抗血栓トライアルデータベース
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Risselada R et al Platelet aggregation inhibitors, vitamin K antagonists and risk of subarachnoid hemorrhage
結論 抗血小板薬の使用はくも膜下出血リスクを上昇させなかったが,ビタミンK拮抗薬はリスクを上昇させているようであった。抗血小板薬はケース・コントロール解析で中等度のリスク上昇がみられたが,これは交絡因子によるものと考えられた。しかしビタミンK拮抗薬のリスク上昇はケース・クロスオーバー解析で最も強くみられ,測定していない交絡因子では説明できなかった。
コメント 処方記録データベースと病院退院時診断名を組み合わせた大規模なケースコントロール解析である。抗血小板薬使用はくも膜下出血の発症リスクを上昇させなかった。このことはTIA,脳梗塞患者への治療における安全性において意義深い知見である。一方,ビタミンK拮抗薬はリスクを上昇させ,交絡因子では説明できないとしており,凝固カスケードの広い抑制がもたらす脳出血増加が一要因と考えるべきであろう。近年,他の機序による抗凝固薬も開発されてきており,出血性脳卒中の発症リスクには更なる検討が待たれる。(岡田靖

目的 抗血小板薬,ビタミンK拮抗薬は頭蓋内出血リスクを上昇させるが,くも膜下出血リスクを上昇させるかどうか,およびその程度は不明である。本解析では,抗血小板薬,ビタミンK拮抗薬がくも膜下出血リスクを上昇させるか検討する。
デザイン ケース・コントロール解析,ケース・クロスオーバー解析,ケース・タイム・コントロール解析。
セッティング 多施設,オランダ。
期間 対象患者入院期間は1998年1月1日~2006年12月31日。
対象患者 くも膜下出血患者1004例+対照例10033例。
くも膜下出血患者:PHARMOデータベースにより同定された,1998年1月1日~2006年12月31日にくも膜下出血のため入院した患者。
対照例:生年,性別,index dateを合致させたくも膜下出血既往のない者を患者1例につき最大10例までランダム抽出。
【除外基準】―
【患者背景】平均年齢はくも膜下出血患者58±14歳,対照例58±14歳。女性67%,67%。1型糖尿病1.2%,0.8%,2型糖尿病5.7%,6.5%。降圧薬:使用中25.3%,25.5%,最近まで使用(<30日)2%,2.3%,過去の使用(30日以上前まで)15.1%,11.9%(OR 1.34,95%CI 1.10-1.62)。心血管疾患既往15.1%,12.5%。薬剤の現在の使用:NSAID 8%,3.6%(OR 2.34,95%CI 1.77-3.09),COX-2選択的阻害薬1.3%,0.6%(OR 2.35,95%CI 1.27-4.36),benzodiazepine 10.2%,7.6%(OR 1.43,95%CI 1.13-1.80),抗片頭痛薬0.6%,0.2%(OR 2.69,95%CI 1.09-6.60)。
治療法 [ケース・コントロール解析]
くも膜下出血患者1004例と対照例10033例を比較。
[ケース・クロスオーバー解析](残差交絡を排除)
くも膜下出血患者における発症前の1年間について,リスク期間(発症前の1カ月,計1004カ月)と対照期間(リスク期間より前の11カ月を1カ月ごと,計11044カ月)として比較。
[ケース・タイム・コントロール解析](時間経過のバイアスを排除)
ケース・コントロールデザインとケース・クロスオーバーデザインを組み合わせ,インデックス期間(10033カ月)と対照期間(110363カ月)を比較。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
解析別のくも膜下出血リスクのORは以下の通りであった。
[ケース・コントロール解析]
抗血小板薬の現在の使用:OR 1.32,95%CI 1.02-1.70。
ビタミンK拮抗薬の現在の使用:OR 1.29,95%CI 0.89-1.87。
[ケース・クロスオーバー解析]
抗血小板薬の現在の使用:OR 1.04,95%CI 0.56-1.94。
ビタミンK拮抗薬の現在の使用:OR 2.90,95%CI 1.27-6.65。
[ケース・タイム・コントロール解析]
抗血小板薬の現在の使用:OR 0.50,95%CI 0.26-0.98。
ビタミンK拮抗薬の現在の使用:OR 1.98,95%CI 0.82-4.76。

●有害事象

文献: Risselada R, et al. Platelet aggregation inhibitors, vitamin K antagonists and risk of subarachnoid hemorrhage. J Thromb Haemost 2011; 9: 517-23. pubmed
関連トライアル AMADEUS, Garbe E et al, Schalekamp T et al, Sørensen R et al
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