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メタ解析
長期経口抗凝固療法における適応病態別の頭蓋内および致死的出血
Intracranial and fatal bleeding according to indication for long-term oral anticoagulant therapy
結論 長期経口抗凝固療法を受けている患者において,抗凝固療法の適応病態が頭蓋内出血/致死的出血発生率に及ぼす影響は限られていた。

目的 大出血発生率は抗凝固療法におけるリスクを測る正しい尺度とされているが,先行研究により抗凝固療法の適応が大出血の部位や重症度に影響を及ぼす可能性が示唆された。本解析では,大出血(頭蓋内出血/致死的出血)発生率が経口抗凝固療法の適応病態により異なるか検討する。
方法 MEDLINEおよびCochrane Controlled Trials Registryデータベース(英文論文のみ)にて,1989年1月~2007年4月に出版された,以下の5つの適応のために6カ月以上の経口抗凝固療法(中長期PT-INRが1.5以上を達成)を受けている患者を含むランダム化試験を同定。適応:(1)心房細動患者における脳卒中予防,(2)一過性脳虚血発作または虚血性脳卒中患者における再発予防,(3)虚血性心疾患患者における急性冠症候群二次予防,(4)静脈血栓塞栓症(VTE)治療,(5)人工弁患者における脳卒中予防。検索語はatrial fibrillation,stroke,angina,myocardial infarction,deep vein thrombosis,pulmonary embolism,prosthetic heart valve,warfarin,vitamin K antagonist,anticoagulantsを用いた。引用文献の手作業でのレビューも行った。
除外:登録患者が1群あたり100例未満,ビタミンK拮抗薬に加え抗血小板薬をルーチン投与している試験。
対象 RCT 39試験(23518例)。
表記は症例数,年齢中央値(範囲),PT-INR中央値(範囲)。
心房細動15試験:10481例,70.5(65~80)歳,2.7(2.1~3.5)。
虚血性脳卒中4試験:2579例,62.7(61~64)歳,2.7(2.1~3.8)。
虚血性心疾患5試験:5116例,60.4(58~62)歳,3.2(1.5~3.8)。
VTE 9試験:3961例,60.9(53~68)歳,2.3(1.7~2.5)。
人工弁6試験:1381例,52.2(30~63)歳,3.9(2.5~8.5)。
主な結果 ・大出血(定義は試験により異なる)
23518例,51915患者・年において,大出血は877例発生した。発生率は適応により異なっていた(p=0.0002)。
心房細動:1.9(95%CI 1.3-2.6)/100患者・年。
虚血性脳卒中:3.3(1.8-5.8)/100患者・年。
虚血性心疾患:0.6(0.3-1.1)/100患者・年。
VTE:2.1(1.3-3.2)/100患者・年。
人工弁:3.1(2.0-4.8)/100患者・年。

・頭蓋内出血
22415例,49709患者・年において,頭蓋内出血は188例発生した。発生率は適応により異なっていた(p=0.001)。大出血のうちの頭蓋内出血の割合は虚血性脳卒中患者でVTE患者に比し高かったが(p=0.02),他の適応では有意差はみられなかった。
心房細動:頭蓋内出血発生率0.45(95%CI 0.30-0.67)/100患者・年;大出血における頭蓋内出血の割合23(17-31)%。
虚血性脳卒中:1.26(95%CI 0.60-2.63)/100患者・年;36(22-52)%。
虚血性心疾患:0.17(95%CI 0.09-0.33)/100患者・年;27(16-41)%。
VTE:0.23(95%CI 0.11-0.47)/100患者・年;10(5-20)%。
人工弁:0.45(95%CI 0.24-0.85)/100患者・年;15(8-25)%。

・致死的出血
大出血877例のうち致死的出血は118例(13%)であった。大出血のうちの致死的出血の割合について,適応による差はみられなかった(p=0.32)。
心房細動:致死的出血発生率0.26(95%CI 0.15-0.45)/100患者・年;大出血における致死的出血の割合13(8-20)%。
虚血性脳卒中:0.62(95%CI 0.25-1.50)/100患者・年;20(11-35)%。
虚血性心疾患:0.10(95%CI 0.03-0.24)/100患者・年;15(7-28)%。
VTE:0.18(95%CI 0.07-0.44)/100患者・年;8(4-17)%。
人工弁:0.26(95%CI 0.11-0.63)/100患者・年;9(4-18)%。

・致死率
全適応において,頭蓋内出血における致死的出血は82例(44%)と,頭蓋外出血における致死的出血27例(4%)に比し多かった。
文献: Linkins L, et al. Intracranial and fatal bleeding according to indication for long-term oral anticoagulant therapy. J Thromb Haemost 2010; 8: 2201-7. pubmed
関連トライアル AFASAK 2 1999, Crowther MA et al, SPAF II 1996, 心血管疾患リスクを有する患者におけるaspirin+OAC併用とOAC単独投与の比較
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