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CSPS 2 Cilostazol Stroke Prevention Study 2
結論 脳梗塞後の患者において,cilostazolはaspirinに比し脳卒中リスク,出血リスクを抑制したことから非劣性と考えられ,優越性の可能性も示唆された。
コメント 本論文はシロスタゾールのアスピリンに対する非劣性の検出力が得られた前向き観察研究として注目すべき内容である。 Editorial Comment(Pubmed)でKumbhani教授らは,脳出血の頻度が高い東アジア(日本)に限定した結果であり,欧米において同様の結果が得られるとは限らない。シロスタゾールがアスピリンに比し,虚血性脳卒中も脳出血も同時に抑制したとする結果を一見,矛盾したものと述べている。また対象が非重症例に限定され,スタチン系薬剤,降圧薬の使用頻度が低い点などが転帰に影響を与えた可能性と,有害事象に薬物反応による投与中止例が多く,コストが高い点などの問題点を指摘している。にも関わらず,彼らのコメントは肯定的に締めくくられ,アスピリンの脳卒中予防効果を凌ぐ有望な治療である可能性にふれ,今後多種多様な患者を対象とした大規模試験において,さらに評価していく価値があると結んでいる。わが国独自のエビデンスとして今後の脳卒中治療ガイドラインにも反映されうる論文であろう。(岡田靖

目的 CSPS試験において,cilostazolはプラセボに比し,脳出血を増加させることなく脳梗塞後の脳卒中リスクを抑制した。本試験では,非心原性脳梗塞患者において,cilostazolのaspirinに対しての非劣性を検討する。一次エンドポイント:脳卒中初発(脳梗塞再発,脳出血またはくも膜下出血の発生)。二次エンドポイント:脳梗塞,虚血性脳血管イベント[脳梗塞,一過性脳虚血発作(TIA)を含む],全死亡,完全脳卒中(脳梗塞,脳出血,くも膜下出血)/TIA/狭心症/心筋梗塞/心不全/入院を必要とする出血(脳出血,くも膜下出血は除く)の複合。
デザイン ランダム化,二重盲検,ダブルダミー,非劣性試験。NCT00234065。
セッティング 多施設(278施設),日本。
期間 登録期間は2003年12月~2006年10月。治療期間は2003年12月~2008年12月。平均追跡期間は29±16ヵ月。
対象患者 2757例。26週前までにCTまたはMRIで確認された非心原性脳梗塞(NINDS-III分類),ランダム化前に臨床的に安定,年齢20~79歳。
【除外基準】抗血小板薬禁忌(出血リスク上昇,うっ血性心不全,消化性潰瘍を含む),血液/肝/腎疾患または心原性塞栓症をともなう心疾患,経皮的血管形成術または脳梗塞治療のための血行再建術施行歴またはその予定,チエノピリジン系薬剤などの治験薬を服用中。
【患者背景】年齢はcilostazol群63.5±9.2歳,aspirin群63.4±9.0歳。各群の男性72%,72%。BMI 24.0±3.1kg/m 2,23.9±3.1kg/m 2。脳卒中の病型:アテローム血栓性33%,31%,ラクナ梗塞65%,65%,不明3%,3%。発症からの日数:≦28日31%,31%,29~56日26%,25%,57~112日26%,24%,>113日17%,19%。脳卒中重症度(mRS)0:15%,14%,1:46%,46%,2:30%,32%,3:5%,5%,4:3%,3%。合併症:高血圧73%,74%,虚血性心疾患1%,1%,糖尿病29%,29%,脂質異常症42%,45%。併用薬:降圧薬67%,75%(p<0.0001),脂質異常症治療薬30%,34%(p=0.03),糖尿病治療薬20%,21%,消化薬65%,68%。
治療法 cilostazol群*1,aspirin群*2にランダム化。
*1:1379例。cilostazol 100mg,1日2回投与。
*2:1378例。aspirin 81mg,1日1回投与。
抗血小板薬,抗凝固薬,血栓溶解薬,非ステロイド性抗炎症薬,aspirinの作用を阻害する薬剤の併用は禁止とした。
追跡完了率 早期中止はcilostazol群457例(34%),aspirin群336例(25%)。
【脱落理由】有害事象267例(20%)vs. 166例(12%)など。
結果

●評価項目
一次エンドポイントはcilostazol群82例(2.76%)と,aspirin群119例(3.71%)に比し抑制され,非劣性基準に合致した(HR 0.743,95%CI 0.564-0.981,p=0.0357)。
二次エンドポイントの発生は以下の通りであった。
脳梗塞:72例(2.43%)vs. 88例(2.75%)(HR 0.880,95%CI 0.645-1.200,p=0.4189)。
虚血性脳血管イベント:86例(2.90%)vs. 103例(3.21%)(HR 0.898,95%CI 0.675-1.194,p=0.4582)。
全死亡:13例(0.42%)vs. 13例(0.39%)(HR 1.072,95%CI 0.497-2.313,p=0.8600)。
複合エンドポイント:138例(4.66%)vs. 186例(5.81%)(HR 0.799,95%CI 0.643-0.994,p=0.0437)。
病型別の結果は以下の通りであった。
アテローム血栓性:20例(2.08%)vs. 31例(3.03%)(HR 0.680,95%CI 0.393-1.177,p=0.1684)。
ラクナ梗塞:59例(3.06%)vs. 85例(4.07%)(HR 0.752,95%CI 0.542-1.042,p=0.0867)。
不明:3例(4.01%)vs. 3例(3.13%)(HR 1.275,95%CI 0.254-6.390,p=0.7680)。
[有害事象]
出血イベント(脳出血,くも膜下出血,入院を必要とする出血)はcilostazol群23例(0.77%)とaspirin群57例(1.78%)に比し抑制された(HR 0.458,95%CI 0.296-0.711,p=0.0004)。
出血以外の有害事象はcilostazol群で増加がみられた。
頭痛:313例(23%)vs. 217例(16%)(p<0.0001)。
下痢:164例(12%)vs. 85例(6%)(p<0.0001)。
動悸:156例(12%)vs. 71例(5%)(p<0.0001)。

●有害事象
出血イベント(脳出血,くも膜下出血,入院を必要とする出血)はcilostazol群23例(0.77%)とaspirin群57例(1.78%)に比し抑制された(HR 0.458,95%CI 0.296-0.711,p=0.0004)。
出血以外の有害事象はcilostazol群で増加がみられた。
頭痛:313例(23%)vs. 217例(16%)(p<0.0001)。
下痢:164例(12%)vs. 85例(6%)(p<0.0001)。
動悸:156例(12%)vs. 71例(5%)(p<0.0001)。

文献: Shinohara Y, et al.; CSPS 2 group. Cilostazol for prevention of secondary stroke (CSPS 2): an aspirin-controlled, double-blind, randomised non-inferiority trial. Lancet Neurol 2010; 9: 959-68. pubmed
関連トライアル ACTIVE W, ARISTOTLE risk score, ATLAS ACS-TIMI 46 , AVERROES previous stroke/TIA, CAPRIE 1996, CARS, CASISP, CASSIOPEA, CAST, COMPASS, CSPS post hoc analysis, DECLARE-LONG II, EAFT 1993, EARLY, ESPRIT , IST 1997, Lee WH et al, MATCH, PERFORM, PROTECT AF, ROCKET AF previous stroke/TIA, S-ACCESS, TOSS-2, TRA 2P-TIMI 50 previous myocardial infarction
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