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RE-LY exposure of VKA
結論 RE-LY試験において,試験前のビタミンK拮抗薬(VKA)投与の有無はdabigatranのベネフィットに影響を及ぼさなかった。
コメント RE-LY試験においてワルファリン治療経験者と62日以内の未経験者・短期経験者で結果に差が生じるかを解析した論文である。これまでワルファリン未経験者では投与開始数カ月間に大出血の発現が多いことがACTIVE-W試験などにより報告されているが,この試験ではその傾向は認められなかった。62日以内という基準が導入時の出血リスクを下げた可能性があるが,まったくの未経験者でも出血増加は認めておらず,より慎重な導入時のチェックが,その理由として考えられる。またワルファリン群における恒久的中止は経験者,62日以内の短期経験者,まったくの未経験者の順に高くなる傾向があり,ワルファリン治療の経験が中止率に影響していることが推察される。(是恒之宏

目的 RE-LY試験の事前に予定されたサブグループ解析として,転帰において治療とVKA投与の間に交互作用がみられるか検討。VKAナイーブはこれまでのVKA投与日数の合計が62日以下と定義。
デザイン RE-LY試験はPROBE(prospective,randomized,open,blinded-endpoint)。NCT00262600。
セッティング 多施設(951施設),44カ国。
期間
対象患者 18113例。6ヵ月以内に心電図でAFを確診,かつ次のリスク因子のうち1つ以上を有する:脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)の既往,LVEF<40%,NYHA分類≧II,6ヵ月以内の心不全の既往,75歳以上(糖尿病,高血圧,冠動脈疾患患者は65歳以上)。試験開始当初,VKA投与経験の有無別の患者数が等しくなるようにという参加施設への指示は強制ではなく,8カ月後の時点で患者数が均等にならないことが判明したため,等しくなるよう登録の調整が行われた。
【除外基準】RE-LY試験参照。
【患者背景】平均年齢はVKAナイーブ例71.6歳,投与経験例71.4歳。各群の男性58.9%,68.5%*CHADS2スコア2.11,2.18*。うっ血性心不全31.7%,32.2%。高血圧80.4%,77.3%*。糖尿病22.5%,24.2%(p=0.007)。冠動脈疾患24.7%,30.9%*。心筋梗塞既往14.9%,18.3%*。脳卒中既往11.0%,14.1%*。TIA既往7.9%,10.4%*。開始時のaspirin使用54.5%,24.8%*。warfarin群におけるTTR 62%,67%(1カ月後43% vs. 55%,6カ月後62%vs. 68%,12カ月後67%vs. 69%)。
*p<0.001
治療法 dabigatran (D)110mg群(VKAナイーブ例3004例/投与経験例3011例),D150mg群(3026例/3049例),warfarin群(3093例/2929例)にランダム化。
追跡完了率
結果

●評価項目
試験薬の恒久的中止はVKAナイーブ例20.6%と,投与経験例18.7%に比し高かった。
一次エンドポイント(脳卒中または全身性塞栓症)について,D110mg(交互作用p=0.72),D150mg(交互作用p=0.84)とも,VKA投与経験と一次エンドポイント発生率に交互作用はみられなかった。
VKAナイーブ例,投与経験例とも,dabigatran(D)110mg群はwarfarin群と同等,D150mg群は優越性が認められた。
[VKAナイーブ例]
D110mg群:1.57%/年(RR 0.93,95%CI 0.70-1.25,p=0.65)。
D150mg群:1.07%/年(RR 0.63,95%CI 0.46-0.87,p=0.005)。
warfarin群:1.69%/年。
[投与経験例]
D110mg群1.51%/年(RR 0.87,95%CI 0.66-1.15,p=0.32)。
D150mg群1.15%/年(RR 0.66,95%CI 0.49-0.89,p=0.007)。
warfarin群1.74%/年。

●有害事象
大出血について,D110mg(交互作用p=0.25),D150mg(交互作用p=0.90)とも,VKA投与経験と大出血発生率に交互作用はみられなかった。
VKAナイーブ例ではD110mg群,D150mg群ともwarfarin群と同等,投与経験例ではD110mgでwarfarin群に比し抑制,D150mg群は同等であった。
[VKAナイーブ例]
D110mg群:3.11%/年(RR 0.87,95%CI 0.72-1.07,p=0.19)。
D150mg群:3.34%/年(RR 0.94,95%CI 0.77-1.15,p=0.55)。
warfarin群:3.57%/年。
[投与経験例]
D110mg群:2.66%/年(RR 0.74,95%CI 0.60-0.90,p=0.003)。
D150mg群:3.30%/年(RR 0.92,95%CI 0.76-1.12,p=0.41)。
warfarin群3.57%/年。

頭蓋内出血はVKAナイーブ例,投与経験例ともdabigatran群で抑制された。
VKAナイーブ例:D110mg群0.19%/年(p<0.001),D150mg群0.33%/年(p=0.005),warfarin群0.73%/年。
投与経験例:D110mg群0.26%/年(p<0.001),D150mg群0.32%/年(p<0.001),warfarin群0.79%/年。
p値はwarfarin群に対して)

文献: Ezekowitz MD, et al.; the RE-LY Steering Committee and Investigators. Dabigatran and Warfarin in Vitamin K Antagonist-Naive and -Experienced Cohorts With Atrial Fibrillation. Circulation 2010; 122: 2246-53. pubmed
関連トライアル AFASAK 2 1999, AMADEUS, ARISTOTLE, ARISTOTLE previous stroke/TIA, ARISTOTLE risk score, AVERROES, AVERROES bleeding, dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, ENGAGE AF-TIMI 48, JNAF-ESP, Lakkireddy D et al, Larsen TB et al, Majeed A et al, PROTECT AF, RE-ALIGN, RE-COVER, RE-LY, RE-LY Asian subgroup, RE-LY cardioversion, RE-LY concomitant use of antiplatelet, RE-LY intracranial hemorrhage, RE-LY Japanese population, RE-LY periprocedural bleeding, RE-LY previous TIA or stroke, RE-LY quality of INR control, RE-LY risk of bleeding, RELY-ABLE, ROCKET AF, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF renal dysfunction, SPAF II 1996, SPORTIF III, SPORTIF risk of bleeding, SPORTIF V, warfarinによるNVAF患者の脳卒中予防, warfarin投与中のAF患者における脳卒中/全身性塞栓症リスク, 心房細動患者における新規抗凝固薬の有効性および安全性, 脳卒中/TIA既往を有する心房細動患者における新規抗凝固薬
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