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VISTA influence of age
結論 虚血性脳卒中患者における血栓溶解療法後の転帰は,非施行例に比し良好であった。高齢患者では治療効果とは独立して転帰不良が予測されたが,超高齢患者でも血栓溶解療法により転帰が改善された。年齢だけが治療をさまたげる要因ではないだろう。
コメント Virtual International Stroke Trials Archive(VISTA)を用いた本解析から高齢者におけるtPA血栓溶解療法の転帰改善効果が確認された。高齢との理由のみで抗凝固療法を止めるべきではない(ESOガイドライン)のと同様に,tPA血栓溶解療法も高齢との理由のみで投与をためらうべきではないと理解すべきであろう。(矢坂正弘

目的 加齢にともない出血や院内死亡リスクが上昇することから,高齢の虚血性脳卒中患者では血栓溶解療法は差し控えられるが,高齢患者における転帰不良は合併症のためであり,頭蓋内出血リスクは上昇しないという先行研究もある。本論文ではVISTA(神経保護薬に関する比較臨床試験のデータベース)のデータを用い,1998~2007年に行われた神経保護薬の試験の登録患者について,年齢が転帰に及ぼす影響を検討する。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設,複数国(北米,欧州,オーストラレーシア)。
期間 試験実施期間は1998~2007年。
対象患者 5817例。VISTAに組み入れられた,1998~2007年に実施された神経保護薬に関する比較臨床試験に参加した虚血性脳卒中患者。
【除外基準】脳出血,病型不明の脳卒中,SITS-MOST登録例,90日後のmodified Rankin Score(mRS)またはNIHSSが不明。
【患者背景】[年齢<81歳]年齢中央値(範囲)は血栓溶解療法施行群67(21~80)歳,非施行群69(21~80)歳*。各群の男性58.4%,56.1%。開始時のNIHSS中央値(範囲)13(2~30),12(2~32)*。抗血小板薬使用歴36.7%,31.9%*。抗凝固薬使用歴5.6%,14.4%*。脳卒中既往19.8%,36.8%*。うっ血性心不全9.8%,9.3%。糖尿病23.4%,26%。高血圧65.04%,69%*。心房細動21.4%,25.7%*。心筋梗塞18.2%,16.9%。
[年齢>80歳]年齢中央値(範囲)は血栓溶解療法施行群84(81~98)歳,非施行群84(75~101)歳。各群の男性34.9%,39.4%。開始時のNIHSS中央値(範囲)15(4~32),15(2~37)。抗血小板薬使用歴53.8%,43.2%*。抗凝固薬使用歴9.1%,18.3%*。脳卒中既往23.7%,45.8%*。うっ血性心不全21%,21.3%。糖尿病16.4%,20.6%。高血圧72.8%,77.7%。心房細動43.6%,51.5%*。心筋梗塞17.1%,19%。
*p<0.05
治療法 欧州のalteplase製造承認の年齢基準に合致した症例について,血栓溶解療法施行例,非施行例を比較。
血栓溶解療法施行群(1585例)には当時のガイドラインにしたがい血栓溶解療法(alteplase)を施行した。すなわち,治療は発症から3時間以内に開始されたはずであるが,発症から治療までの遅延は記録されていない。
非施行群(4232例)の血栓溶解療法を行わなかった理由は記録されなかった。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
開始時のNIHSSは血栓溶解療法施行例の方が高かった(14 vs. 13,p<0.05)。
90日後のmRSスコアの分布は施行例の方が良好であった(p<0.0001,OR 1.39,95%CI 1.26-1.54)。
年齢と転帰の関連は独立してみられ,同程度であった。
80歳以下:p<0.0001,OR 1.42,95%CI 1.26-1.59。
81歳以上:p=0.002,OR 1.34,95%CI 1.05-1.70。
年齢別のオッズ比は以下の通り。
[機能転帰]
21~30歳(血栓溶解療法施行10例/非施行10例):OR 0.14,95%CI 0.02-0.87,p=0.24。
31~40歳(38例/88例):OR 1.60,95%CI 0.80-3.20,p=0.63。
41~50歳(143例/256例):OR 1.49,95%CI 1.03-2.16,p=0.43。
51~60歳(233例/543例):OR 1.46,95%CI 1.11-1.92,p<0.05。
61~70歳(335例/970例):OR 1.53,95%CI 1.23-1.91,p<0.05。
71~80歳(525例/1472例):OR 1.39,95%CI 1.17-1.67,p<0.05。
81~90歳(275例/835例):OR 1.33,95%CI 1.03-1.70,p<0.05。
91~100歳(26例/57例):OR 1.50,95%CI 0.61-3.69,p=0.55。
[神経学的転帰]
21~30歳(血栓溶解療法施行10例/非施行9例):OR 0.39,95%CI 0.07-2.21,p=0.24。
31~40歳(38例/86例):OR 1.68,95%CI 0.81-3.48,p=0.97。
41~50歳(141例/251例):OR 1.67,95%CI 1.13-2.46,p=0.66。
51~60歳(225例/535例):OR 1.55,95%CI 1.16-2.06,p<0.05。
61~70歳(325例/953例):OR 1.65,95%CI 1.31-2.08,p<0.05。
71~80歳(515例/1449例):OR 1.60,95%CI 1.33-1.92,p<0.05。
81~90歳(273例/823例):OR 1.44,95%CI 1.12-1.85,p<0.05。
91~100歳(26例/56例):OR 1.43,95%CI 0.57-3.56,p=0.41。

●有害事象

文献: Mishra NK, et al.; for the VISTA Collaborators. Influence of Age on Outcome From Thrombolysis in Acute Stroke: A Controlled Comparison in Patients From the Virtual International Stroke Trials Archive (VISTA). Stroke 2010; 41: 2840-8. pubmed
関連トライアル CASES elderly patients, ECASS III additional outcomes, Helsinki Stroke Thrombolysis Registry, Helsinki Stroke Thrombolysis Registry, Manawadu D et al, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR/VISTA, SITS-ISTR/VISTA prior stroke/DM, SITS-MOST multivariable analysis, Toni D et al, TTT-AIS, VISTA baseline severity, VISTA contraindications, VISTA impact of atrial fibrillation
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