抗血栓トライアルデータベース
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SITS-ISTR/VISTA Safe Implementation of Treatment in Stroke-International Stroke Thrombolysis Registry / Virtual International Stroke Trials Archive
結論 alteplase静注を受けた虚血性脳卒中患者の転帰は,治療を受けなかった患者に比し良好であった。加齢は転帰不良と関連していたが,治療と転帰改善の関連は超高齢患者でも保たれていた。年齢はそれだけでは治療の妨げとならない。
コメント 2つの大規模データベースを用いて,アルテプラーゼ静注血栓溶解療法の転帰に及ぼす効果が80歳以下と80歳超とでオッズ比に差がないことを示した報告である。EUではこれまで80歳超の高齢者へのアルテプラーゼ静注が認可されていなかったことから,適用拡大に向けての根拠となる論文となるであろう。(岡田靖

目的 虚血性脳卒中患者において,年齢がalteplaseに対する反応に及ぼす影響を検討するため, SITS-ISTR に登録された血栓溶解療法施行患者と VISTA に登録された非施行患者を比較。評価項目:90日後の機能転帰(mRS)。
デザイン SITS-ISTR:虚血性脳卒中患者の前向き登録研究。
VISTA:脳卒中患者に対する神経保護薬試験の登録研究。
セッティング
期間 SITS-ISTRの登録期間は2002年12月25日~2009年11月2日。
VISTAの試験実施期間は1998~2007年。
対象患者 29228例。
血栓溶解療法施行例:SITS-ISTRに登録された血栓溶解療法施行患者のうち90日の追跡が完了し,患者背景データが得られた23334例。
非施行例:VISTA登録者のうち,alteplase投与を受けなかったがプラセボまたは神経保護薬のどちらかを投与された虚血性脳卒中患者のうち,90日の追跡が完了した6166例。
【除外基準】開始時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア不明例。
【患者背景】年齢中央値(範囲)は血栓溶解療法群69(10~98)歳,対照群72(21~101)歳*。各群の男性58.3%,53.0%*。開始時のNIHSSスコア中央値(範囲)12(0~42),12(2~37)。抗血栓薬前投与38.5%,42.7%*。既知の糖尿病17.2%,24.6%*。脳卒中既往13.1%,33.6%*。うっ血性心不全8.5%,8.7%。高血圧62.6%,70.7%*。心房細動25.6%,29.0%**p<0.001
治療法 患者は各施設の治療基準および当時の脳卒中治療ガイドラインにもとづき治療を受けた。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
開始時の重症度は血栓溶解療法施行群,対照群で同等であった(患者背景参照)。
3カ月後のmodified Rankin Score(mRS)の分布は血栓溶解療法施行例の方が良好であった(OR 1.6,95%CI 1.5-1.7,Cochran-Mantel-Haenszel p<0.001)。≦80歳,>80歳とも同様の結果であった。
≦80歳(施行群20860例/対照群4929例):OR 1.6,1.5-1.7,p<0.001。
>80歳(2202例/1237例):OR 1.4,1.3-1.6,p<0.001。
10歳ごとの解析では,ベネフィットは41~90歳で有意であった。
21~30歳(施行群170例/対照群12例):OR 0.86,0.29-2.6,p=0.88。
31~40歳(632例/104例):OR 1.5,1.0-2.1,p=0.30。
41~50歳(1642例/358例):OR 1.5,1.2-1.8,p<0.001。
51~60歳(3658例/830例):OR 1.6,1.4-1.8,p<0.001。
61~70歳(6193例/1422例):OR 1.5,1.4-1.7,p<0.001。
71~80歳(8527例/2203例):OR 1.6,1.5-1.8,p<0.001。
81~90歳(2069例/1158例):OR 1.5,1.3-1.7,p<0.001。
91~100歳(133例/77例):OR 1.2,0.69-2.0,p=0.73。
転帰を2分割した検討でも,血栓溶解療法施行群の方が良好な結果であった。年齢と治療効果の間に交互作用は認められなかった。
mRS 0~2 vs. 3~6:≦80歳OR 1.9,1.7-2.0,>80歳OR 2.1,1.7-2.5。
mRS 0~1 vs. 2~6:≦80歳OR 1.6,1.4-1.7,>80歳OR 1.9,1.5-2.3。
死亡(mRS 6 vs. 0~5):≦80歳OR 0.87,0.79-0.95,>80歳OR 0.89,0.76-1.04。
SITS-ISTR登録例において,発症から血栓溶解療法開始までの時間は≦80歳群,>80歳群とも145分と同等であった(p=0.25)。

●有害事象
血栓溶解療法施行群における症候性脳内出血は, SITS-MOST定義では同等であったが, NINDS定義では>80歳群の方が多かった。
SITS-MOST基準:54/2163例(2.5%)vs. ≦80歳群398/20759例(1.9%)(OR 1.3,0.96-1.8,p=0.07)。
NINDS基準:229/2087例(11.0%)vs. ≦80歳群1670/20220例(8.3%)(OR 1.4,1.2-1.6,p<0.001)。
なお対照群では,出血の記録はされなかった。

文献: Mishra NK, et al.; for the VISTA and SITS collaborators. Thrombolysis in very elderly people: controlled comparison of SITS International Stroke Thrombolysis Registry and Virtual International Stroke Trials Archive. BMJ 2010; 341: c6046. pubmed
関連トライアル Bichat Clinical Registry, CASES gender, ECASS III, Guillan M et al, Helsinki Stroke Thrombolysis Registry, ICARO-2, IST-3, IST-3 18-month follow-up, Madrid Stroke Network, Manawadu D et al, RESTORE, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Sarikaya H et al, Schellinger PD et al, SITS-ISTR, SITS-ISTR 2010, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR blood pressure, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR young patients, SITS-ISTR/VISTA prior stroke/DM, SITS-MOST, SITS-MOST multivariable analysis, Strbian D et al Ultra-Early Thrombolysis, Toni D et al, VISTA baseline severity, VISTA contraindications, VISTA impact of atrial fibrillation, VISTA influence of age, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
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