抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
Erlangen Stroke and Thrombolysis Database
結論 血栓溶解療法を受けた虚血性脳卒中患者において,最大5分の1は急速な完全回復が可能と考えられた。完全回復例は若く,脳卒中の程度は軽症で,心原性脳塞栓症は少なかった。転帰良好と低死亡率は3カ月後も保たれた。

目的 血栓溶解療法後の早期神経学的完全回復患者の特性を解析。
デザイン コホート研究。
セッティング 単施設,ドイツ。
期間 治療期間は2006年4月~2009年3月。
対象患者 320例。2006年4月~2009年3月,発症後3時間以内に血栓溶解療法静注を受けた虚血性脳卒中患者連続例。
【除外基準】3時間以上経過後に治療を受けた患者,最終診断で症状の原因が虚血以外と判明した患者。
【患者背景】[24時間後完全回復 vs. 症状あり]年齢は完全回復群69(56~82)歳,有症状群73(64~84)歳(p=0.025)。各群の女性23%,45%(p=0.032)。患者特性:入院期間6(5~8)日,9(6~13)日(p<0.001)。高血圧77%,82%。心房細動20%,41%(p=0.030)。高コレステロール血症63%,56%。喫煙経験10%,12%。糖尿病27%,37%。脳卒中既往10%,16%。冠疾患27%,23%。末梢動脈閉塞疾患17%,10%。脳卒中の特徴:入院時National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア 5(3~7),10(5~15)(p<0.001)。左半球63%,55%。右半球37%,36%。脳幹/小脳0%,7%。顔面麻痺57%,72%。上肢麻痺77%,85%。下肢麻痺63%,73%。感覚消失37%,50%。構音障害40%,49%。失語43%,48%。無視3%,19%(p=0.040)。意識障害0%,20%(p=0.002)。症候性頭蓋内出血0%,5%。無症候性頭蓋内出血7%,5%。発症からの時間120(90~149)分,115(85~150)分。3カ月後のmodified Rankin Score(mRS) 0(0~1),3(1~4)(p<0.001)。CT上虚血所見60%,79%(p=0.037)。
[退院時完全回復 vs. 症状あり]年齢は完全回復群70.5(59~78)歳,有症状群72.5(62~81)歳。各群の女性37%,45%。患者特性:入院期間7(5~8)日,10(7~13)日(p<0.001)。動脈性高血圧84%,80%。心房細動24%,43%(p=0.005)。高コレステロール血症64%,54%。喫煙経験13%,12%。糖尿病36%,36%。脳卒中既往13%,16%。冠疾患25%,23%。末梢動脈閉塞疾患13%,10%。脳卒中の特徴:入院時NIHSS 5(3~7),11(6~15)(p<0.001)。左半球63%,55%。右半球37%,36%。脳幹/小脳0%,7%。顔面麻痺56%,72%(p=0.003)。上肢麻痺64%,89%(p<0.001)。下肢麻痺54%,77%(p<0.001)。感覚消失36%,52%(p=0.021)。構音障害43%,50%。失語47%,48%。無視4%,21%(p=0.001)。意識障害6%,22%(p=0.001)。症候性頭蓋内出血0%,6%(p=0.048)。無症候性頭蓋内出血4%,6%。発症からの時間120(90~149)分,110(85~150)分。3カ月後のmRS 0(0~1),3(2~4)(p<0.001)。CT上虚血所見53%,84%(p<0.001)。
()内はIQRを示す。
治療法 発症後3時間以内にrtPA静注。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
完全回復(脳卒中による症状が認められない)は血栓溶解療法の24時間後は30例(9.4%),退院時は70例(22%)に認められた。
完全回復例は若く,男性が多く,症状は軽度,心原性脳塞栓症,出血性合併症は少なく,追跡画像正常が多かった。また,入院期間は短く,90日後の神経学的転帰は良好のままであった(患者背景の欄参照)。
退院時無症状であった患者のうち,追跡期間中の死亡は1例であった。
多変量回帰分析によると,入院時のNIHSSは24時間後,退院時の両方の時点での完全回復の予測因子であった。
24時間後:OR 0.794,95%CI 0.712~0.886,p<0.001。
退院時:OR 0.817,95%CI 0.758~0.880,p<0.001。
また,追跡画像正常は退院時完全回復の独立予測因子であった(OR 0.365,95%CI 0.192~0.693,p=0.002)。

●有害事象

文献: Blinzler C, et al. Characteristics and outcome of patients with early complete neurological recovery after thrombolysis for acute ischemic stroke. Cerebrovasc Dis 2011; 31: 185-90. pubmed
関連トライアル ECASS, ECASS III, GWTG-Stroke “golden hour” patients, Machumpurath B et al, SAINT postthrombolysis ICH, SITS-ISTR early neurological improvement, SPOTRIAS, Toni D et al
関連記事