抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
VISTA baseline severity
結論 非ランダム化の比較において,開始時のNIHSSが5~24の症例における血栓溶解療法後の転帰は,未治療例に比し良好であった。NIHSS≦4,≧25では症例数が少なく,信頼限界が広く,有意な関連は認められなかった。
コメント Virtual International Stroke Trials Archive(VISTA)を用いた本解析で,投与前National Institute of Health stroke scale(NIHSS)5~24がtPA血栓溶解療法の良い適応であることが改めて確認された。NIHSS4以下や25以上では,症例ごとにtPA血栓溶解療法の適否を慎重に判断すべきであろう。(矢坂正弘

目的 血栓溶解療法を施行する患者において,開始時の脳卒中重症度は転帰の予測因子であり,NIHSS閾値は血栓溶解療法施行や臨床試験登録の選択に用いられる。本論文はVISTA(神経保護薬に関する比較臨床試験のデータベース)のデータを用い,1998~2007年に行われた神経保護薬の試験の登録患者について,開始時のNIHSSが転帰に及ぼす影響を検討する。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設,複数国(北米,欧州,オーストラレーシア)。
期間 試験実施期間は1998~2007年。
対象患者 5817例。VISTAに組み入れられた,1998~2007年に実施された神経保護薬に関する比較臨床試験に参加した虚血性脳卒中患者。
【除外基準】脳出血,病型不明の脳卒中,SITS-MOST登録例,90日後のmodified Rankin Score(mRS)またはNIHSSが不明。
【患者背景】年齢中央値(範囲)は血栓溶解療法施行群71(21~98)歳,非施行群72(21~101)歳*。各群の男性55.52%,52.6%。開始時のNIHSS中央値(範囲)14(2~32),13(2~37)*。抗血小板薬使用歴39.8%,34.2%*。抗凝固薬使用歴6.2%,15.2%*。脳卒中既往20.5%,38.7%*。うっ血性心不全12%,11.6%。糖尿病22.1%,24.9%*。高血圧66.5%,70.8%*。心房細動25.7%,31.1%*。心筋梗塞18%,17.3%。*p<0.05
治療法 血栓溶解療法施行群(1585例)には当時のガイドラインにしたがい血栓溶解療法(alteplase)を施行した。すなわち,治療は発症から3時間以内に開始されたはずであるが,発症から治療までの遅延は記録されていない。
非施行群(4232例)の血栓溶解療法を行わなかった理由は記録されなかった。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
開始時のNIHSSは血栓溶解療法施行例の方が高かった(14 vs. 13,p<0.05)。
開始時のNIHSSが5~24の症例では,alteplase使用と転帰良好の関連が認められたが,≦4,≧25では関連は認められなかった。
1~4(血栓溶解療法施行例8例/非施行例161例):OR 1.14,95%CI 0.30-4.35,p=0.82。
5~8(278/934例):OR 1.25,95%CI 0.98-1.59,p=0.04。
9~12(404/942例):OR 1.32,95%CI 1.07-1.62,p=0.01。
13~16(342/814例):OR 1.63,95%CI 1.30-2.05,p<0.05。
17~20(311/736例):OR 1.67,95%CI 1.32-2.12,p<0.05。
21~24(178/466例):OR 1.56,95%CI 1.14-2.14,p<0.05。
≧25(64/179例):OR 1.12,95%CI 0.66-1.90,p=0.08。

●有害事象

文献: Mishra NK, et al.; VISTA Collaborators. Thrombolysis is associated with consistent functional improvement across baseline stroke severity: a comparison of outcomes in patients from the Virtual International Stroke Trials Archive (VISTA). Stroke 2010; 41: 2612-7. pubmed
関連トライアル Austrian Stroke Unit Registry, ECASS III additional outcomes, EPITHET, Helsinki Stroke Thrombolysis Registry, IST-3 18-month follow-up, J-MARS, Madrid Stroke Network, Manawadu D et al, Mikulik R et al 2007, Mikulik R et al 2009, NINDS two-hour improvement, Power A et al, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Saqqur M et al, Schellinger PD et al, Singer OC et al, SITS-ISTR blood pressure, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR young patients, SITS-ISTR/VISTA, SITS-ISTR/VISTA prior stroke/DM, SITS-MOST multivariable analysis, Strbian D et al Ultra-Early Thrombolysis, VISTA contraindications, VISTA impact of atrial fibrillation, VISTA influence of age
関連記事