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Bhatia R et al Low rates of acute recanalization with intravenous recombinant tissue plasminogen activator in ischemic stroke: real-world experience and a call for action
結論 近位血管閉塞の虚血性脳卒中患者において,rt-PA静注後の急性期再開通率は低かった。再開通は転帰良好の強い予測因子であった。
コメント 本論文はretrospectiveな検討ではあるが,多数例の検討から内頸動脈遠位部,脳底動脈の閉塞患者に対する静注t-PA療法は単独では再開通率が低いことを明らかにした。主要血管の近位部閉塞を伴う虚血性脳卒中には血管内治療を治療可能時間内に強く考慮し,早期に再開通を図ることが転帰改善に繋がるとの期待を込めた報告である。(岡田靖

目的 開始時のCT造影により同定された近位血管閉塞(内頸動脈,中大脳動脈,脳底動脈)の虚血性脳卒中患者において,急性期再開通率を評価。一次エンドポイント:再開通(TIMI血流分類2,3またはTIBI 3~5)。
デザイン 後ろ向き研究。
セッティング 単施設,カナダ。
期間 調査期間は2002~2009年。
対象患者 127例。カルガリーCT血管造影データベースより同定された,主要血管閉塞に続発した急性虚血性脳卒中患者で,rt-PA静注を受け,経頭蓋ドプラ(TCD)かつ/または血管造影により再開通の状態を評価された症例。
【除外基準】他の試験に参加。
【患者背景】年齢中央値(IQR)は静注後再開通群73(61~82)歳,血管内治療後再開通群66(54~73)歳,非再開通群67(58~79)歳。女性37%,42%,54%。臨床的変数:高血圧67%,76%,71%,糖尿病4%,25%,20%(p=0.044),喫煙22%,39%,32%,心房細動26%,31%,37%,冠動脈疾患26%,19%,20%,脂質異常症15%,31%,20%。TOAST分類:大血管37%,29%,27%,心原性44%,48%,51%,原因不明15%,15%,10%,その他4%,8%,12%。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値(IQR)18(14~21),17(11~21),17(11~21)。発症からrt-PA静注までの時間中央値(IQR)128(97~214)分,130(85~185)分,152(97~195)分。発症から再開通までの時間中央値(IQR)215(175~274)分,303(237~358)分,―(p=0.0007)。
p値は3群間における比較を示す。
治療法 治療に適している患者に対し,rt-PA 0.9mg/kg静注を可及的速やかに開始。TCDはrt-PA静注と同時に開始し,静注の間,最大120分施行した。再開通は部分的(TIBI 3,4)または完全(TIBI 5)と定義した。血管内血行再建術(薬物かつ/または機械的血栓溶解療法)を施行した患者においてはTIMI血流分類を用いて評価した。
患者を再開通の状態により静注後再開通群,血管内治療後再開通群,非開通群に分け,比較した。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
rt-PA静注を受けた216例のうち,TCDかつ/または血管造影は127例(TCD施行46例,血管内治療のための緊急脳血管造影施行103例)に行われた。rt-PA静注後再開通は27例,血管内治療後再開通は59例,非再開通は41例であった。
発症から治療までの時間は再開通例,非再開通例とも同等であった(患者背景参照)。
rt-PA静注後再開通27例における閉塞部位別の再開通率は,内頸動脈遠位部(内頸動脈頸部閉塞/狭窄疾患の有無は問わない)1例(4.4%),中大脳動脈(M1)21例(32.3%),中大脳動脈(M2)4例(30.8%),脳底動脈1例(4%)であった。
死亡は静注後再開通群2例(7.4%),血管内治療後再開通群8例(13.6%),非再開通群15例(36.6%)(p=0.005),3カ月後のmodified Rankin Score(mRS)≦2は21例(77.8%),31例(52.5%),10例(24.4%)(p<0.0001)であった。
再開通は転帰良好(3ヵ月後のmRSスコア≦2)の強力な予測因子であった(RR 2.7,95%CI 1.5-4.6,p<0.0001)。

●有害事象

文献: Bhatia R, et al. Low rates of acute recanalization with intravenous recombinant tissue plasminogen activator in ischemic stroke: real-world experience and a call for action. Stroke 2010; 41: 2254-8. pubmed
関連トライアル ICARO, IMS III, Kimura K et al, Mendonça N et al, RESCUE-Japan retrospective survey, SAMURAI, SAMURAI CT versus DWI, SAMURAI DWI-ASPECTS, Saqqur M et al, SITS-ISTR importance of recanalization, SYNTHESIS Expansion, 虚血性脳卒中患者に対するrt-PA療法, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法
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