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THINRS effect of home testing
結論 warfarin投与を必要とする患者において,自宅で週1回行うPT-INR測定はクリニックで月1回行う測定に比し,脳卒中,大出血,死亡発生までの時間を遅らせなかった。

目的 warfarin投与を必要とする患者において,自宅で週1回行うPT-INR測定は,抗凝固クリニックで月1回行うハイクオリティな測定よりも転帰を改善すると期待されている。本試験では,自宅でのPT-INR測定がイベントを減少させるか検討する。一次エンドポイント:主要イベント(脳卒中,大出血,死亡)初発までの時間。
デザイン THINRSはPROBE(prospective,randomized,open,blinded-endpoint)。intention-to-treat解析。NCT00032591。
セッティング 多施設(28施設),米国。
期間 試験実施期間は2003年8月~2008年5月。追跡期間中央値は3年(範囲2.0~4.75),8730患者・年。
対象患者 2922例。心房細動かつ/または機械弁を有する;無期限のwarfarin投与が必要;試験スタッフによるトレーニングを行った上でPT-INR自己測定の実施能力を有すると判断された患者。
【除外基準】表記なし。
【患者背景】平均年齢は自己測定群66.6±9.7歳,クリニック測定群67.4±9.4歳(p=0.047)。各群の男性98%,98%。心疾患:心房細動(機械弁なし)82%(76%),84%(77%),機械弁(大動脈弁/僧帽弁)24%(19%/6%),23%(18%/6%),心房細動以外の不整脈11%,11%,うっ血性心不全28%,30%,狭心症16%,18%。平均CHADS2スコア1.94,1.95。糖尿病32%,34%。高血圧71%,69%。脳卒中既往9%,10%。PT-INR測定の平均間隔7.6±5.4日,23.1±18.1日。
治療法 試験参加適格患者に対しトレーニングを行い,PT-INR自己測定を実施可能と判断した後,抗凝固療法の期間(3か月未満/以上),warfarinの適応により層別化し,以下の2群にランダム割り付けした。
自己測定群:1465例。自宅にて週1回,ProTime Microcoagulation Systemを用いてPT-INRを測定し,インタラクティブな音声応答報告システムを用いて結果を記録。PT-INR値が治療域外であった場合は,同システムにより,用量を調整するために試験スタッフに連絡するよう指示した。
クリニック測定群:1457例。クリニックにて熟練スタッフにより月1回PT-INRを測定。
追跡完了率 追跡不能は両群とも1%。
結果

●評価項目
一次エンドポイント発生までの時間について,有意差は認められなかった;自己測定群271例(19%),クリニック測定群285例(20%)(HR 0.88,95%CI 0.75 -1.04,p=0.14)。
脳卒中,大出血,死亡について有意差は認められなかった。
脳卒中:31例(2%)vs. 31例(2%),HR 0.95,95%CI 0.58 -1.56,p=0.83。
大出血:147例(10%)vs. 143例(10%),HR 0.98,95%CI 0.78 -1.23,p=0.83。
死亡:152例(10%)vs. 157例(11%),HR 0.91,95%CI 0.73 -1.12,p=0.41。
小出血は自己測定群315例(22%)と,クリニック測定群254例(17%)に比し多かった(p<0.01)。
全追跡期間中のPT-INR値の治療域内時間の割合は,自己測定群66.2±14.2%,クリニック測定群62.4±17.1%と,小さいが有意な改善がみられた(絶対群間差3.8%,95%CI 2.7-5.0,p<0.001)。
2年の追跡において,自己測定群の方が患者の満足度(p=0.002,Duke Anticoagulation Satisfaction Scaleによる),quality of life(p<0.001,Health Utilities Index Mark 3による)が高かった。

●有害事象
感染などのデバイス関連の有害事象は認められなかった。

文献: Matchar DB, et al.; THINRS Executive Committee and Site Investigators. Effect of home testing of international normalized ratio on clinical events. N Engl J Med 2010; 363: 1608-20. pubmed
関連トライアル AFASAK 2 1999, Hylek EM et al, ISAM, J-RHYTHM target INR values, JNAF-ESP, PROTECT AF, SPORTIF INR control, SPORTIF risk of bleeding, SPORTIF V, Torn M et al
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