抗血栓トライアルデータベース
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FORI Foramen Ovale Registro Italiano
結論 卵円孔開存(PFO)を有する脳卒中患者の再発予防において,経皮的PFO閉鎖は薬物療法に比し優れているようであった。周術期合併症はこのベネフィットの代償であった。
コメント 卵円孔開存に伴う脳梗塞症例に対する経皮的PFO閉鎖術の効果を薬物治療(ビタミンK拮抗薬か抗血小板薬)と比較し,脳梗塞の再発率は経皮的PFO群で薬物療法群と比較し有意に低かったという。しかし,本研究は観察研究でありランダム化されていないこと,薬物群の抗血栓療法の方法が一様でないこと,経皮的閉鎖術群で合併症が多かったことから,経皮的PFO閉鎖術の位置づけ(脳卒中治療ガイドライン2009でC1:行うことを考慮しても良いが,十分な科学的根拠がない)に影響を与えるものではない。(矢坂正弘

目的 PFOを有する原因不明の虚血性脳卒中患者に対する至適療法は明らかとなっていない。本研究では,原因不明の軽症脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)でPFOを有し,経皮的PFO閉鎖または抗血栓療法単独を受けた患者において,脳血管イベント再発リスクおよびイベント再発に関連するリスク因子を検討する。エンドポイント:脳卒中(虚血性/出血性)およびTIA再発。
デザイン 前向き観察研究。
セッティング 多施設(13施設),イタリア。
期間 登録期間は2006年1月~2007年9月。追跡期間は2年。
対象患者 238例。55歳未満で,診断精密検査でPFOが判明した原因不明の軽症虚血性脳卒中初発患者[発症から3カ月後のmodified Rankin Score(mRS)<3]またはTIA患者連続例。
【除外基準】心原性,大動脈,頸動脈,頭蓋内由来の脳血管虚血イベントを有する症例(心房中隔動脈瘤の有無は問わない)。
【患者背景】平均年齢は経皮的PFO閉鎖群43.4±9.5歳,薬物療法群40.9±10.3歳。各群の男性48.8%,50.4%。試験登録対象イベント(p=0.01):TIA 38.3%,23.1%,脳卒中61.2%,76.9%。高血圧19.8%,19.7%。糖尿病4.1%,―。現喫煙27.3%,32.5%。脂質異常症19.0%,19.7%。片頭痛24.0%,23.9%。深部静脈血栓症6.7%,3.0%。心房中隔動脈瘤62.0%,41.0%(p=0.002)。安静時の右-左シャント54.5%,53.0%。
治療法 治療法の決定は患者および担当医により行われ,117例(49.2%)に抗血栓療法[抗血小板薬93例*,ビタミンK拮抗薬24例(標的PT-INR 2.5)],121例(50.8%)に試験登録対象イベントから6カ月以内に経皮的PFO閉鎖を施行した。
*:aspirin 100~325mg:78例,ticlopidine 500mg:7例,clopidogrel 75mg:7例,aspirin 50mg+dipyridamole 400mg:1例。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
心房中隔動脈瘤,安静時の右-左シャントは経皮的PFO閉鎖群の方が多かった(患者背景参照)。
2年の追跡において,脳卒中またはTIA再発は経皮的PFO閉鎖群7件(2.9%/年,TIA 6件+機能障害のない虚血性脳卒中1件),薬物療法群10 件(4.2%/年,TIA 2件+機能障害のない虚血性脳卒中5件+機能障害の残る虚血性脳卒中1件+機能障害のない出血性脳卒中1件)。
(機能障害のない:3カ月後のmRS が0~2,機能障害の残る:同3~5)
脳卒中再発は1件(0.4%/年)vs. 8件(3.4%/年)。
多変量解析において,経皮的PFO閉鎖にはTIA/脳卒中再発予防保護作用は認められなかった(OR 0.1,95%CI 0.02~1.5,p=0.1)。脳卒中予防についてはOR 0.1,95%CI 0.0~1.0,p=0.053。

●有害事象
PFO閉鎖手技に関連した合併症は8例(6.6%,頻脈4例,アレルギー反応2例,敗血症状態の疑い1例,薬物的除細動を必要とする心房細動1例)発生した。

文献: Paciaroni M, et al. Risk of Recurrent Cerebrovascular Events in Patients with Cryptogenic Stroke or Transient Ischemic Attack and Patent Foramen Ovale: The FORI (Foramen Ovale Registro Italiano) Study. Cerebrovasc Dis 2010; 31: 109-16. pubmed
関連トライアル CLOSURE I, German Stroke Study Collaboration, PC Trial, PICSS aortic arch plaques, RESPECT, 薬物療法中の卵円孔開存患者における脳梗塞再発
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