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SAMURAI DWI-ASPECTS
結論 虚血性脳卒中患者において,血栓溶解療法前に拡散強調画像(DWI)を用いて評価したAlberta Stroke Programme Early CT Score(ASPECTS)は3カ月後の機能的転帰および生命状態,36時間以内の症候性脳内出血の独立予測因子であった。
コメント わが国の質の高い脳卒中急性期の医療機関のrt-PA投与例を対象にした多施設共同研究において,MRI拡散強調画像の虚血領域の広がり(ASPECTS)が3カ月後の転帰の予測因子となることを示した貴重な報告である。非投与群がない点,わが国独自の0.6mg/kgの低用量である点などから,国際基準の予測因子になるには課題もあるが,今後のわが国のrt-PA治療指針の作成に寄与し,デバイスを用いた血栓除去術の治療効果の比較にも有用な研究である。(岡田靖

目的 虚血性脳卒中患者において,血栓溶解療法前にDWIを用いて評価したASPECTSが3カ月後の転帰を予測するか検討する。一次エンドポイント:3カ月後の自立[modified Rankin Score(mRS) 0~2]。二次エンドポイント:3カ月後の転帰良好(mRS 0~1),死亡,36時間以内の症候性脳内出血(ECASS定義)
デザイン 後ろ向き観察研究。
セッティング 多施設(10施設),日本。
期間 対象患者治療期間は2005年10月~2008年7月。
対象患者 477例。2005年10月~2008年7月に日本のガイドラインにしたがい血栓溶解療法を受けた虚血性脳卒中患者連続例。DWIで早期虚血変化が広汎に認められた患者に対する血栓溶解療法の施行は担当医の裁量とした。
【除外基準】治療前のMRIを実施せず,DWI画像のクオリティが低い,当該脳卒中発症前のmRSが3以上,3カ月後のmRSスコアが得られず。
【患者背景】平均年齢はmRS 0~2群69.0±11.8歳,mRS 3~6群73.9±9.5歳**。男性73.5%,58.6%**。高血圧58.6%,68.7%*。糖尿病18.9%,18.5%。脂質異常症22.5%,20.4%。うっ血性心不全3.4%,9.8%**。脳卒中の病型*:心原性59.6%,63.4%,アテローム血栓性12.8%,19.8%,ラクナ梗塞6.9%,3.0%。動脈閉塞部位**:内頸動脈3.2%,28.0%,中大脳動脈(M1)27.3%,29.3%,(M2)22.4%,16.4%。発症から治療まで140.0±26.9分,141.9±29.4分。治療前の血圧151.6±18.2/82.9±13.5mmHg,150.1±21.4/81.7±16.5mmHg。ベースライン時のNIHSS 9(6~14),17(11~20.75)**
**p<0.01,*p<0.05。
治療法 alteplase 0.6mg/kgを静注(症状発現後3時間以内に10%をボーラス投与し,残りを1時間以上かけて静注)。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
3カ月後の自立(mRS 0~2)は245例(51.4%)であった。
36時間以内の実質性脳内出血は40例(8.4%),うち症候性脳内出血は15例(3.1%)に認められた。
3カ月後の死亡は29例(6.1%)であった。
mRS 0~2であった患者のDWI-ASPECTSは中央値9(IQR 8~10)で,mRS 3~6の患者8(IQR 6~9)に比し高かった(p<0.001)。
ROC曲線によると,3カ月後のmRS 0~2を予測するDWI-ASPECTSの至適カットオフ値は≧7であった(AUC=0.623)。
多変量回帰分析によると,DWI-ASPECTS≧7はmRS 0~2の独立予測因子であった(OR 1.85;95%CI 1.07-3.24,p=0.029)。
他の因子は以下の通り。
年齢(1歳上昇ごと):OR 0.97;0.95-0.99,p<0.001。
女性:OR 0.59;0.37-0.95,p=0.031。
ベースライン時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア(1点上昇ごと):OR 0.92;0.89-0.96,p<0.001。
内頸動脈閉塞:OR 0.13;0.06-0.28,p<0.001。
また,DWI-ASPECTS≦4は死亡(OR 3.61;1.23-9.91,p=0.021),≦5は症候性脳内出血(OR 4.74;1.54-13.64,p=0.008)と関連していた。

●有害事象

文献: Nezu T, et al. Pretreatment ASPECTS on DWI predicts 3-month outcome following rt-PA: SAMURAI rt-PA Registry. Neurology 2010; 75: 555-61. pubmed
関連トライアル Austrian Stroke Unit Registry, Bhatia R et al, Chen CH et al, Chernyshev OY et al, ECASS, ECASS III, EPITHET, J-ACT, J-MARS, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI, SAMURAI CT versus DWI, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Saqqur M et al, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST multivariable analysis, SUMO, Toni D et al
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