患29.5%,41.0%。心房細動38.6%,37.6%。治療までの時間152±35分,158±32分。入院時の血糖値6.6±1.5mmol/L,8.1±3.1 mmol/L(118.8±27mg/dL,145.7±55.8mg/dL)。血圧148±28/84±12mmHg,151±33/84±15mmHg。NIHSS 12±5,15±6。Oxfordshire stroke syndrome classification(OSSC):部分的前方循環脳卒中70.5%,44.4%,全前方循環脳卒中18.2%,51.3%,ラクナ梗塞4.5%,1.7%,後方循環脳卒中6.8%,2.6%。
治療法 当施設の基準にしたがいtPA 0.9mg/kg静注。なお当初の治療対象者は発症から3時間以内の症例であったが, ECASS III の結果を受け,2008年11月以降は4.5時間以内とした。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
急速な回復を示したのは44例(27.3%)であった。
急速回復は3カ月後の機能転帰を改善し(p<0.0005),30日後の死亡率を抑制した(p=0.001)。
開始時のNIHSS低スコア(p=0.006,OR 0.912),同<12(p=0.002,OR 3.133),入院時の血中血糖値正常(59~139mg/dL)(p=0.009,OR 2.810),若年(p=0.043,OR 0.976)は転帰良好の予測因子であった。
OSSCは全体としては予測因子であった(p=0.08);部分的前方循環脳卒中(p=0.001),ラクナ梗塞(p=0.059),後方循環脳卒中(p=0.068)(いずれも全前方循環脳卒中に比し)。
治療までの時間と転帰は関連が認められなかった(p=0.300)。
全体における3カ月後の転帰は良好(mRS 0~1):50例(31.1%),不良(mRS 2~5):82例(50.9%),死亡29例(18%)であった。

●有害事象

文献: Machumpurath B, et al. Rapid Neurological Recovery after Intravenous Tissue Plasminogen Activator in Stroke: Prognostic Factors and Outcome. Cerebrovasc Dis 2010; 31: 278-83. pubmed
関連トライアル ECASS III, Erlangen Stroke and Thrombolysis Database, GWTG-Stroke “golden hour” patients, GWTG-Stroke time to treatment, Kruetzelmann A et al, Martin-Schild S et al, MERCI and Multi MERCI previous IV tPA, SAINT postthrombolysis ICH, Sarikaya H et al, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SPOTRIAS
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