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CURRENT-OASIS 7 Clopidogrel and Aspirin Optimal Dose Usage to Reduce Recurrent Events-Seventh Organization to Assess Strategies in Ischemic Syndromes
結論 侵襲的手技を施行する急性冠症候群(ACS)患者において,clopidogrelの負荷用量・初期維持用量の2倍用量,7日間投与は通常用量と比較して,またaspirin高用量は低用量と比較して,心血管死,心筋梗塞(MI),脳卒中の複合エンドポイントを抑制しなかった。
コメント 日本,欧州は比較的低用量アスピリンを用い,米国ではアスピリンの使用量が300mgと高い傾向にあった。理論的には100mg/日のアスピリンは核のない血小板細胞のCOX-1阻害には十分量である。各種メタ解析も75~150mg/日のアスピリンの効果の十分性を示していた。今回は単一のRCTにて日本,欧州の従来の低用量アスピリン使用が誤りでなかったことを示した意味が大きい。
クロピドグレルはpro-drugである。標的はP2Y 12ADP阻害薬であるが,従来法(300mg loading,75mg/日維持量)にてP2Y 12受容体が完全に阻害されていたわけではないので,高用量での血栓イベントの低減が期待されていた。しかし,今回のRCTでは高用量における血栓イベントの低減効果を明確に示すことができなかった。現時点でも通常量のクロピドグレルによるP2Y 12阻害率は明確ではない。P2Y 12阻害率は意外に高い可能性も考えられる。(後藤信哉

目的 clopidogrelおよびaspirinはACS患者に広く投与されているが,エビデンスに基づいた至適投与量は確立されていない。本試験では,PCI施行予定のACS患者において,clopidogrelの負荷用量・初期維持用量の2倍用量は通常用量に比し,またaspirin高用量は低用量に比し,有効性および安全性に優れるかを,2×2ファクトリアルデザインにより検討する。有効性の一次エンドポイント:30日後の心血管死,MI,脳卒中の複合。安全性の主要エンドポイント:大出血。
デザイン ランダム化,2×2ファクトリアル(clopidogrelは二重盲検,aspirinにはオープン)。NCT00335452。
セッティング 表記なし。
期間 試験期間は2006年6月~2009年7月。
対象患者 25086例。年齢18歳以上,虚血と適合する心電図の変化または心マーカーの上昇が認められるNSTE-ACSまたはSTEMI患者。追加必要条件:可能な限り早期(72時間以内)にPCIを施行する予定で冠動脈造影を施行。
【除外基準】出血リスク上昇または活動性出血,既知の試験薬に対するアレルギーなど。
【患者背景】年齢中央値はclopidogrel 2倍用量群61.3歳,通常用量群61.4歳;aspirin高用量群61.5歳,低用量群61.2歳。女性27.3%,27.5%;28.0%,26.8%。不安定狭心症/NSTEMI 70.7%,70.9%;70.8%,70.8%。病歴:現喫煙33.6%,33.2%;33.2%,33.6%,高血圧60.5%,60.2%;60.4%,60.2%,脂質異常症41.2%,41.1%;41.4%,40.9%,糖尿病23.4%,23.5%;23.8%,23.1%,MI 18.0%,17.7%;17.8%,17.9%。バイオマーカー上昇64.7%,65.8%;65.2%,65.4%。
治療法 clopidogrelはランダム化直後,冠動脈造影前に投与。
2倍用量群(12520例):初日負荷用量600mg投与後,2~7日目は150mg,1日1回投与,8~30日目は75mg,1日1回投与。
通常用量群(12566例);初日負荷用量300mg投与後,2~30日目は75mg,1日1回投与。
aspirinは初日に両群ともに負荷用量≧300mgを投与し,2~30日目は以下の用量をそれぞれ投与。
高用量群(12507例):300~325mg/日。
低用量群(12579例):75~100mg/日。
抗血栓薬,GP IIb/IIIa受容体拮抗薬は担当医の判断で投与可とし,ビタミンK拮抗薬は最初の7日間は投与不可とした。
追跡完了率 99.9%。
結果

●評価項目
PCIは17263例に施行された。PCI非施行例のうち,3520例は臨床的に重篤な冠動脈疾患がなく,1859例はCABGを施行,2444例は血行再建術不適応であった。
一次エンドポイントについて,clopidogrel,aspirinとも用量による有意差は認められなかった。
clopidogrel:2倍用量群522例(4.2%) vs 通常用量群557例(4.4%),HR 0.94,95%CI 0.83-1.06,p=0.30。
aspirin:高用量群530例(4.2%) vs 低用量群549例(4.4%),HR 0.97;0.86-1.09,p=0.61。
一次エンドポイントの各要素は以下の通りであった。
[clopidogrel]
心血管死:267例(2.1%) vs 281例(2.2%),HR 0.95;0.81-1.13,p=0.57。
MI:237例(1.9%) vs 277例(2.2%),HR 0.86;0.72-1.02,p=0.09。
脳卒中:64例(0.5%) vs 65例(0.5%),HR 0.99;0.70-1.40,p=0.95。
[aspirin]
心血管死:259例(2.1%) vs 289例(2.3%),HR 0.90;0.76-1.06,p=0.22。
MI:253例(2.0%) vs 261例(2.1%),HR 0.97;0.82-1.16,p=0.76。
脳卒中:70例(0.6%) vs 59例(0.5%),HR 1.19;0.84-1.68,p=0.32。
[clopidogrelとaspirinの交互作用]
aspirin高用量群における一次エンドポイントはclopidogrel 2倍用量群で通常用量群に比し抑制されたが(3.8% vs 4.6%,HR 0.82;0.69-0.98,p=0.03),aspirin低用量群では有意差は認められなかった(4.5% vs 4.2%,HR 1.07;0.90-1.26,p=0.46)(交互作用p=0.04)。

●有害事象
大出血(本試験定義,TIMI定義)は,clopidogrelでは2倍用量群で,標準用量群に比し増加したが,aspirinでは有意差は認められなかった。
(本試験定義)
clopidogrel:2.5% vs 2.0%,HR 1.24;1.05-1.46,p=0.01。
aspirin:2.3% vs 2.3%,HR 0.99;0.84-1.17,p=0.90。
(TIMI定義)
clopidogrel:1.7% vs 1.3%,HR 1.26;1.03-1.54,p=0.03。
aspirin:1.6% vs 1.4%,HR 1.09;0.89-1.34,p=0.39。

文献: Mehta SR, et al.; CURRENT-OASIS 7 Investigators. Dose comparisons of clopidogrel and aspirin in acute coronary syndromes. N Engl J Med 2010; 363: 930-42. pubmed
関連トライアル 3T/2R, ARMYDA-4 RELOAD, CABG施行までのclopidogrel継続投与の安全性, CHAMPION PCI, CHARISMA, CLARITY-TIMI 28, CREDO, CURRENT-OASIS 7 undergoing PCI, FUTURA/OASIS-8, GRAVITAS, Lamberts M et al, LANCELOT-ACS, MATCH, Moussa I et al, PCI-CLARITY, PCI-CURE, PCI施行例における新規P2Y12阻害薬とclopidogrelの比較, PLATO, PLATO cECG substudy, PLATO STE-ACS, TRACER, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 early and late benefits, TRITON-TIMI 38 PCI
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